(2015年の記事)
保健室コーチングでは、「私たちの脳は、現実を正確に見ることができない」という脳科学理論を
様々な事例や検証実験を通して 理解します。
大切なのは、講座の中で「なるほど」と思うだけでなく、自分の現実生活の中で 「まさにこれか!!」と体感すること。
この「ああ、こういうことか」と体験する(知識が体験と結びつく)と、
相談者の話に対しても、「ん?」という直感がより強く働くようになります。
脳というのは、ものごとをできるだけシンプルにとらえようとします。
そのほうが、様々な状況に対して、判断がしやすいのです。
なので、様々な体験をできるだけシンプルにまとめてしまって、
価値判断の参照資料としています。
その一つが イメージ。
私たちは、客観的事実を見ているのではなく イメージを見ています。
私たちは、誰かと会う時にも 今その瞬間のその人を見ているわけではありません。
自分がその人に抱いているイメージを見ています。
(そして、自分自身にも!)
それは、過去にあったその人とのかかわりであったり、
ある一言で傷ついた時に感じたその人に対する「この人ってこういう人なのね」
っていうあなたの想いかもしれません。
または 誰かに言われた 「●●な人は、悪い人」という価値観を通してみているかもしれません。
(最近は、親同士のLINEで、転勤してくる先生に対して
「●●な先生らしいよ」と、先入観を流して情報のやり取りするらしいですが それもその一つですよね)
いずれにしろ、私たちは、どうしても、
人とのかかわり あるいは自分自身とのかかわりにおいても
「客観的に、正確に」 自分や他人や 出来事を見ることができず
過去の自分の体験、経験、影響力のある人の価値観で
自分を取り巻く世界を見てしまうのです。
そして、その思い込みや価値観が正しいことを証明するためのものの見方をします。
そして、思うんですね。
「ほらやっぱりね(私が思った通りだわ)」
よく保健室コーチングの講座の中で例として話すのですが
「茶髪のサーファーに 3回もひどいフラれ方をした女性は どんな思い込みを持つでしょうか」
多くは、これです↓
「茶髪のサーファーにろくな奴はおらん」
小中学校、あるいは高校で出会った教師が、ちょっとどうなのっていう人だったとしたら
(全員がそうでなくても強烈に2,3人いたとしたら)
多くの人は「教師なんてろくな奴がいない」っていう想いを持つでしょう。
他の例として・・・
9年間(小学校~高校)で、3分の1が変な先生で、
365日のうち、100くらい嫌な想いをしたら、
脳は「教師なんてみんなひどい」っていう認識にまとめてしまいます。
それが 脳のしくみです。
でも、よくよく、思い出してみたら、
その変な先生でも、まともなことがあったり、
9年間の学校生活の中でも
楽しく過ごせたときもあったのに
それは除外して
いったん形成して知った自分の「価値観」「思い込み」の証拠を探して
「ほらね やっぱりそうでしょう」って 思えることだけに焦点をあて
自分の想い込みを証明していく。
それが脳の仕組みだよね~
それは 周囲とか他人とかに限らず、自分自身も同じです。
「自分はこういう子」と、決めてしまっていれば、その証拠を見つけるために
自分を取り巻く世界を見るのです。
「ほらね、やっぱり、私なんて ダメでしょう?」って
「だれも、わたしのことなんてあいしてくれないでしょ?」って
そして、もしあなたが、
「世の中、いじわるな人ばかりだ」と感じる出来事に多く(何をもって多い少ないかと決めるのかも問題ですが) 遭遇するのは、
あなたがそう信じているから
自分の思い込みが正しいのだと思える事柄ばかりを
脳がいち早く、キャッチするから
その信じ込みが 人生の中で大きなものであればあるほど
脳は敏感に反応して
自分の想い込みは真実であると再認識しようとするのです。
でも、それって、自分が作り上げた「イメージ」
だから、企業もイメージを大事にするし、
CMに起用するタレントのイメージもだいじにします。
イメージが、売り上げや信用に大きな影響を与えるからです。
で、
子どもたちが保健室に持ち込む相談の中にも
客観的事実より
そのことに付随する相手へのイメージだったり
出来事から妄想した不安だったり
自分の勝手な解釈だったり
これはこうあるべきなのに、そうじゃないんだという価値観に縛られた視点だったり
するわけです。
だから保健室コーチングでは、「つらかった」という 最終的に感じている感情ではなく
その感情に至った脳内プロセスを明らかにするための傾聴&確認質問をします。
これが 脳科学傾聴です。
自分の思い込みやイメージを証明するために
無意識に削除してしまった情報や
わい曲してしまった情報
数例をもってすべてがそうだと判断してしまった無意識の思考プロセス
を具体的にしていきます。
従来の 「最後まで、うなづきながら、話を聴きましょう」というやり方は
決して悪いことではないのですが、
相手の思い込みや勝手なイメージとそこから出てくる感情を
増幅してしまうこともしばしば。
(現場にいて 痛感しました)
保健室コーチングで学ぶ「脳科学傾聴」は
カウンセリングにおける相手に対する尊重のスタンスを、もっと脳科学的に掘り下げ
神経言語学(脳とコトバの関係を明確にした概念)の視点の元
これまで、聞き逃していた相談者の話の「キーワード」をキャッチし
相談者が潜在的に持っているビリーフ(信じ込み)そのものに働きかけます。
脳科学傾聴は、
相手のコンテンツそのものを聴きとるのではなく
そこに使われている文法を聴きとることで
相談者を苦しめている本質にせまります。
確認質問というやり方で、関わることで
相談者に「あ!!」が起きた時、 大きな変化が起きます。
これまでの、共感疲れや停滞感がなく、こどもたち(大人も)本当にすっきりとした表情に変わっていきます。
自分の大切な人生
事実ではなく、勝手なイメージや解釈に振り回されているとしたら
そんなもったいないことはないと思うのです。