山葵

山の沢筋から滲み出した小さな流れは、集落に流れ込んで生活用水として貴重な資源となっていた。
自然石で縁取りされた水路には沢蟹が住みセキショウの青い茂みが続いていた。
上下水道が整備された現在、水路はU字溝に変わり、蓋をされ道路の一部となってしまったけれど夏の間、果樹園や野菜畑の灌漑用水として頼りになる存在である。
10年ほど前 カミサンの発案で庭の隅に水路から分水した小さな流れを復活させた。
セキショウを繁らせ、水芭蕉も咲く小さなせせらぎである。
山葵も植えた。
今年も山葵は花を咲かせて春を告げている。