虫
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暑さ寒さも彼岸まで、季節の攻防が続いた21日は、朝方の雨が上がると、急に風に冷たさが感じられるようになった。
そして日が傾き始めるころ、雪虫の様な小雪が舞った。
福寿草に止まる、この小さな羽虫が、蛹で越冬したのか、成虫のまま冬を越したのか、その生い立ちは知らない。
ひょっとしたら学術的に貴重な種かもしれないし、極くありふれた虫なのかもしれない。
しかし、そんなことは羽虫にとっては、まったく関心のないことだろう。
などとつい大仰に見下す視線でとらえがちなのだけれど、もしかしたら里帰りした先祖の仮の姿なのかもしれない。