自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ツマグロヒョウモンの蛹と天敵

2015-07-28 | ツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモンは今,終齢幼虫だったり蛹だったり,はたまた成虫だったりします。春の頃と比べると,生育ぶりにズレがかなり出てきた感じがします。

さて,科学館のある公園を訪れました。虫の目写真をテーマにして,夏の昆虫写真を撮るためです。セミを撮ったあと,ツマグロヒョウモンがいるいつもの場所に行ってみました。しかし,一匹も見つけることができませんでした。

やむなく,すぐ脇の散歩道を歩いて別の場所に移動しているときでした。棲息地とは反対側の草むらに点々と幼虫・蛹の姿があるのに目がとぶりまったのです。ほんとうにたくさんあるようなのです。これにはすっかりびっくり。ざっと数えただけで10個体はありました。食草のスミレが群生している辺りでは一匹も見つからなかったのに,です。

一枚の葉に幼虫と蛹が付いたものも。なんともふしぎな光景。


なかに,蛹が妙に変形している個体がありました。よく見ると,何者かに襲われた感じです。いったい何者なのだろうか,気になりました。 

 
ところが,写真を撮っている途中,思いがけない場面を目撃することになったのです。別の蛹が一つ,外敵に襲われていたのです。外敵はキアシナガバチでした。


垂蛹に取り付いて,懸命にそれを葉から離そうとしていました。やがて蛹の尾端と草の接合部が切れ,ハチは蛹を口にくわえて移動させようとしました。そうしながら,ハチは肉団子をつくっているように見えました。 


ハチの行動を見ていると,先の蛹は,どうやらこのキアシナガバチのしわざと見ていいでしょう。

わたしがツマグロヒョウモンの蛹とハチを,こうした「食べる」「食べられる」関係で目撃したのは初めてです。 ハチの攻撃力は強力ですが,今回の例は静止した蛹を一方的に攻撃するのですから,ひとたまりもありません。ハチはここを餌場と心得て,繰り返しツマグロヒョウモンを襲うのではないでしょうか。

自然の摂理は容赦なしです。