きのう、2日目「シンポジウム」を開催。第1部の「代表講演」よりも第2部の「パネルトーク」のほうが参加者が多く、パネリストのひとりである勝山実氏目当ての参加者が、当事者を中心に少なからずおられたことが明らかになりました。
それもあって、この日の参加者は18回のセミナー史上最多の44名が参加(うち1日目に引き続いての参加者は6名)。そのうえ、終了後のアンケート回収率も歴代最高の80%と、講師・パネリストの4名の話から参加者の皆様がいろいろお感じになったことがうかがわれました。
第1部の「代表講演」では、丸山が自身の不登校時代に受けた対応をもとに、ふたつの観点から「不登校・ひきこもりの青少年への見方と、それにもとづく対応」を分類し、肯定的な見方と、それにもとづき本人の意思を真剣に受け止め協力する姿勢を当事者が求めていることを示唆しました。
これには「“支援”に対する嫌~な感じを言葉にしていただいた気がしてスッキリしました」という経験者の方もおられました。
休憩をはさんで第2部の「パネルトーク」では、テレビ番組『朝まで生TV』を真似て、2名の司会者(こちらも不登校経験者)がまず丸山に見どころを聞き、そのあとパネリストを着席順に呼び込むというオープニングをはじめ、休憩時間明けに会場からの発言を求めたり、エンディングで2名の司会者が丸山の両脇に立って感想を語ったりと、ディテールにまでこだわった演出に、終了後の懇親会で勝山氏が「企画の打ち合わせでクロストーク案の例として挙げただけなのに、始まったら丸山さんがすっかり田原総一朗になっていたので、自分は大島渚にならなければと思った」と振り返ったほどでした。
まず、このプログラムを企画する契機となった林恭子氏が口火を切り「専門家や支援者に分析され解釈され、見当違いの支援をされてきた私たち当事者が声を上げる必要」を、自身が昨年末に出演したマイノリティーが話すイベントで皆同じことを考えていたときの感動とともに語りました。
続いて伊藤書佳氏が「就職において年齢制限が撤廃されたように、学歴差別も撤廃されるべき」など、当事者より社会を変える必要性を主張しました。
これを受けて、まず丸山が近年の社会の動向について「アウトリーチ(訪問支援)の推進など、国がめざしている支援体制が当事者のニーズに合っていない」という問題意識にもとづき「ひきこもりガイドライン」や「子ども・若者育成支援法」への見解を勝山氏に求めるところから議論がスタート。
勝山氏は「現在の社会状況では技術を習得しても働き口がない」として“就労支援が実らない現状”を指摘し、伊藤氏が全国110か所の「地域若者サポートステーション」に年間20億円の税金が投下されていることを指摘すると「税金が支援団体を維持するのに使われてしまい、ひきこもり当事者に届いていない」というしくみを変えるべきだ、という点で一致しました。
その流れで、勝山氏が「敬老パスのひきこもり版を発行すれば、外出しやすくなることと人数が自動的に把握でき巨費を投じた調査が不要になることの一石二鳥」という政策提言を披露するなど、前半は批判を含めた支援論や社会論、そして具体的な提言に花が咲きました。
休憩をはさんで後半に入ると、丸山がパネリストの個人的な感覚や考えに比重を移しながら話を聞いていきました。
林氏は、丸山の「当事者は何を求めていると思うか」という問いに、ズバリ「お金」と答え「どんな支援が良かったか」という問いには、8人目に巡り合った精神科医が自分を症例としてではなく肯定的に見てくれたこと、「新ひきこもりについて考える会」や自助グループに参加していたこと、などが自分にとって良かったと語り、専門家をはじめとする周囲の見方や「支援しなければ良くならない」という通念に再考を迫る見解を提示しました。さらに「満員電車にぎゅうぎゅう詰めにされることへの違和感が理解されない」という発言には、参加者のなかにも共感する方がおられました。
最後に「当事者以外の人に理解されるか」と「意見の異なる当事者どうしはつながれるか」という丸山の問題意識が検討されました。
まず「当事者の体験談は理解を広めるか」という丸山の疑問に対し、体験談を語った経験が豊富なパネリストたちからは「自分の体験が成功例として受けたが、それで理解が広がったとは思えない」という否定的な感想の一方で「失敗談を話すことが大切。それによって体験談はひきこもり資産になる」と勝山氏が主張し、成功例ばかりが語られるイベントの現状に一石を投じました。
さらに「もっと早く引き出してほしかった」など意見の異なる当事者との連帯の可能性には、難しいしそもそも必要ないのでは、という意見が大勢を占め、「個人個人が発信すればよい」という結論に達しました。
こうして、当スタジオ初の「当事者どうしのクロストーク」は盛り上がりを見せながら終了となりました。
今回招いたパネリストは、それぞれイベント出演歴が豊富な話し上手な方ばかりだったので、打ち合わせにはなかった丸山の振りにも的確に答えてくださり、また丸山の振りを待たずに発言し合う場面も何度もあって、活き活きとしたトークが展開されました。丸山はこういう当事者人脈を持った幸運をかみしめていました。パネリストの皆様、参加者の皆様、ありがとうございました。
「第18回青少年支援セミナー」2日目の要項を見る
それもあって、この日の参加者は18回のセミナー史上最多の44名が参加(うち1日目に引き続いての参加者は6名)。そのうえ、終了後のアンケート回収率も歴代最高の80%と、講師・パネリストの4名の話から参加者の皆様がいろいろお感じになったことがうかがわれました。
第1部の「代表講演」では、丸山が自身の不登校時代に受けた対応をもとに、ふたつの観点から「不登校・ひきこもりの青少年への見方と、それにもとづく対応」を分類し、肯定的な見方と、それにもとづき本人の意思を真剣に受け止め協力する姿勢を当事者が求めていることを示唆しました。
これには「“支援”に対する嫌~な感じを言葉にしていただいた気がしてスッキリしました」という経験者の方もおられました。
休憩をはさんで第2部の「パネルトーク」では、テレビ番組『朝まで生TV』を真似て、2名の司会者(こちらも不登校経験者)がまず丸山に見どころを聞き、そのあとパネリストを着席順に呼び込むというオープニングをはじめ、休憩時間明けに会場からの発言を求めたり、エンディングで2名の司会者が丸山の両脇に立って感想を語ったりと、ディテールにまでこだわった演出に、終了後の懇親会で勝山氏が「企画の打ち合わせでクロストーク案の例として挙げただけなのに、始まったら丸山さんがすっかり田原総一朗になっていたので、自分は大島渚にならなければと思った」と振り返ったほどでした。
まず、このプログラムを企画する契機となった林恭子氏が口火を切り「専門家や支援者に分析され解釈され、見当違いの支援をされてきた私たち当事者が声を上げる必要」を、自身が昨年末に出演したマイノリティーが話すイベントで皆同じことを考えていたときの感動とともに語りました。
続いて伊藤書佳氏が「就職において年齢制限が撤廃されたように、学歴差別も撤廃されるべき」など、当事者より社会を変える必要性を主張しました。
これを受けて、まず丸山が近年の社会の動向について「アウトリーチ(訪問支援)の推進など、国がめざしている支援体制が当事者のニーズに合っていない」という問題意識にもとづき「ひきこもりガイドライン」や「子ども・若者育成支援法」への見解を勝山氏に求めるところから議論がスタート。
勝山氏は「現在の社会状況では技術を習得しても働き口がない」として“就労支援が実らない現状”を指摘し、伊藤氏が全国110か所の「地域若者サポートステーション」に年間20億円の税金が投下されていることを指摘すると「税金が支援団体を維持するのに使われてしまい、ひきこもり当事者に届いていない」というしくみを変えるべきだ、という点で一致しました。
その流れで、勝山氏が「敬老パスのひきこもり版を発行すれば、外出しやすくなることと人数が自動的に把握でき巨費を投じた調査が不要になることの一石二鳥」という政策提言を披露するなど、前半は批判を含めた支援論や社会論、そして具体的な提言に花が咲きました。
休憩をはさんで後半に入ると、丸山がパネリストの個人的な感覚や考えに比重を移しながら話を聞いていきました。
林氏は、丸山の「当事者は何を求めていると思うか」という問いに、ズバリ「お金」と答え「どんな支援が良かったか」という問いには、8人目に巡り合った精神科医が自分を症例としてではなく肯定的に見てくれたこと、「新ひきこもりについて考える会」や自助グループに参加していたこと、などが自分にとって良かったと語り、専門家をはじめとする周囲の見方や「支援しなければ良くならない」という通念に再考を迫る見解を提示しました。さらに「満員電車にぎゅうぎゅう詰めにされることへの違和感が理解されない」という発言には、参加者のなかにも共感する方がおられました。
最後に「当事者以外の人に理解されるか」と「意見の異なる当事者どうしはつながれるか」という丸山の問題意識が検討されました。
まず「当事者の体験談は理解を広めるか」という丸山の疑問に対し、体験談を語った経験が豊富なパネリストたちからは「自分の体験が成功例として受けたが、それで理解が広がったとは思えない」という否定的な感想の一方で「失敗談を話すことが大切。それによって体験談はひきこもり資産になる」と勝山氏が主張し、成功例ばかりが語られるイベントの現状に一石を投じました。
さらに「もっと早く引き出してほしかった」など意見の異なる当事者との連帯の可能性には、難しいしそもそも必要ないのでは、という意見が大勢を占め、「個人個人が発信すればよい」という結論に達しました。
こうして、当スタジオ初の「当事者どうしのクロストーク」は盛り上がりを見せながら終了となりました。
今回招いたパネリストは、それぞれイベント出演歴が豊富な話し上手な方ばかりだったので、打ち合わせにはなかった丸山の振りにも的確に答えてくださり、また丸山の振りを待たずに発言し合う場面も何度もあって、活き活きとしたトークが展開されました。丸山はこういう当事者人脈を持った幸運をかみしめていました。パネリストの皆様、参加者の皆様、ありがとうございました。
「第18回青少年支援セミナー」2日目の要項を見る