部活にいけないぼくは、朝からごはん作りに洗濯そうじとバタバタと駆け回っていた。 おじいちゃんはリカの散歩、藤川先生は庭はきと忙しい。
で、2階は立入禁止の上おとうさんも降りてくるな、というわけで、部屋に閉じ込めてしまった。
さて、おひるごはんはどうするかなあ、と藤川先生と台所ですったもんだしていると、玄関の方で騒がしくなりリカが吠えている。
「散歩から帰ったんなら庭から入ればいいのに」
ぼくはおじいちゃんとリカを迎えに玄関を開けると…。
「ぎえええ」
ぼくは悲鳴を上げると思わずドアを閉めてしまった。
「何事だ?」
と、藤川先生も駆け付けてきて呆然としている僕を押しのけて玄関を開けた。
「げえぇぇ~っ、な、なんだっ、てめぇら」
玄関先に立っていたのは、
「はあい」
ポーズを作ってあいさつする棒斐浄寺の尼御前さまと、苦虫をかみつぶしたような表情のそのヤンキーの弟、そして、
「何であんたまできたの」
「いや、主婦のいない家庭を慰めてしんぜようとな」
と、にこやかな笑みを浮かべた須庭寺の住職が立っていたんだ。
しかも、何でみんなお坊さんのかっこなのぉ~。
開いた口がふさがらないぼくの背後の階段から、凄まじい音が聞こえてきた。
「おとうさん…」
上からのぞいていたおとうさんが、3人に驚いて滑り落ちてひっくり返っていた。
「大丈夫?」
駆け寄れば、
「いてぇ~っ」
と足を抑えてなきべそをかいていた。
「何じゃ、どうしたのだ?」
住職がトボけた声をかけたけど、痛みは治まんなそうだった。
「いてぇ」
ほんと、何しにきたんだ、このお坊さんたちは…。
「悪いか」
ヤンキーがぼそっと言った。
悪いよ…。