ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『絶対零度/特殊犯罪潜入捜査』2011

2019-07-22 12:05:15 | 刑事ドラマ HISTORY








 
2011年の夏シーズンにフジテレビ系列・火曜夜9時枠で全11話が放映された刑事ドラマ。前年に放映された『絶対零度/未解決事件特命捜査』の続編です。

コールド・ケースを扱う人情捜査物だった前作とはガラリと趣を変え、主人公の新米刑事=桜木 泉(上戸 彩)が警視庁の極秘スパイチームである「特殊犯罪捜査対策室」に異動、スリリングな潜入捜査が描かれます。

泉を厳しく鍛える先輩刑事=瀧河に桐谷健太、室長に北大路欣也、同僚に中原丈雄、小林高鹿、峯村リエ、齋藤めぐみ、情報分析班メンバーに杉本哲太、山口紗弥加、科捜研メンバーに北川弘美、木村了etc…といったレギュラーキャスト陣。

半人前の主人公が情報を得るため、身分を隠して容疑者の恋人と親しくなり、人柄の良い彼女を騙し続ける任務の理不尽さに苦しみ、葛藤するっていう初回のプロット自体は古典的だけど、マンツーマン(マンツーウーマン?)で泉をシゴく瀧河の冷徹なキャラと、両者の関係性がNHKの力作ドラマ『外事警察』('09) における尾野真千子&渡部篤郎の描かれ方そっくりで、初見の時は「パクりやん!」と思って私は切り捨てました。ちょっとでも気に食わないとすぐ切り捨てちゃうw

でも、スパイの仕事に情が禁物なのは当たり前のことで、新米にそれを教えるには冷徹になるしか無いワケで、それを描けば似たような感じになっちゃうのは仕方のないこと。タイミング的に『外事警察』の影響は確実に受けてるだろうけど、こっちはこっちで面白ければ別に問題ないやんって、今は思います。

そこさえ気にしなければ、これも相当な力作で見応えがあり、最初の2話を観た限りじゃ前作より遥かに面白いです。

葛藤しながらも泉は任務を全うし、事件解決に貢献するんだけど、友情を育んだ容疑者の恋人を最後まで騙したまま終わっちゃう結末は、決して後味の良いもんじゃありません。

けど、隠密捜査のプロフェッショナルである以上、たとえ事件が解決しても(今後の任務に支障が出ないよう)正体は誰にも明かせないっていう理屈はよく解ります。

これが『太陽にほえろ!』なら、罪のない市民を騙した報いとして、必ず正体がバレて相手に軽蔑されちゃうパターンになるんだけど、あえてそうしない結末には新鮮さを感じました。

もし正体をバラしたら、騙された相手は恋人が逮捕された事と二重に傷ついちゃうワケで、これはむしろ『太陽にほえろ!』より優しい結末と言えましょう。

ひたむきな主人公を上戸彩さん(許さんぞEXILE!)が好演、桐谷健太くんもなかなかハマり役だし、杉本哲太さん、山口紗弥加さんというこの種のドラマに欠かせないバイプレーヤーに、重鎮の北大路欣也さんがもたらす安定感。

あくまで最初の2話だけの感想ですが、観て損はないハイクオリティーな作品だと私は思います。
 
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『遺留捜査』シリーズ '11~

2019-07-22 00:00:05 | 刑事ドラマ HISTORY









 
テレビ朝日&東映の制作で、第1シリーズは2011年の春シーズンに水曜夜9時枠で全11話、第2シリーズは2012年の夏シーズンに木曜夜9時枠で全8話、第3シリーズは2013年の春シーズンに水曜夜9時枠で全9話、第4シリーズは2017年の夏シーズンに木曜夜8時枠で全9話、第5シリーズは2018年の夏シーズンに木曜夜8時枠で全9話が放映され、スペシャル版も2019年現在まで計6本が放映されてる人気作。テレビ朝日はこんなシリーズをいったい何本抱えてるんでしょうかw

『遺留捜査』はタイトル通り、被害者が残した遺留品から事件を解決していく謎解きドラマで、今となっては定番ジャンルの1つだけど、科学捜査の過程を見せるよりも、心情の機微に重点を置いた作劇が特徴と言えそうです。

要するに人情系ドラマで私の好みじゃないんだけど、上川隆也さん扮する警視庁科学捜査係主任=糸村 聡の超マイペースなキャラクターと、遺留品にとことん執着するマニアックさ、要するにオタク気質には個人的に共感出来るものがありw、観ればそれなりに楽しめるシリーズではあります。

なにかと糸村と関わる捜査一課の刑事に貫地谷しほり、大杉 漣、佐野史郎、螢雪次朗、甲本雅裕、波岡一喜、水野真紀etc…といったメンバーで第1シリーズがスタート。

第2シリーズからは所轄の月島中央署刑事課に舞台を移し、レギュラー陣も斉藤由貴、三宅裕司、八嶋智人、田中哲司、岡田義徳etc…といったメンバーにバトンタッチ。

そして第4シリーズからは京都府警本部が舞台となり、栗山千明、永井大、和泉崇司、梶原善、戸田恵子、段田安則etc…といったメンバー構成になってます。

また、いつも無理難題を押しつけて来る糸村にウンザリしてる科捜研の係官=村木(甲本雅裕)が、異動する先々になぜか必ず糸村も転属されて来て「またアンタかっ!?」となるのがシリーズ通しての笑いどころになってますw

しかし、刑事ドラマは動いてナンボ、謎解きゲームはもうウンザリっていつも書いてますけど、仕事を終えて帰宅し、何となくテレビを点けて食事しながらボ~っと観る分には、こういう落ち着いた作品の方が良いような気もして来ました。トシを取ると共にw

要は、面白ければ何だって良いんです。主人公のキャラクターと、レギュラーキャスト陣の魅力。この2点をしっかり押さえた『遺留捜査』は、まぁまぁ面白いですw
 
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『悪党/重犯罪捜査班』2011

2019-07-21 00:00:16 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2011年の冬シーズン、テレビ朝日系列の金曜夜9時枠で全8話が放映された、朝日放送とテレビ朝日の共同制作による異色の刑事ドラマ。

世間ではイマイチ話題にされず、刑事ドラマが特集されても振り返られる機会がほとんど無いんだけど、私自身は当時『デカワンコ』の次にハマった番組で、言わば幻の名作です。

賄賂による情報収集、暴力団との裏取引、囮捜査、証拠隠滅、監禁、拷問、盗聴、乳首、足の裏などの違法捜査を繰り返す、横浜港町警察署・刑事課第四係の刑事たちの悪行三昧が暗いタッチで描かれてます。大衆ウケしなかったのは当然かも知れませんw

だけど彼らは快楽や私利私欲の為にルールを無視するんじゃなくて、目的はあくまで正攻法じゃ裁き切れない悪を確実に駆逐すること。朝日放送さんのお家芸とも言える『必殺仕置人』や『ザ・ハングマン』のスピリットを継承してるワケです。

なのに堺雅人さんの『ジョーカー/許されざる捜査官』ほど世間に受け入れられなかったのは、出演者たちの面構えがあまりにワル過ぎたせいでしょうか?w 一見温厚な優男にしか見えない堺さんの方がよっぽどアブナイと思うんだけどw、深読みが出来ない昨今の視聴者たちは見た眼だけで判断しちゃったのかも知れません。

そんな第四係の悪党たちを束ねる主任=富樫正義(高橋克典)は、失踪した妻(森脇英理子)が残していった養子縁組の娘=のぞみ(宮武美桜)の面倒を見ることだけが生き甲斐の男ヤモメ。

一見優秀でクールビューティーな紅一点=飯沼玲子(内山理名)は、プライベートじゃなぜかロクでもないDVヒモ男(敦士)と別れられない優柔不断女。

やはり一見切れ者のイケメン刑事=山下(平山浩行)も実は妻子と別居中で、息子の声が聞きたくて夜な夜な無言電話を掛けては、独りむせび泣くという人間臭さ。

唯一、私利私欲の為に暴力団から裏金をむしり取る乳首野郎=柴田(鈴木浩介)はやり過ぎて命を狙われ、警察にもいられなくなって途中から離脱しちゃいますw

そして富樫たちの暴走を知りながら日和見を決め込む課長=石黒(梅沢富美男)も一筋縄じゃいかない男。

かように多面的に描かれ、単純な善人でも悪人でもない刑事たちの複雑なキャラクターがまた、過剰に解り易く作られた昨今のテレビ番組に感性を奪われた大衆には、とうてい共感しづらかったのかも知れません。

そんな富樫たちを支援しつつも何やら良からぬことを企む県警本部の前島警務部長(村上弘明)が、彼らの動向を監視するために送り込んだのが、チョー堅物の新任係長=里中警部補(小泉孝太郎)。ドラマは、ただひとり裏表のない善良一直線なイケメン坊や=里中の視点から描かれます。

「あなた達のやり方のどこに正義があるんだ!?」

世間一般的に言う「正義」とは程遠い富樫たちのやり方に、激しい怒りをぶつける里中。

「正義? 正義なんて言葉、軽々しく口にするな。俺たちのことを誰にチクろうが構わねえが、あんたも刑事だったらやる事やってからにしろ!」

そんな富樫の言葉には、法や組織のしがらみに縛られた正攻法じゃ本当の意味での正義は実践できない、警察の矛盾が示されてるんだけど、これも大衆には悪徳刑事の言い訳にしか聞こえないのかも?

まぁしかし、それも無理からぬ事かも知れません。なにしろ卑劣な凶悪犯を殴る蹴るの体罰で自白させた富樫が、最後に言って聞かせるアドバイスがこれですから。

「法廷で余計なこと喋ったら、地獄の果てまで追い詰めてやる。……殺すよ?」

私はただただ拍手あるのみだけどw、良識派には通じないだろうと思います。なぜなら、彼らは人間という生き物の本当の怖さを知らないから。

この世に住んでるのは善良なウサギだけじゃない。それを狙い、襲って、骨までしゃぶるハイエナどもがウヨウヨいる。

あくまで正攻法を主張する坊や里中に、富樫は言います。

「あんたもウサギだ。ハイエナどもからウサギがウサギを守れるのか? ハイエナを倒せるのは、ハイエナだけだ」

まったくその通り! そして、堂々とそれが出来るのは「刑事ドラマの中の刑事さん」だけなんです。それをやらずして、何のための刑事ドラマなの?って話です。

何度も同じこと書いて恐縮だけど、テレビ業界の現状が変わらない限り、私は何度でも書き続けます。

ただ突っ立って殺人事件の謎を解くだけなら、家政婦にだって三毛猫にだって出来る。凶悪犯に「眼には眼を」で被害者の苦しみに相当する罰を与えられるのは、刑事ドラマの刑事さんだけなんです!

現実世界じゃ有り得ないって? だ・か・ら・こそ、でしょうが! 実際には出来ないことを、さも出来るように見せて、我々大衆のストレスを解消させる。それが本来あるべきテレビ番組の姿だと私は思うワケです。もう謎解きなんかいらん! 飽きた! 刑事なら凶悪犯をぶん殴れ! 撃ち殺せ! それが国家権力を背負ったアンタたちの使命でしょうが!

最終回で富樫刑事は、部下である玲子との仲を誤解した、彼女のしょーもないヒモ男に刺されて殉職しちゃいます。『太陽にほえろ!』のマカロニ刑事を彷彿させる「犬死に」だけど、富樫もそうして最後に罰を受けるワケです。

自分の拳を痛めないで、命を賭けることもせず、ただ突っ立って謎を解くだけでハイエナを倒せるのか? 笑わせんな!って話です。

思えば、昭和ドラマの刑事さんたちは普通にやってた事なんですよねw それがいつの間にやら……そりゃ日本って国も衰退するワケです。破滅です。

そんなワケで本作『悪党/重犯罪捜査班』は、2010年代に入っていよいよ絶滅危機に瀕した、本当の意味での刑事ドラマの数少ない生き残りです。機会があれば是非、刮目してご覧頂ければと思います。
 
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『ホンボシ/心理特捜事件簿』2011

2019-07-20 00:00:16 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2011年の冬シーズン、テレビ朝日系列の木曜夜8時枠で全8話が放映された、船越英一郎さん主演のこれまた心理サスペンス系の刑事ドラマです。

京都が舞台で、各方面のスペシャリストを集めた府警の新設部署「特別捜査支援班」が捜査一課に協力し、難事件を解決していきます。船越さん扮する桐島刑事は、元心療内科医で表情解読のスペシャリストという設定。

このシーズン、心理学を取り入れたプロファイル物がやたらブームで、TBS系列で北川景子 主演『LADY/最後の心理プロファイル』、フジテレビ系列で松下奈緒 主演『CONTROL/犯罪心理捜査』と、同コンセプトの刑事ドラマが各局で競作され、どれも同じようにプロファイルチームと捜査一課が対立してましたw タイトルも似たり寄ったりで見分けがつきませんw

そうなると、勝負を決めるのはキャラクターの魅力で、その点じゃ北川さんも松下さんもかなり弱いし、そもそも心理学のスペシャリストという設定自体にムリがあります。

好みの問題を抜きにしても、私は船越さんの圧勝だと思いました。『その男、副署長』等でも発揮された、不思議な吸引力と抜群の安定感。そして何より、キャラクターに説得力がある。

ただ美人で人気があるというだけで番組を背負えるほど、刑事ドラマは甘くない! 大事なのは、顔でもなければ若さでもないんですよね船越さん! イケメンは全員、死ねぇーっ!!(乳首)

顔はともかく、同じコンセプトの番組がこれだけ被っちゃう、TVドラマ界のネタ不足と、発想力の貧困さには破滅を感じます。このネタ自体、米国ドラマの焼き直しらしいし。

船越さんの圧勝と言っても、ドラマ内容が頭抜けて面白かったワケでもなく、前述の通り似たり寄ったりの謎解きスタイルで、テレビ朝日&東映の制作だから作りが手堅い、ぐらいの個性しか感じられません。

たまたま被っちゃうのか、あえて競作するのか知る由もないけど、かたやアクション満載、かたやナンセンスコメディー、みたいな色分けがあっても良さそうなもんです。いずれにせよ、女優さんが脱ぐべきです。

鑑識のスペシャリストが大塚寧々さん、庶務係が安田美沙子さん。そして船越さんと対立する叩き上げの班長が高嶋政宏さん(こんな役ばっかりw)。ほか、榎木孝明、菅田 俊、佐戸井けん太、石橋蓮司、桐山 漣etc…といったレギュラー陣でした。
 
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『CONTROL/犯罪心理捜査』2011

2019-07-19 00:00:04 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2011年の冬シーズン、フジテレビ系列の火曜夜9時枠で全11話が放映された、心理サスペンス系の刑事ドラマ。

警視庁刑事部凶行犯捜査課「分室」の室長に任命された熱血刑事=瀬川理央(松下奈緒)が、皮肉屋の心理学教授=南雲(藤木直人)のアドバイスを受けて難事件の謎を解いていきます。

刑事ドラマが謎解き(犯人当てゲーム)メインとなるのは今や当たり前で、あとは舞台設定(たいてい警視庁の窓際部署)を微妙に変え、旬の人気俳優(たいてい男女の組み合わせ)を主役に据えれば新番組の出来上がりという、いよいよお手軽なジャンルになって来ちゃいました。

そんな創り手たちの姿勢が、TBSやテレ朝との完全ネタ被り(同シーズンに心理サスペンス系の刑事ドラマが3本!)という結果にもろ表れてますよね。

TBSの『LADY/最後の犯罪プロファイル』は米ドラマ『クリミナルマインド』にソックリらしいし、はねっかえりの女性刑事が偏屈学者のアドバイスを得て事件を解決させる本作は、明らかに自局(フジ)のヒット作『ガリレオ』を心理学に置き換えただけ、に見えちゃいます。

勿論あの『太陽にほえろ!』だって偉大な先駆者たちの模倣からスタートした筈だし、革新的と云われた『踊る大捜査線』もその『太陽~』から派生したような作品なんだけど、決してそれだけで終わらず「誰もやらなかったこと」を徹底的に追究した結果の大ヒットだったワケで、そんなプラスアルファの努力があるか無いかによって視聴者の感じ方が全然違って来る。要は、ガツン!と来るか来ないかの違い。

流行りのネタを取り入れるのも、過去のヒット作を模倣するのも大いに結構。だけどそれだけじゃ我々にガツン!と来させるような作品は絶対に生まれません。

そんな「もうひと押し」の情熱というか、執念が、2000年代に入ってからの刑事ドラマには(特に謎解きメインの番組には)ほとんど感じられません。同じ商品をパッケージだけ変えて売ってるようにしか私には見えない。

主人公のキャラクターといい、警察組織における窓際部署の扱われ方といい、演じる役者さんが違うだけでやってることはほとんど一緒。となるともう、そのキャスティングにどれほどの見所があるかで観る観ないを決めるしかない。

残念ながら松下奈緒さんにも藤木直人さんにも、それだけの魅力は(少なくとも私は)感じられません。二人を取り巻く横山 裕、北村有起哉、勝村政信、泉谷しげるetc…といったレギュラー陣も、決して悪くはないけど「この人が出てるなら!」っていうほどの吸引力は無い。

唯一、鑑識課長に佐藤二朗、その助手に臼田あさ美という組み合わせには「何かやってくれそう」な期待感があるけどw、それはほんの添え物に過ぎないし……

というワケで本作『CONTROL/犯罪心理捜査』も、この時期から爆発的に量産されていくお手軽刑事ドラマ(謎解きゲーム番組)の、残念ながら典型的な1本に過ぎないと言わざるを得ません。
 
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