久しぶり、けんちゃんだ。
元気だぞ。
かわいい盛りの息子を連れて、朝からラジオ体操だ。
細太郎の家の近くでやっている、町内会のラジオ体操に、今年も誘われてだな、
「どおれ、はんこ押しがんばっかな」
と、バカ殿の自宅でもある別邸に泊まりこんで早起きだ。
「けんちゃん先生、り~ちゃん、ペッピンの嫁さんに似てよかったなや」
というじじいどもの失言も息子のかわいさに、許す。
嫁さんの香華もノリノリでラジオ体操のあとの、茶のみ友達状態。
でもって、週末のおまつりにも参加しちゃうわよ、とじじいどもと約束する始末だ。
ナニ考えてんだ?と思ったら、あの隠居じじいにそっくりだわ。
姉の法華よりはおとなしめな感じはするが、元夫にストーカーされるほどの美貌ではある。なんで俺と結婚してくれたか?と常日頃疑問に思うが、変人ぶりは俺と相性抜群だ。
「おまつり、うちからも屋台出させましょうか?北別府さんに話を通せば、うまくはからってくれますよ」
北別府さんとは、藤川家の執事だが、昔は筆頭家老だった家の人だ。
国家老なので、権限は強い。御隠居の暴走も、北別府さんがいてくれるからこそ、あの程度で済んでいる。
「いいんじゃね?喜んで参加するだろうよ、でもなあ、縁もゆかりもないところで、大丈夫か?」
「あら、明治時代に神社をきれいに建て直ししたのって、うちのご先祖さまだから氏子さんたちも文句は言えないわよ~」
あ、そ~。
お姫さまのいうことは違うね。
ところで、細太郎とたかのり、きょうはどこの空の下にいるんだ?