超大きな団地の中。
団地内に郵便局があったり、床屋さんや小さなスーパーが点在する中、何かの勘に導かれたようにお店の前の通りを一発で選択できたのは素晴らしいわ。
『タン・ハー』
この風情に「ここがホントにベトナム料理屋かな?」と入口で躊躇するスーツ姿のサラリーマン5人組を
「ささ、入りましょ
」と中へ押し込み、私たちも初の店内へ入ります。
躊躇するのも無理ないわね。
だって、三方が食材に囲まれ、雑貨屋さんのようなんだもの。
その真ん中にある長テーブルがまさかのお食事処とは
メニューが豊富で迷っちゃう。
これまで都内でもいくつかのベトナム料理屋さんに行ったけれど、こんなに献立が多いのはすごい
!
左上のお料理なんて、名前も書いてなくて頼みようがない(笑)
もちろん指差しでOKでしょうけれど、「何を炒めたものなのか?」「蓮の実なのか?ハトムギなのか?」
それすらわからないねぇ。
楽しいなぁ。
どんなお料理か想像するのも楽しいなぁ。
まずはご挨拶代わりの『バーン・ミー』を
これをいただけばこのお店が好きかどうか(ワタシ基準)がわかります。
日本のバゲットでは重すぎて、足元にも及ばないベトナムのフランスパンの美味しさ
あの軽さとモチモチ感がないバーン・ミーのお店は日本にたくさんあります。
何度がっかりしたことか。
なのに!
一口ガブッとかじれば、こちらのパンが本格的なのがわかりました。
「美味しい~
」
ベトナムのフランスパンとよく似た、パリッパリのふわっふわのもっちもっち
このパン、どこで買ってるのー?
うまーい
!
二口目をかじろうとした時、
牛肉のフォー(PHO BO)が出てきました。
「フォーハ、冷タクナッタラ美味シクナイカラ、先ニ食ベテネ。バーンミー、後ヨ!」
全然ないお店も多いのに、サイドディッシュにハーブを添えてくれるのが嬉しい。
そりゃ、ハワイのダウンタウンの量と比べたら全然少ないけれどね、
もやし・バジルにのこぎりコリアンダーと本格的なのが素敵だわ~
ワタシはもちろん、全部乗せですっ!
「辛イ好キナラ、コレ。モット辛イハコレ。甘イノ好キナラコレネ」
丁寧に教えてくれる親切なお姉さんです。
隣りのサラリーマン5人組は、全員が異なるメニューを頼み、麺の人、定食の人、シチュー+パンの人。
(ワタシは一品届くごとに、背後まで行ってお料理を見学させていただきました(笑))
その中の一人、ワタシと違う麺を頼んだ人には
「辛イ好キナラ、コレ。モット辛イハコレ。コレハ絶対入レチャダメ!隠シテオコウネ」
と『甘い』ソースをテーブルから下げちゃいました(笑)
なんて可愛いんでしょ?
自国のお料理を、完璧な調味で食べてほしくって、教えてくれるんだね。
モアイ君は角煮と煮玉子・厚揚げの定食をオーダーしました。(お料理名はわかりません)
角煮とは言っても中華の八角風とは少し違い、あっさりなのにちゃんとおかずになっちゃう。
さらにチンゲン菜のスープが美味しいんだって。
キュウリはほぼ(笑)?生。ヌクマムをちょい掛けしていただきました。
ワタシのフォーはね、もう完璧よ!
スープの味もハーブ類も大満足!
(あ
もう少し熱々だともっとよかったかな)
お食事が届いた頃、電気工事風の作業着の男性が一人。
さらに、老夫婦が一組。
私たちの前に座りました。
「何を…どう頼んだらいいのかな…?」
聞けば、私たち以外のサラリーマン5人組も電気工事さんもご夫婦も、ベトナム料理自体が初めてとのこと。
「おととい、TVで観たんですよ。いちょう団地にベトナム料理があるって」
「あー!うちもです!」
「あはは、やっぱりそうでしたか、いや僕たちも」
「このお店はもう何年も前からあって、僕は仕事で団地によく来ていたんだけど、入る勇気がなかったんですよねぇ」
テーブルは10人の視聴者、TVに影響されてお店を訪ねた人で会話の花が咲きます
「生春巻きはどうやって食べればいいんですか?」
たまたまお姉さんの解説がなかった時、ワタシが尋ねられ、チリソースをご案内したり、
フォーに入れるのこぎりコリアンダーの解説をしたり…
「うん、うまい!いやー、僕はパクチーが平気な人だったんですねぇ」
パクチー初体験の電気工事さんが「うまいうまい、これはいい」と麺をすすり、生春巻きにかぶりつくのがとーーっても嬉しかった
(ワタシが作ってるわけじゃないけれど)
生春巻き、ずっと食べてみたかったんだって
サラリーマンさんには、周囲にある食材のことを聞かれ、わかる範囲で(どんなお料理に使うかとか)お答えをして、
みんなが興味深く、ベトナムのことを身近に思う時間です。
ステキやん~
帰宅して、お夕飯の時に食べたバーン・ミーは、やっぱり冷めちゃったら少し残念で。
あのパリパリ感は熱々ならでは!
フォーを先に、と言われたけど、ワタシが頼んだタイミングが悪かったのね。
今度は時間差、ちゃんと両方を熱々でいただけるように工夫しなきゃ。(って、両方は胃袋的にキツイんだけど、どっちも捨てきれないの
)
でも、中身はモアイ君史上最高だったそうです。
たしかに、鶏ハムやチャーシューが数種類入り、珍しいことにかなり辛くって、これはこれで美味しいの。
レバーパテ入りの好きなワタシには、史上最高、まではいかないけれど、このバーン・ミーならまた絶対食べます!
なんたって、パンが最高!
お店の冷蔵庫から買ってきたのこぎりコリアンダーが一袋150円は、新大久保のアジアンスーパーよりも安いわよねぇ?
あぁ、今回はどんなお料理に乗せて食べようかしら
思いがけず手に入っちゃったなぁ。
「最近、当たりが多いね」
モアイ君が言いました。
そうなの。
去年の秋あたりから、お外で食べた食事は本当に『当たり』が多くって、実は地元で有名なお店だったり、珍しい品揃えだったり、また来たい!と思えたり、かなり運がいいんです。
(忙しくてまだブログに書けていないんだけど)
それって『はずれ』ばっかりより幸福なことよね(笑)
また来たい、それもかなりの頻度で!と思える『タン・ハー』さんは、やっぱり大当たりのお店
まだ知らないベトナム料理をたくさん教えてくれるお店になりそうです。
(もっと近ければ今からお昼を食べに、1人で行っちゃうのになぁ)