かみつけ岩坊の数寄、隙き、大好き

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 「Hoshino Parsons Project」のブログ

風と土と汗と涙の大地 その3

2010年02月25日 | 言問う草木、花や何 〜自然・生命の再生産〜
函館駅について、すぐにこの重い荷物を減らすために、必要なものだけを残し札幌へ送ろうと宅急便の受付窓口を探した。
ところが、駅にある宅急便のノボリの出ているところは、店で購入した商品のみしか受けてくれないという。

ホテルまで行けば宅急便は頼めるだろうとは思ったが、小さなホテルでは適切な箱が手に入るか心もとないと思ったので、タクシーで宅急便の集配所を経由してホテルにまわってもらうことにした。

不案内な街の移動は、特に2人ともなればタクシーがことのほか便利。
観光案内や地理の説明などしてもらえると、時には観光バス以上にマンツーマンでのやり取りが出来る分、とても密度の濃い観光が可能になる。


荷物を減らし、だいぶ身軽になったうえに残りの大半の荷物もホテルにおいて、市内へ出ることにした。
まずは五稜郭へ行くつもりでいたが、タクシーの運転手によると、この時期の五稜郭は雪に埋もれていて、なにも見るところはないですよ、と言われてしまった。
こうした場合、たいていはこちらの見たいところが相手に想像がついていない場合が多い。

お堀も建物も全部雪に埋もれてますよ、というが、私たちは、それこそ一番見たい景色だということがなかなか理解してもらえない。

この時期に北海道のなにを一番見にきたのかといえば、なによりも冬の北海道だ。

雪の五稜郭、吹雪の街中。
それが見たいんだ。

私たちは五稜郭タワー前で、なんとなく不安そうに見送る姿のなにかと親切にしてくれたタクシーを降りた。

ガイドブックを見たときは、どうしてこんなタワーなんぞ作ってしまうのだと思ったが、入ってみると結構それなりに楽しめる内容だった。
なにか意地悪な質問でもぶつけたくなるような、折り目正しくきっちり教育されたエレベーターガールに案内されて上に上がる。
すると眼下にミニチュア模型をそのまま展示したような光景が開けていた。

おそらくこの写真も模型のように見えることと思います。

やはり高い場所から街を一望することで、函館戦争の土方歳三の奮戦ぶりや函館湾での攻防がよりリアルに目に浮かぶ。
五稜郭の中をゆっくり散策しようかと思ったが、雪がだんだん激しくなってきたので、先に薬屋を探して痛み止めを買うことにした。

歩いて中心街へ向かうときは正面から吹きつける雪で、顔を伏せるか後ろ向きでやっと歩くほどだった。

こうでなくてはいけない、北海道は。

北海道に着いてからずっと感じていたことだが、本州の地方都市に比べるとどこに行ってもあるようなナショナルチェーンの店の看板が少ない。
地元資本が頑張っているのかもしれないが、なんとなく街中の活気にも欠ける。
もちろん雪の吹きまくる冬のことなのだから、人出が少ないのは当然とも思うが、それだけではなく、街のロケーションにギラギラした商売っけがどうも感じられない。
良くいえば、落ち着きのある街並みだ。
それはちょっと立ち寄ったデパートでも感じた。
群馬などの主要都市よりも人出はある。
しかし不思議と落ち着いた感じで、攻めるような売り込みムードはあまりない。

(このことについては次回にまた詳しく書きます)

懐かしい味のスパゲティーを食べて再びタクシーを拾い、市内観光めぐりをしながらホテルへ向かう。
途中、弁天崎の砲台跡に寄って欲しいと頼んだが、無線で問い合わせてもらいながら探したが、観光コースとしては知られていないらしくたどり着けず、その付近で降りて港を見た。

この景色もすばらしい。
夜景ともなれば、確かに一層のことと思われる。

港と坂がつくるロケーションが、神戸と比べても劣らない街並みをつくっている。

驚いたのは、街中を走っていると至る所に古い建物が点在しており、神戸のように観光場所が集中していない分街全体をゆっくり楽しめる感じがする。

もちろん、今のままではその財産を十分活かしているとはいえない苦しい状況かもしれないが、あるものを活かす文化が活発になれば、イタリアの地方都市のような魅力が育つことが想像されるすばらしい街だ。

とても味のある街、函館。
街に魅力を感じた地方都市に出会ったのは久しぶりのような気がする。
翌日寄った小樽も素敵な街でしたが、
お金をかけずに、行政主導でもなく、基幹産業や先端企業の誘致にも頼らない街づくりを目指すには絶好の場所だと感じました。

                  つづく
コメント (2)
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