一般的にロックとオーケストラの競演を初め
てしたバンドは「ビートルズ」と言われてい
ます。しかし、それは「ビートルズ」の知名
度の高さゆえ生じた誤解です。
本当はオーケストラとロックの初融合は
「ムーディー・ブルース」です。「ビートルズ」
より数年前にやっていました。
でも、「ビートルズ」や「ムーディー・ブルース」
がやった事は、バンドの演奏に厚みを出す効果と
して使用しました。
だから、近年HR/HM界でブームのシンフォニッ
ク・メタル路線とは全く違います。シンフォニック
メタルについては後程詳しく書きます。
クラシック音楽スタイルのオーケストラ演奏と、
ロックスタイルのロックバンド演奏が融合した本当
の意味での、クラシックとロックの融合を初めてした
バンドと言うと「ディープ・パープル」に成ると
思います。
「ディープ・パープル」から「ロッド・エバンス」と
「ニック・シンパー」を解雇し、「イアン・ギラン」と
「ロジャー・グローヴァー」を加入させた
第2期「ディープ・パープル」
の第1弾作は「ロイヤル・フィル・ハーモニー・オーケス
トラ」です。「ジョン・ロード」が「ディープ・パープル」
結成以前から長年夢に持っていたプロジェクトでした。
「ジョン・ロード」自身が、オーケストラのパートも全ての
譜面を書いた力作です。同時期のオーケストラ競演作
「交響詩」の方が「リッチー・ブラックモア」の演奏は素晴ら
しかったけど、この「ロイヤル・フィル・ハーモニー・
オーケストラ」の方が楽曲は素晴らしかったです。
「ディープ・パープル」の1969年の「ロイヤル・
フィル・ハーモニー・オーケストラ」の内容が、
1999年にスティーヴ・モーズ加入の
第9期「ディープ・パープル」で再演されました。
その模様は「イン・コンサート・ウィズ・ザ・
ロンドン・シンフォニー・オーケストラ」に収録され
「ロニー・ジェームズ・ディオ」と「ディープ・パー
プル」の競演には涙ものです。確か「ロジャー・グロー
ヴァー」のソロ作で以前「ロニー・ジェームズ・ディオ」
が歌った曲とバラードの2曲参加でした。
その後「EL&P」(エマーソン・レイク&パーマー)や
「ピンク・フロイド」などのプログレッシブ・ロック勢
がこぞってオーケストラ競演作を作りました。
オーケストラ全曲参加は一時期減りましたが、ギグなどで
のサプライズでオーケストラが数曲参加や、アルバムに
1,2曲参加程度のオーケストラ起用はハードロック/
ヘヴィメタル界では然程珍しくなくなりました。
後期「レインボー」が来日公演で披露してくれた
「治療不可」でのベートーベンの第9番「合唱」のオーケ
ストラ競演は素晴らしかったです。(CDでしか持っていま
せん)
初期「レインボー」の流れを汲む様式美スタイルで、
「イングヴェイ・マルムスティーン」がネオ・クラシック・
メタルのスタイルを築き上げました。「イングヴェイ・マル
ムスティーン」登場後、「イングヴェイ」フォロアーが
山ほど出現し、ジャーマン・スピード・メタル勢も勢力を
挙げ、80年代後期はギター速弾き戦国時代でした。
プログレッシブ・ロック期からクラシックの旋律、技法を
ロックに癒合する流れはあったものの、大胆な強烈インパ
クトで融合した「イングヴェイ・マルムスティーン」が
ついにオーケストラと競演した作品が
「エレクトリック・ギターとオーケストラのための協奏
組曲 変ホ短調「新世紀」」です。ドラム、ベース、キーボ
-ド、ボーカル無しの「イングヴェイ・マルムスティーン」
をソリスト、作曲家として作られた、クラシック色満載の
楽曲で「イングヴェイ・マルムスティーン」が弾きまくっ
ていますが。僕は正直ガッカリでした。どれだけ凄い作品
が出来るか、楽しみでしたが、ふたを開けると、過去の
使い回しです。過去の「イングヴェイ・マルムスティーン」
の楽曲のいいとこ取りでしか無かったです。でも「新日本
フィルハーモニー交響楽団」との競演をした日本公演の
ライブ・ビデオは結構楽しめました。
「新日本フィルハーモニー交響楽団」はロックに理解が
あるオーケストラですね。「ディープ・パープル」と競演
したり、ブラームスの曲をロックアレンジしたりしていま
す。クラシック評論家の話では、「新日本フィル」は、
指揮者や、楽団員にはロックバンド出身者(軽音楽部)も多
く、普段はロックやポップスやジャズを聴く人も多いらしい
です。以前まではロックサイドから、オーケストラ側に
依頼して競演が実現していましたが、今はオーケストラ側か
らロック側に依頼をするケースも多いようです。オーケスト
ラ側は古典曲ばかりより、異なるジャンルとの競演で演奏の
幅を広げ、今までクラシックに無関心だった客層をも取り込む
裾野を広げる目論見があるようです。
クラシック演奏家にはハードロック、ヘヴィメタル好きが本当に
多いです。以前、ヘヴィメタル雑誌「炎」にクラシック演奏家が
沢山出てインタビューを受けていましたが「ヘヴィメタルのメロ
ディがクラシックとの出会いでした」みたいなのが多かった。
有名な話ですがテノール歌手の「錦織腱」(紅白歌合戦で「荒城
の月」を歌った人。「荒城の月」も「スコーピオンズ」が日本公演
でやっていたから選曲したらしい)が歌うキッカケになったのは
「フレディー・マーキュリー」の歌声に惚れ込んだからです。
要するに「クイーン」の熱狂的ファンだったのです。
クラシック・ギタリストの福田進一(村治佳織の師匠)も
ジミ・ヘンドリクスの熱狂的ファンです。その影響なのか
村治佳織のクラシックリサイタルには、ヘヴィメタルTシャツ
を着た、ロン毛、金髪の兄ちゃんも数多く見に来ていて
「ブラックサバス」「スレイヤー」「パンテラ」「メタリカ」
とかのCDをファンからプレゼントされたらしいです。
話が横道に反れましたので、強引ながら戻します。
ギター仙人「ウリ・ジョン・ロート」が復活し、スカイギターという
たまげるような凄いギターを使って「天空伝説」という
アルバムを発表しました。これぞ、待ちに待っていた
ロックとクラシックが一体化した集大成的な作品でした。
後に、あらゆるスタイルで「ウリ・ジョン・ロート」は
数々の作品を生み出しました。今のロック界で最も
オーケストラに合うギタリストです。
「イングヴェイ・マルムスティーン」や「ウリ・ジョン・
ロート」がフル・オーケストラとやっているなら俺らも・・
と「スコーピオンズ」「ロイヤル・ハント」「ノストラダ
ムス」「スティーヴ・ヴァイ」などがこぞってオーケス
トラ との競演をしました。
そして、最大のオーケストラ・ヘヴィメタルの幕開けに
なったのは「メタリカ」の「S&M」です。スラッシュ
メタル界の帝王がオーケストラと競演したのは凄いイン
パクトでした。
今まで、なんとなく余所余所しいオーケストラとの競演
作が多かった。例えるなら、喧嘩に明け暮れているチン
ピラが、大豪邸に招待され、破れた服のまま、豪華な
ディナーの晩餐会で富豪達に囲まれ、インテリな会話
についていけない状態が多かった。
でもさすが帝王「メタリカ」は違った。「お前らの
流儀なんか知った事か!俺は俺でやっていく。お前ら
は俺についてこい」って感じです。バックにオーケス
トラがいなければ、完全に通常の「メタリカ」スタイ
ルのままでした。スラッシュ・メタルとフル・オーケ
ストラが合うなんて思ってもいなかったら、これが
たちまち大ヒット。
そして、それに触発されたのか「レイジー」もオーケ
ストラと競演。
悪魔メイク「KISS」もオーケストラと競演。
その流れなのか「 ウィズイン・テンプテーション 」
「エデンブリッジ」「エンペラー 」「アングラ 」
「ブラインド・ガーディアン 」「ナイトウィッシュ 」
など大々的にクラシック・フル・オーケストラや
ソプラノ歌手、ストリングス、合唱団などを入れる
メタルバンドが出てきました。
その系統では「ラプソディ」や「チュリサス」が好き
です。
最近の「BURRN!」を見ると、皮パンツに上半身裸
のマッチョマン、ロン毛集団が髪を振り乱し、ヴァイオ
リン、チェロ、コントラバス、ヴィオラなどを弾いてい
るヘヴィメタルバンドのライブ模様が写っていました。
ハードロック/ヘヴィメタルは、これから何処に行く・・
ヒップホップとヘヴィメタルの癒合よりはいいです。
てしたバンドは「ビートルズ」と言われてい
ます。しかし、それは「ビートルズ」の知名
度の高さゆえ生じた誤解です。
本当はオーケストラとロックの初融合は
「ムーディー・ブルース」です。「ビートルズ」
より数年前にやっていました。
でも、「ビートルズ」や「ムーディー・ブルース」
がやった事は、バンドの演奏に厚みを出す効果と
して使用しました。
だから、近年HR/HM界でブームのシンフォニッ
ク・メタル路線とは全く違います。シンフォニック
メタルについては後程詳しく書きます。
クラシック音楽スタイルのオーケストラ演奏と、
ロックスタイルのロックバンド演奏が融合した本当
の意味での、クラシックとロックの融合を初めてした
バンドと言うと「ディープ・パープル」に成ると
思います。
「ディープ・パープル」から「ロッド・エバンス」と
「ニック・シンパー」を解雇し、「イアン・ギラン」と
「ロジャー・グローヴァー」を加入させた
第2期「ディープ・パープル」
の第1弾作は「ロイヤル・フィル・ハーモニー・オーケス
トラ」です。「ジョン・ロード」が「ディープ・パープル」
結成以前から長年夢に持っていたプロジェクトでした。
「ジョン・ロード」自身が、オーケストラのパートも全ての
譜面を書いた力作です。同時期のオーケストラ競演作
「交響詩」の方が「リッチー・ブラックモア」の演奏は素晴ら
しかったけど、この「ロイヤル・フィル・ハーモニー・
オーケストラ」の方が楽曲は素晴らしかったです。
「ディープ・パープル」の1969年の「ロイヤル・
フィル・ハーモニー・オーケストラ」の内容が、
1999年にスティーヴ・モーズ加入の
第9期「ディープ・パープル」で再演されました。
その模様は「イン・コンサート・ウィズ・ザ・
ロンドン・シンフォニー・オーケストラ」に収録され
「ロニー・ジェームズ・ディオ」と「ディープ・パー
プル」の競演には涙ものです。確か「ロジャー・グロー
ヴァー」のソロ作で以前「ロニー・ジェームズ・ディオ」
が歌った曲とバラードの2曲参加でした。
その後「EL&P」(エマーソン・レイク&パーマー)や
「ピンク・フロイド」などのプログレッシブ・ロック勢
がこぞってオーケストラ競演作を作りました。
オーケストラ全曲参加は一時期減りましたが、ギグなどで
のサプライズでオーケストラが数曲参加や、アルバムに
1,2曲参加程度のオーケストラ起用はハードロック/
ヘヴィメタル界では然程珍しくなくなりました。
後期「レインボー」が来日公演で披露してくれた
「治療不可」でのベートーベンの第9番「合唱」のオーケ
ストラ競演は素晴らしかったです。(CDでしか持っていま
せん)
初期「レインボー」の流れを汲む様式美スタイルで、
「イングヴェイ・マルムスティーン」がネオ・クラシック・
メタルのスタイルを築き上げました。「イングヴェイ・マル
ムスティーン」登場後、「イングヴェイ」フォロアーが
山ほど出現し、ジャーマン・スピード・メタル勢も勢力を
挙げ、80年代後期はギター速弾き戦国時代でした。
プログレッシブ・ロック期からクラシックの旋律、技法を
ロックに癒合する流れはあったものの、大胆な強烈インパ
クトで融合した「イングヴェイ・マルムスティーン」が
ついにオーケストラと競演した作品が
「エレクトリック・ギターとオーケストラのための協奏
組曲 変ホ短調「新世紀」」です。ドラム、ベース、キーボ
-ド、ボーカル無しの「イングヴェイ・マルムスティーン」
をソリスト、作曲家として作られた、クラシック色満載の
楽曲で「イングヴェイ・マルムスティーン」が弾きまくっ
ていますが。僕は正直ガッカリでした。どれだけ凄い作品
が出来るか、楽しみでしたが、ふたを開けると、過去の
使い回しです。過去の「イングヴェイ・マルムスティーン」
の楽曲のいいとこ取りでしか無かったです。でも「新日本
フィルハーモニー交響楽団」との競演をした日本公演の
ライブ・ビデオは結構楽しめました。
「新日本フィルハーモニー交響楽団」はロックに理解が
あるオーケストラですね。「ディープ・パープル」と競演
したり、ブラームスの曲をロックアレンジしたりしていま
す。クラシック評論家の話では、「新日本フィル」は、
指揮者や、楽団員にはロックバンド出身者(軽音楽部)も多
く、普段はロックやポップスやジャズを聴く人も多いらしい
です。以前まではロックサイドから、オーケストラ側に
依頼して競演が実現していましたが、今はオーケストラ側か
らロック側に依頼をするケースも多いようです。オーケスト
ラ側は古典曲ばかりより、異なるジャンルとの競演で演奏の
幅を広げ、今までクラシックに無関心だった客層をも取り込む
裾野を広げる目論見があるようです。
クラシック演奏家にはハードロック、ヘヴィメタル好きが本当に
多いです。以前、ヘヴィメタル雑誌「炎」にクラシック演奏家が
沢山出てインタビューを受けていましたが「ヘヴィメタルのメロ
ディがクラシックとの出会いでした」みたいなのが多かった。
有名な話ですがテノール歌手の「錦織腱」(紅白歌合戦で「荒城
の月」を歌った人。「荒城の月」も「スコーピオンズ」が日本公演
でやっていたから選曲したらしい)が歌うキッカケになったのは
「フレディー・マーキュリー」の歌声に惚れ込んだからです。
要するに「クイーン」の熱狂的ファンだったのです。
クラシック・ギタリストの福田進一(村治佳織の師匠)も
ジミ・ヘンドリクスの熱狂的ファンです。その影響なのか
村治佳織のクラシックリサイタルには、ヘヴィメタルTシャツ
を着た、ロン毛、金髪の兄ちゃんも数多く見に来ていて
「ブラックサバス」「スレイヤー」「パンテラ」「メタリカ」
とかのCDをファンからプレゼントされたらしいです。
話が横道に反れましたので、強引ながら戻します。
ギター仙人「ウリ・ジョン・ロート」が復活し、スカイギターという
たまげるような凄いギターを使って「天空伝説」という
アルバムを発表しました。これぞ、待ちに待っていた
ロックとクラシックが一体化した集大成的な作品でした。
後に、あらゆるスタイルで「ウリ・ジョン・ロート」は
数々の作品を生み出しました。今のロック界で最も
オーケストラに合うギタリストです。
「イングヴェイ・マルムスティーン」や「ウリ・ジョン・
ロート」がフル・オーケストラとやっているなら俺らも・・
と「スコーピオンズ」「ロイヤル・ハント」「ノストラダ
ムス」「スティーヴ・ヴァイ」などがこぞってオーケス
トラ との競演をしました。
そして、最大のオーケストラ・ヘヴィメタルの幕開けに
なったのは「メタリカ」の「S&M」です。スラッシュ
メタル界の帝王がオーケストラと競演したのは凄いイン
パクトでした。
今まで、なんとなく余所余所しいオーケストラとの競演
作が多かった。例えるなら、喧嘩に明け暮れているチン
ピラが、大豪邸に招待され、破れた服のまま、豪華な
ディナーの晩餐会で富豪達に囲まれ、インテリな会話
についていけない状態が多かった。
でもさすが帝王「メタリカ」は違った。「お前らの
流儀なんか知った事か!俺は俺でやっていく。お前ら
は俺についてこい」って感じです。バックにオーケス
トラがいなければ、完全に通常の「メタリカ」スタイ
ルのままでした。スラッシュ・メタルとフル・オーケ
ストラが合うなんて思ってもいなかったら、これが
たちまち大ヒット。
そして、それに触発されたのか「レイジー」もオーケ
ストラと競演。
悪魔メイク「KISS」もオーケストラと競演。
その流れなのか「 ウィズイン・テンプテーション 」
「エデンブリッジ」「エンペラー 」「アングラ 」
「ブラインド・ガーディアン 」「ナイトウィッシュ 」
など大々的にクラシック・フル・オーケストラや
ソプラノ歌手、ストリングス、合唱団などを入れる
メタルバンドが出てきました。
その系統では「ラプソディ」や「チュリサス」が好き
です。
最近の「BURRN!」を見ると、皮パンツに上半身裸
のマッチョマン、ロン毛集団が髪を振り乱し、ヴァイオ
リン、チェロ、コントラバス、ヴィオラなどを弾いてい
るヘヴィメタルバンドのライブ模様が写っていました。
ハードロック/ヘヴィメタルは、これから何処に行く・・
ヒップホップとヘヴィメタルの癒合よりはいいです。