まったく偶然のこと。畑仕事の途中で,休憩中でした。モンシロチョウがしきりに道端を低空飛行して,一定の範囲から去ろうとしません。ときに,草に着地するようなしぐさをするのです。
「これはもしかすると産卵行動なのかも」。そう思って,目で追うことにしました。
しばらくすると,草にとまりました。「産卵かな」と思って近づくと,腹端を葉に接触させるところでした。やっぱり産卵です。産み付けた草はイヌガラシ。アブラナ科です。
チョウは舞い上がり,近くの別の草にとまりました。これもイヌガラシとすぐわかりました。そうして,同じように産卵のしぐさをしました。
チョウが向こうに行ってから,2カ所の卵を確認しました。まちがいなくモンシロチョウのそれでした。
キャベツやハクサイ,ブロッコリーのような野菜に産卵する例はわんさかとありますが,ごくふつうの草に産み付ける例はそう目にすることはありません。野菜がなければとうぜんこのように幼虫の食草を見分けて産卵するほかありません。
野の草は無数にあります。たくさんの草の中で食草を見分ける力って,考えてみれば不思議な力です。