昨日(28日午前3時37分)に、衛星打ち上げのニュースが流れた。
H2A打ち上げ成功、降水観測衛星 軌道に:
日米で共同開発 予報精度向上に期待:
このニュースには、次の2つの観点で、凄いことが言える。
一つ目の凄い点:
H2Aはより大型の「H2B」の4回とあわせて21回連続で成功した。
成功率は96.3%(27機中26機)になった。
成功率が高まっていること。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と米航空宇宙局(NASA)が共同開発した主衛星は、重さ4トン、高さ約6.5メートルで幅約13メートル。
NASAのアート・アザバージンGPMプロジェクトマネージャは、「NASAの施設内で最終組み立てをした衛星の中で過去最大」という。
重い衛星を正確に打ち上げたことである。
二つ目の凄い点:
この衛星は、地上400キロメートルの上空を数人乗りの小型飛行機並みの大きさで、北極圏と南極圏に挟まれた地球表面をなぞるように動く。
雨を詳しく観測する2種類の装置を搭載。
1つが、JAXAと情報通信研究機構が開発した「2周波降水レーダー(DPR)」。
電波を出し、雨雲の中の雨に反射させ、粒の大きさによって電波の跳ね返り方が変わるので、その跳ね返り方で、雲の中の雨粒を「透視」する。
2種類の電波を使い分ける最新のレーダーは、これまでは見逃していた弱い雨や雪も検出。「空飛ぶ雨量計」なので、衛星1台で、地球の各地の雲の特徴を把握可能。
主衛星が一通り地球を観測するには、2日半かかる。
リアルタイムではない。
そこで、NASAが開発したもう一つの装置「マイクロ波放射計(GMI)」で弱点を克服する。
水はマイクロ波を出している。この装置は宇宙からマイクロ波をとらえ、それぞれの場所での雨の全量を割り出して降雨の強さを推定する。
主衛星だけではカバーしきれない範囲は、欧州の衛星や日本の「しずく」などの副衛星が手分けして見る。
11基以上の衛星群が連携して、地表の95%を3時間に1度という頻度でとらえる計画だ。
複数の衛星がバラバラに雨の強さを推定した結果を、単純に足し合わせても意味がない。
そこで、主衛星と副衛星が同じ雨雲を見た時にレーダーの透視結果を基準に見方をそろえて、地球全体の雨の観測精度を高める。主衛星が降水観測の「ものさし」と言われる。
「人の体内を平面で手早く把握するエックス線と、じっくりと立体的に見るコンピューター断層撮影装置(CT)スキャンのようなイメージ」。GMIとDPRの役割分担をNASAのゲイル・ジャクソン博士はこう表現する。
雲を見るだけなら気象衛星「ひまわり」だけで十分。ただ、ひまわりで分かるのは上から見た雲の形で、台風は渦状の雲にしか見えないが、GPM計画では台風の目の位置や雨雲の分布などまで分かる。
詳細は、ここを参照(元の記事は、日経新聞です)
気象庁の佐藤芳昭・データ同化技術開発推進官は、「天気予報の精度向上につながるかもしれない」と期待している。