こんばんは、へちま細太郎
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です。
藤川先生のおとうさんは、そのダンディなイメージとは違い、有無を言わさない雰囲気を持った人だった。
「さすが殿様だ」
ぼくは感心する。何であんな無茶苦茶な御隠居さまからこんな紳士が生まれたのかと思ったけど、やっぱり殿様は殿様だった。
「時間は11時半から、それまで着替えておけ」
と一言言うなり、硬直したまんまの藤川先生の首ねっこをつかまえ、
「おい」
と、隣の部屋から人を呼んだ。
「着替えの用意はできております」
毎度お馴染み北別府さんが藤川先生の腕を掴み、隣の部屋に連れていってしまった。
その間、ぼくとりょうこちゃんは呆然として事の成り行きをみていただけだ。
「二人ともすまないね」
藤川先生のおとうさんはぼくたちにかけるように仕種して、
「君たちも食事していきなさい、家には私から連絡しておこう」
と、ベルを鳴らして紅茶とケーキを運ばせてくれた。
「中華好きだよね」
という問い掛けに、りょうこちゃんは真っ赤になってうつむいた。
ん?いやな予感。
「細太郎の彼女?」
ますます赤くなってうつむく。
「いいねえ、かわいい彼女で」
げっ
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。
今まで面と向かって話したことなかったけれど、やっぱりこのおとうさんもただ者じゃないよ。
「殿様、ぼくらまだ中学1年なんだから、あんまり変なこと言わないでください」
と、ぼくはきっぱりと言ってやった。じゃないと、りょうこちゃんの目がハートになっちゃう。
「こりゃ失敬」
なあにが失敬だ、ナンパ殿様~っ。
法華ねえさんはやっぱりこの人の娘だった、と何だか変なことで納得しちゃったじゃないか。