けんちゃんだ〓
ラジオ体操のおっさんたちは、藤川家…というかうちの学校の卒業生をこき使って出店を出している神社ではなく、別口の神社の氏子も兼ねていた。
つまり、八坂の神さんと明神さんとで共通の氏子を融通しあっているらしい。
その両方に江戸時代から藤川家は金を出して、いい顔してたんだと。
日本人も適当だな、とつぶやいたら、
「罰当たりなことを言うな」
と副住職のゾク野郎にありがたくもない説教をされた。
不思議っ子?おばはんの百合絵さまは、そろそろ臨月らしく藤川家御用達の病院に大事をとって入院中だ。
住職のじいさんは毎日毎日お勤めにせいを出しているが、どうみても仏頼みにしか見えない。
そんなわけで、双方の神社にたいそうな金額をこっそりと寄附したみたいだ。
呆れてものが言えん。
ところが、副住職は首を振り、
「愚かと思うなら笑え。だがしかし、人一人誕生するに、神と仏もあるまい、師僧はただの父であり夫であることを自然体で生きているゆえな」
そういうもんかね、と思うが、うまい酒に免じて頷いてやろう。
暑いしな。
しかし、本堂の須彌壇の下は暑いとおもいきや、案外と涼しい。ひんやりしすぎる。
「そりゃそうだ。いつも掃除にくるはずのガキどもがいなくなって、誰も掃除にこないから、遊び相手になろうと待ち構えていたやからが、怒ってこのへんに恐い顔をして漂ってるからな」
「なにっ?」
いうにことかいて、何いってんだこのヤンキーは
「」
と副住職が隣にいるはずののぶちゃんを指差している。
「あ」
泡噴いて気絶していた。
「全部ひっかぶってくれたらしい、ありがたきことだな、な~む」
な~にがなむだよ、バカ野郎
しかし、のぶちゃん、あんた、融通きかないのは幽霊相手にもかよ~。
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