このたびの閉課程に遭遇し、学校は、魂を持つ 存在であることを実感いたしました。
去る 三月二日、定時制課程 最期の卒業生が巣立ち 同日 閉課程式が厳かに挙行され、昭和十四年開校以来 七十有余年の輝かしい歴史に 終止符が打たれました。
その歴史を手繰りますと、開学以来、情熱に燃える人々によって息づき、命を得て、鍛え、磨かれた伝統が 現在に至る過程が良くわかりました。
想定を越える変革の中で、「夜の窓」に集う 若者たちをはぐくみ育て、伝統を継承し、品格の高揚にご尽力された、教職員並びに父兄 そして同窓の皆様に、心よりお礼申し上げます。
ご承知の通り 定時制の 就学期間は、四年でございます。
この延長された一年が、定時制のハンディキャップと思われがちです。
しかしながら 肉体の成長に時間が必要でありますように、
バランスの良い人格形成には、それ相応の時間が、必要と思われます。
少年期から 青年期に進む多感な年代に、恩師の薫陶を受け、級友と語りあった四年間は、程良い時間の、ゆりかごでありました。
間もなく新学期がめぐって参ります しかし 「夜の窓」にともしびがつくことはありません。 生を受けた者が消えてゆくのは世の定めでありましょう。
使命を終わり、ともしびを消した学び舎を、静かに見守りたいと思います。