【2013年の記事 】
本人は 決して悪気はないのですが 脳の仕組みを知らないために 逆効果になっていたということはよくあることです。
ある文化系スクールの発表会で お子さんの発表を見に来ていたお母さんからこんな話がありました。
いよいよ当日を迎えた子どもたちに 先生が子どもたちを励まそうと
「みんな、いままで がんばってきたよね。そのがんばってきたことが、もし今日、うっかりして間違えたり、一人だけ動きが違ったり、自分の位置を間違えたり 声が小さかったり そんなミスしてしまったら、先生は悲しい。
みんなだって 今までの苦労が水の泡になってしまって 嫌だよね。
だからみんな がんばろう。無駄にしないように。・・・」
これを聞いたお母さんは 「これ、逆効果じゃない?」と思ったそうです。
子どもたちの表情も からだもますます がちがちになってしまうのがわかったそうです。
「先生は 子どもたちが失敗したら 指導者としての自分が批判されるっていう恐怖がどっかにあるんじゃないですかね~」と お母さん。
その可能性は高いでしょうね。
でも その指導者の方が その自分の本音に気づいていないように思います。
意識の上では 「子どもたちのために 子どもたちが恥をかかないように 子どもたちに成功体験をさせてあげたい」と思っていらっしゃると思います。
ただ、お母さんが子どもたちの様子を見て 感じ取られたように
問題は 「こうなってはまずいよね」という表現をたくさん聞かされた子どもたち
彼らは 指導者の話を聞いて 頭の中に何をイメージしたでしょう?
「うっかりして間違えたり、一人だけ動きが違ったり、自分の位置を間違えたり 声が小さかったり」している自分の姿をイメージしてしまったことでしょう。
前頭葉でそのイメージを見たとしたら 脳はそれを実現する確率が高くなる。
ことばって 脳にちゃんと届くためには 言い方があるんです。
脳は 意識を向けたことを実現しようとします。
指導者が子どもたちに伝えた言葉は
「こうなってほしくない」という否定の表現
もしも 子どもたちに
「楽しくやってらっしゃい。あなたが楽しめばお客さんも楽しんで喜んでくれるよ」という言葉をかけたとしたら
子どもたちがイメージするものはもっと違っているかもしれないです。
これは
「転ぶなよ」「こぼすなよ」という コトバをかけると
こどもたちが 転んだり ジュースをこぼしてしまうのと同じです。
不安と恐怖と心配から出たコトバと
信頼からでたコトバは
伝わるものが全く違いますね。
☆☆
脳の仕組みを生かしたコトバのかけ方、コーチングの仕方の一例を
金子書房 『児童心理』6月号に 執筆させていただきました。
「苦手意識を持たせない家庭 ~挑戦心のある子どもを育てるために~」
よかったら ご覧くださいね → http://www.kanekoshobo.co.jp/np/jidoushinri.html