いつもココロに太陽を!

~ Me Hana O Ka La I Ka Pu'uwai ~

穴があったら入りたい…

2015-02-19 | 仕事
小雨のちらつく新宿の、旧フジテレビがあったあたりの大きな病院に、ジェントル上司のお見舞いに行ってきました!

上司は手術が腹腔鏡だけで無事に済み、全開胸しないでも良かったので体力も残っていて、わざわざベッドから立ち上がって迎えてくれました。
顔色も良く、息切れの感じも前日(手術翌日)とは雲泥の差で「今日は楽になったよ~」との笑顔を見てホッとしました。
昨日は身体から垂れていたドレーン?チューブ類?ももうなく、食事も普通食を食べているそうです。

ちょうど病室には奥さんと娘さんがいらしていて、マスクをした私はそのまま目だけの顔で名前を名乗りました。
「こんにちは。○○と申します。あの、いつもハワイの変な年賀状を送っている…」
「あ!はい、わかります。毎年楽しみに拝見しています!あーハワイの人だぁ」と奥さん。
奥さんはジェントルより10歳近く年下のため、ワタシと大して変わらない年齢のはずなんだよな。

「ご心配だったでしょう?まさか、こんなコトになるなんて」
「そうですねー。予想もしなかったので…」

奥さんとそんな会話をし、上司には「もし死生観が変わったらもう働かなくてもいいんだからね!もっと好きなことして余生を過ごしてもいいのよ」と私は言いました。
(上司はもう定年の年齢は越えているの)
「ほんとだよなぁ。考えることが変わるよな、こんな風になるとな」
上司も、深くうなづきます。

実際にはまだ高校生の娘さんがいて、大学を卒業するまでは働かなきゃ、と言いながらも、少し肩の荷を下ろして自分のことを考えてもいい…そんな年齢に、みんな順番でなっていくんだなぁと思わされます。

しばらくは自宅療養をし、今後の治療方針をお医者様と決めて、通院しながら会社に来たり休んだり、といった感じになるのかな、と上司。
間引き通勤でもいいから、まだまだ一緒にお仕事がしたいなぁと、他の人に上司が変わるのはイヤだよぅとホンネでは思っちゃう。
私とは、ツーカーの間柄だからね。

けれど、なにはともあれ、お元気そうでホッとした!
第一関門クリアのようです。

コンコン!
「Mさーん。あ、ご面会中ね」
若いヘルパーさん?が顔を出しました。
「何ですか?ボクに用?」
「うーん、シャンプーをしようかと思ったのだけど…」
「え?それって順番があるの?ボクの時間決まってるの?」
「うーん、15分後くらいにどうかと思ってのぞいてみたのー」

「あ!15分後にシャンプーしてやってください!私たちそんなに長居しませんから。」
「よーく洗ってやってください」
と答えたのは私とマキちゃん。

「じゃその頃にまた来ますねー」と若いヘルパーさん。

「シャンプーなんてすぐに乾いちゃうのにね」と私が言ったら、奥さんと娘さんが声を立てて笑いました。
上司はよく言えばジュード・ロウ。
ジュード・ロウよりかなり薄い立派なM字○ゲなのね。
上司の息が上がっていないのを確認していつものように笑わせたら、上司よりむしろ奥さんの方が笑っていました。

「さぁ、帰ろう」
「帰ろ帰ろ」
あらかたお話が済んで15分後が近づいた頃、マキちゃんと私が立ち上がります。

「これからお姉さんとシャンプータイムだもんね
今度はマキちゃんが上司をおちょくりました。

いつものように上司も「はっはっはっ」とゆっくり笑い、私は奥さんと娘さんに挨拶をして外に出ました。

娘さんだって、きっと不安だったと思うわ。
強いお父さんが病に倒れるなんて。
家族みんなが少しずつ、考え方が変わるきっかけになるような出来事だったことでしょう。

どうか、この家族に安穏が訪れますように。
私の職場に平穏が訪れますように。
上司の治療がばっちりハマって、再発しませんように。
こりゃ、祈祷だな。

   

と・こ・ろ・で!
私が持参したお見舞い品の『文庫本問題』。

もうねー。
穴があったら入りたい気持ち

ちょうど上司のベッドのテーブルの上には、すっごく分厚い(Amazonによると全600頁)まるで聖書かってくらい分厚い本が一冊置いてあったの。
私、何気に話しながら本を開いてみたんだ。
タイトルだけでものぞき見ようかと。

≪21世紀の資本≫というその本は、細かい文字がびっしり書かれて厚みが5センチはあったかな。
そのちょうど真ん中あたりに栞が挟んであったわ。

帰ってから検索してみたら、Amazonに解説があったからコピペしてみるよ。

≪資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、
資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出す≫

格差は長期的にはどのように変化してきたのか?
資本の蓄積と分配は何によって決定づけられているのか?
所得格差と経済成長は、今後どうなるのか?
18世紀にまでさかのぼる詳細なデータと、明晰な理論によって、これらの重要問題を解き明かす。
格差をめぐる議論に大変革をもたらしつつある、世界的ベストセラー。


かーっ
漢字が多くて最初の5文字から読む気にもなれないし、頑張って何度読んでもさっぱり意味も分からない。

フランスの経済学者トマ・ピケティの書いた本だって。
誰やねん!

こんな本を既に半分まで読んでいる人に、私は何を持参したのだろう
恥ずかしい!恥ずかしい!恥ずかしい!

はぁー
いくら本に優劣はないとはいえ、向き不向きはあったのではないか。
私の果敢なチャレンジはおそらく不発に終わったのではないか…とガックリしました。

お土産本を出しながら「これ、もしなんだったら息子さんにでもあげてください!」とわけのわからぬ言い訳しちゃったよ。
支出額にもこだわるつもりはなかったけれど、失敗となるとその額も悔いに変わるもので、3,000円も使って恥ずかしい思いをするくらいなら、マキちゃんのように素直に「おせんべい」にしとくんだったって(笑)

あははー

世の中にはいろんな人がいるのねぇ。
こんな難し(そうな)本が軒並み★★★★★評価なんだから。(Amazon)

私じゃ一生1ページも読めない。
ぜったいに。

日本は、ああいう人で回っているのねーと、ここは素直に引き下がります。
私はせいぜい町内の平和を考えていくよ(笑)

と、そんなおまけもあったお見舞い話。

ま、めげずに私も元気に生きていこう。