姫先生のおめめ

25年間の養護教諭の経験と脳科学、波動理論から引き出すレジリエンス向上について書いています。

私、変わりたい・・・の落とし穴

2012年09月21日 | 波動脳科学/主体的人生のリテラシー



 中学校に勤務している時 生徒がこんなことを言いました。

 「私、変わりたい」

 純粋に「自分」とむきあう中学生は なりたい自分と現実の自分のギャップに苦しんでいました。

 一見 何も考えていなさそうに見える子やとっても子どもっぽかったり すごく元気に見える子 またはハデハデで悩みないよねって子も

 同じように 自分と真剣に向き合っていました。

 なぜ、彼らは変わりたいというのか?

 さて、何から何に変わりたいと願っているのか?

 『ネガティブな自分がいやだから』

 『ついつい人に嫌なことを言ったり 本当は好きなのに嫌いって言ってしまったり

 そんな馬鹿な自分が嫌いなの!』
 
 『人前で 一生懸命いい子を演じて それは嘘だよってもう一人の自分が言うんだ』

 中学生って すごいです。

 純粋です。

 つねに砕けそうな心をもちながら そんな自分を受け入れられず 別の自分を必死に演じる

 自分のそんな面を見せたら 私はだれからも受け入れてもらえないという恐怖を持っている。

 だから まわりに合わせる。受け入れてもらえることで 私は「この私」で生きていけばいいんだと信じる。

 そして みんなそうなのに こんな自分は 他の人と違うんだ ヘンなんだと

 自分を責める。あるいは それを見ないために 別のことをしてごまかす。

 いいとか 悪いとかではなく みんな「自分」っていうものを 正確にとらえていないからこそ 起きているのだなと感じていました。

 でもね 嫌いで始まったこと(こんな自分が嫌い) は また 次の自分も「嫌い」になり >嫌いから生まれたものは 嫌いに戻るんです

 そんな自分の状態を 「私は多重人格だと思っています。病院行った方がいいですか?」と まじめに相談してくる子もありました。

 みんな 自分=肉体としてのこの自分 って思っているから 一人の人間にこんなにたくさんの(怒りんぼ 優しい ポジティブ ネガティブ 怠け者 がんばりや・・・)がいるなんて 病気だ!って思っちゃうみたい。(これは大人の方もありますよね)

 
 人間には 『本来の自分』(生まれながらにあるその人独特の性質をもった純粋な自分)と、家族や集団、社会に受け入れてもらうための無数の『小さな自分』があります。

 産まれたばかりの赤ちゃんは 純粋たる『本来の自分』 

 しかし、何もできない赤ちゃんは  まずは親に受け入れてもらう必要があります。

 そのためには 純粋たる自分のままではなく 「親に受け入れてもらうための自分」を創りだします。これが 純粋たる自分から分離した「小さな自分(変性自我)」です。

  その次に 祖父母であったり 近所の人であったり その関係性が広く深くなっていくうちに 次々に「受け入れてもらうための自分」を作っていきます。

 あるいは 何かの資格を取りまくる、何かができる自分を創りたがる。

 それは悪い事ではありませんが 本来の自分を分離した状態では どこまでいっても「満たされない自分」に悩まされることになります。

 もし何か一つの『小さな自分』で大成功したとしても もしその自分自身が否定されたり 同じ分野で自分より秀でた人がいたり 自分が何かのできごとでそのことをする能力がなくなってしまったら 戻るところがないんです。その小さな自分が 「本当の自分」だと思っているから。

 だから 多くの子ども達(大人たちも)が言っている「自分を変える」の自分は「この小さな自分(変性自我)」のこと

 ネガティブな自分が「嫌だから」と 嫌ったうえで 否定したうえで これを亡き者にして 「ポジティブ」という新たなる「小さな自分」を作る。でもそのポジティブが何かの場面で機能しなくなると また別の 自分「周りと同調して自分の意志を出さないで受け入れてもらう自分」を創りだす子もいます。

 あるいは「もう、いやだ」と自暴自棄になって 「誰からも受け入れてもらえない自分」を演じることで 自分への注目を集めようとする子もいます。

 だからもう、そのいたちごっこは やめなはれ。

 ♪ やめなはれ~ やめなはれ~ いたちごっこで 自分を作り替えてはまた嫌う~ そんな生き方やめなはれ~♪ です。

 大人の中には 「ありのままの自分でいいのよ」と言う人もいます。

 でも、その大人のいう 「ありのままの自分」ってのが 「ありのままの自分」っていう「小さな自分」の一つだったりする。

 本当に自己肯定感が高い人っていうのは

 ポジティブという 小さな自分に 同一化している人とは全く違います。ポジティブな自分以外の自分にはふたをして 見ないようにして 見せないようにしている 否定している状態とは全く違います。

 そこを間違えてはいけません。その状態で 『私はポジティブ』っていうのは >単なるポジティブマシンです。

 9月25日に発売される 新刊「十代の君たちにおくる保健室特別セラピー」にも こうした悩みをつぶやく生徒とのやり取りを描いています。

 本来の自分とか 本当の自分とか 最近よく言われてはいますが

 ちゃんと理解して 使っている大人は少ないと思います。

 大人自身が すでに 純粋たる自分(本来の自分)と分離して 何かの小さな自分(アイデンティティやペルソナ)に同一化している あるいは 同一化しようとしているからです。(先ほどの話しです)

 私のセミナーでは 仮面ライダー電王の変身のしくみや 着ぐるみを着たゆるキャラの例とか だしながら

 本当の自分とか 本当の自己肯定感とか をお伝えしています。

 保健室コーチングのベーシックでも このことは大切なテーマです。

 仕事ができる教師とか 生徒から信頼される教師という 表面の着ぐるみや変身スーツをたくさん作ることではなく

 自分の中のどんな『小さな自分』もうけいれて (好きになるということではなく存在することを認める いてもよいと思える) 一番純粋なジャッジのない自分を 自分の中心に置いて 変身スーツも着ぐるみも自分で選択して いくこと。

 これがホントの 主体性のある生き方です。

 本当に自己肯定感が高い方は ポジティブ ポジティブと騒ぎません。

 たくさんの自分とむきあって ちゃんと受け入れて 中庸にある人 これが本当に自己肯定感が高い人です。(淡々として動じない)

 本来の自分のことを いろいろな名前で呼んで

 超高額なセミナーで 

 その自分に出会いましょうというのも・・・まぁ好き好きなのでそれもよいですが

 もっとシンプルなことです。

 難しくするから 高額になり 特別なことだとみんな思ってしまうんですね。

 答えはセミナー会場ではなく 日常の そして 自分自身の中にあることを もう一度思い出しましょう。


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