若葉におおわれた隣村の山です。登り口にとりついて200段の階段を上り、稜線に沿ってゆるやかな山道を登ると15分で頂上の祠に着きます。いま山道は若葉のトンネルになっているでしょうか。いいえ。「若葉の季節ですね」と共感してもらうためにこの写真を載せたのではありません。
浅い緑色の竹林が若葉と混ざり、放置竹林の拡散が目立たなくなっているだけです。山道を歩いてみると右手はほとんど竹林です。若葉で目立たなくなっているだけです。あー、どうしたらいいのか。
『原色・日本の美術』(昭和41年初版・小学館発行)という30巻の大型本があり、大抵の図書館にいまも並んでいます。東京オリンピック大成功! 敗戦後立ち直った日本! そして日本がぐんぐん成長・繁栄していった時代に、第一線の人たちが熱い情熱を傾けてつくった、立派な本です。ちょうどぼくたちが結婚した頃に出版され、二ヶ月に一度配本されるのを待ってページを繰りました。
新婚の夫婦にとって、この本をとりつづける経済的負担は少なくありませんでした。しかし第一回配本の第三巻『奈良の寺院と天平彫刻』の表紙カバー写真(興福寺の「仏頭」)に魅かれて買ってしまいました。
東条図書館には、処分する本が入口に並べてあり、自由に持ち帰ることができます。先日本を借りに行ったら処分する本の中にこの『原色・日本の美術』が数冊置いてあり、なんとあの第三巻もあります。
「仏頭」や「阿修羅」や東大寺三月堂の仏像の写真を切りとって飾ってもいいし、とりあえず持ち帰ろう。
田舎に引越したとき、山ほど本を捨てました。で、『原色・日本の美術』やほるぷ出版の『日本児童文学全集』(全30巻)、『日本史辞典』、人名辞典、タイム・ライフ社の全集などはどうしても捨てる気になれず段ボール箱に詰めて引越しました。 (この項つづく)