盂蘭盆の廻り灯篭が。外のガラス戸に写って、怪談じみた趣である。
昔のこども会は理不尽なほど階級制が厳格で、下っ端はいつもびくびくしていた。
その最たるものは夜間の肝試し(キモッタメシ)である。
行き先は、ヒトダマが飛び交う墓場や、巨人のような古木の陰に悪霊が潜む神社であり、漆黒の中に尾花の白い穂が誘う山沿いの小道である。
集会所に集まった子供がかたずをのんで正座している、電燈を消してろうそくに灯がともされ上級生によって怪談が語られる。
それだけで泣き出す子もいた。
恐ろしい語りが終わり、大将が行き先の発表をする、墓場の入口から五番目の石塔の前に木札が置いてあるから1枚持ってくること。
「近頃 土葬の棺桶が朽ちていて、そこから死人の手が伸びてきて足を捕まえ墓穴に引き込まれる、だから捕まらないように気を付けて行け」
あのころの夜は暗かった、星明りだけが頼りだ。自分の足音におびえながらなんとか目的地にたどり着く。
突然足首をつかまれた、悲鳴を上げてその場にへたり込んだ。
提灯に灯りがともって「馬鹿野郎 俺だ」
実物
鬼火