〇 ぼくのおじさんは召集で中国戦線に行き、敗戦後に生還しました。彼の郷土の親友は特攻隊でした。飛行機で敵艦に突入するまえに敗戦になり、生還しました。しかし思考や行動が無気力でおかしくなり、付き合いがなくなったそうです。
〇 三木市の知人にきいた話です。その人の兄は、特攻隊になり、敵艦突入まえに敗戦になり、郷里の三木市に生還しました。彼は新制中学の教師になりましたが、しばらくして自殺しました。
〇 直木賞作家の江崎誠致は『ルソンの谷間』という作品があります。自分のフィリピン・ルソン島での日本軍の敗走を書きました。その中に、兵士のあいだで「特攻のことを話している会話」があります。ある特攻隊の青年が「いよいよ自分の番になり、何度出撃しても飛行場にもどってきてしまう」。とうとう10回目になり、監視役の上官が別の飛行機で後ろから飛び立った。その青年は仕方なく、敵艦に突っ込んで死んだ。(「敵艦に被害を与えたか」でなく「敵艦に突っ込もうとして確実に死んだか」を確かめたのです。特攻で「死ぬこと」が目的になっています)
〇 小説家・熊井達也に、「特攻隊で何度か出撃しても、もどってくる」小説があります。上官に責められ、最後は自宅近くの地上に飛行機で突っ込みます。
出撃して敵艦に突っ込もうとした特攻隊員は多くいるでしょう。愛国の心情で突っ込んだことは歴史の事実です。最後には「一億総特攻」という言葉が発せられ、戦艦大和は、特攻で沖縄に出動しようとして攻撃され、沈没しました。
人類の歴史を振り返っても、これほど「国家が組織的に、多くの兵士を〈確実な死〉に追いやった特攻作戦」をした国はないでしょう。「死」は厳粛に受け止めねばなりません。しかしあの特攻を賞揚するような時代を再来させてはなりません。
〇 三木市の知人にきいた話です。その人の兄は、特攻隊になり、敵艦突入まえに敗戦になり、郷里の三木市に生還しました。彼は新制中学の教師になりましたが、しばらくして自殺しました。
〇 直木賞作家の江崎誠致は『ルソンの谷間』という作品があります。自分のフィリピン・ルソン島での日本軍の敗走を書きました。その中に、兵士のあいだで「特攻のことを話している会話」があります。ある特攻隊の青年が「いよいよ自分の番になり、何度出撃しても飛行場にもどってきてしまう」。とうとう10回目になり、監視役の上官が別の飛行機で後ろから飛び立った。その青年は仕方なく、敵艦に突っ込んで死んだ。(「敵艦に被害を与えたか」でなく「敵艦に突っ込もうとして確実に死んだか」を確かめたのです。特攻で「死ぬこと」が目的になっています)
〇 小説家・熊井達也に、「特攻隊で何度か出撃しても、もどってくる」小説があります。上官に責められ、最後は自宅近くの地上に飛行機で突っ込みます。
出撃して敵艦に突っ込もうとした特攻隊員は多くいるでしょう。愛国の心情で突っ込んだことは歴史の事実です。最後には「一億総特攻」という言葉が発せられ、戦艦大和は、特攻で沖縄に出動しようとして攻撃され、沈没しました。
人類の歴史を振り返っても、これほど「国家が組織的に、多くの兵士を〈確実な死〉に追いやった特攻作戦」をした国はないでしょう。「死」は厳粛に受け止めねばなりません。しかしあの特攻を賞揚するような時代を再来させてはなりません。