何年前の事かは思い出せないが暑い時期仙台へ行った事があった。
一人で飲みに出かけ一見で入った女将一人の店で
三杯酢のホヤをだされホヤが好きになった。
最初に「ホヤは大丈夫ですか?」と一言念を押されたような記憶がある。
それ以後仙台へ行く機会は何度かあったのだが
夏では無かったので活ホヤを食べるチャンスがなかった。
ホヤの旬は夏。今ネットでホヤの季語調べたらやはり夏であった。
漢字では海鞘と書くようです。
着きてすぐ海鞘もてなさる口涼し 野澤節子
それまでは独特の香りが有るのでホヤは敬遠していた。
香港やベトナムでは料理によく使われている
シャンツァイ(パクチー)がある。
シャンツァイは香りが強く私は彼の地では食べられなくて
料理から取除いていた。
しかしいつまでも嫌っていては現地の料理をまともに味わえないと思い
美味しいのだと自身に無理やり思い込ませて食べるようにしていた。
積極的に食べた事も加わって、そのうちに香りも受け入れられようになった。
話は戻ってホヤのこと。
そんな香港やベトナムの経験から仙台のその店でもホヤを
美味しいものと思い込んで食べてみた。
するとホヤはすんなりと受け入れられた。
暑い夏になるとその料理屋と女将を思い出してホヤが食べたくなる。
たしか県庁近くに有った店だがもう詳しい場所も分からない。
店のカウンターや壁にかかっていたポップのお品書きは何となく思い出すが
女将の顔と姿は全く思い出せなく少し寂しい。
キュウリとホヤの三杯酢
やはり食わず嫌いというのは良くないね。
食べ物の好き嫌いの多い人は人間関係でもそれが出ると
障害児教育に長く携わってきた女房がよく言っているが、
海の向こうのシャンツァイの経験をしてみたら的を得ている気がした。
長野でホヤはあまり出回らない、たまに出ても
新鮮なものでないように見受ける。
今回三陸から活ホヤを取り寄せた。
Sサイズ6個 1670円
海鞘を切る 香りの向こうに 陸奥の夏 信天