『待宵草 雲に隠れし 月を向く』
(まちよいぐさ くもにかくれし つきをむく)
『涼風よ 妹の香載せて 吹いとくれ』
(すずかぜよ いものかのせて ふいとくれ)
『団栗を 拾ってくれぬと 妹の啼く』
(どんぐりを ひろってくれぬと いものなく)
『秋忘れ 朝日に願う 妹が事』
(あきわすれ あさひにねがう いもがこと)
『灯のともり 我を迎える 花白粉』
(ひのともり われをむかえる はなおしろい)
『秋桜は 風に身任せ 揺れている』
(こすもすは かぜにみまかせ ゆれている)
『諦念は 停年の如 露の草』
(ていねんは ていねんのごと つゆのくさ)
『我立ちぬ 花野の先に 枯野見ゆ』
(われたちぬ はなののさきに かれのみゆ)
『寝転べば 花に包まる 花野かな』
(ねころべば はなにつつまる はなのかな)
『転寝に はっとして目覚む 夜長かな』
(うたたねに はっとしてめざむ よながかな)