花の四日市スワマエ商店街

表参道スワマエ商店街会長のひとり愚痴

松山善三監督“名もなく 貧しく 美しく”

2015年07月28日 | わたくしごと、つまり個人的なこと

松山善三監督の“名もなく貧しく美しく”は、昭和36年の東宝映画。秋子(高峰秀子)と道夫(小林桂樹)の二人のろうあ者が、終戦前後の厳しい時代を懸命に生きるストーリーで、事実に基づいてつくられた心洗われる映画です。夫婦揃ってのろうあ者であるため、兄弟に騙されたりして苦労しながら、一児をもうけ助け合って生きていきます。

ようやく落ち着いた生活をむかえ、ふたりは手話で話し合います。

「僕たちは 幸せですか?」

「ハイ あなたは?」

「僕はこの頃 家にいると 耳が聞こえるような気がします あなたや一郎やお母さんのことなら 全部わかります 僕はこの家さえあれば どんなに辛いことがあっても生きてゆけます あなたはどうですか?」

「世間の人は 私たちに同情はしてくれても 理解してはくれません 私もこの家だけが天国です」

「僕たちは10年かかって やっと一人前の夫婦になりました 世間のことや政治のことは目をつぶって 二人だけの平和な世界をつくろうと努力してきました

でもこれだけで私たちの努力が終わったわけではありません

これからは一郎のためにも 僕たちのためにも もっともっといろいろな事を 知らなければならないと思います」

過酷な終戦直後を体験してきたからこそ云える言葉です。