今までは
さほど気にもならなかった
ところが
私の目の前で
黒い毛虫のようなムシが
次第に大きくなり緑色の
大きな幼虫になり
それが蛹となって
蝶に羽化していく姿を
見せてくれたのです
そうなると妙に愛おしくなり
飛び去った今
ベランダが
精気をなくしたような場所に
なってしまいました
一日かけてゆっくりと
羽を広げ
お腹から液体を出して
羽も乾くと
あくる朝、
カーテンを開けると
家内の目をジッと見て
お別れするかのように
飛び立ちました
それでよかったのですが
妙に寂しいような気もします
後には抜け殻になった
蛹だけが残っています
三匹が食欲旺盛で
この檸檬の木だけで
足りるかと心配したり
調べると
楠木も好物だそうで
その葉を取ってこようかと
考えたりもしましたが
枝だけになりながらも
ちょうど
葉っぱとのバランスもよく
三匹の食欲を充たして
くれました
そのレモンの木も
よくしたもので
食べられた後には
若い葉を出してくれました
この自然の
はたらきには驚かされます
本当に自然のリズムは
SDG,sそのもののようです
今はまさに半夏生の見ごろ
菖蒲の花もバトンタッチする
かのように
半夏生の中に交じって
最後の花を咲かせています
こういういのちのハタラキ
というか
いのちの輝きを見るのは
楽しくもあり
また残酷な一面もあります
もう一匹のアゲハは
蛹を作った場所が
ベランダの壁面
ツルツルしているせいか
羽化しても掴まる所がなく
風に飛ばされ落ちてしまい
羽を折って
とうとう死んでしまいました
忙しい日々からすれば
なんてことはない
一匹の虫のいのちなど
取る足らないことかも
しれませんが
間近に見ていると
ただの命とは思えない
ものを感じます。