どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

風が吹けば桶屋が儲かるのを簡単に言ってしまったら

2014-02-05 02:49:10 | インポート
2月3日のニューヨーク株式市場は、326ドル下げと恐ろしい相場になった。CNNの記事を引用しよう。


ニューヨーク(CNNMoney) 3日の米ニューヨーク株式市場は、ダウ平均の終値が前日終値比326.05ドル(2.08%)安の1万5372.80ドルと大幅に下落した。米製造業の景況感を示す指標が悪化したことなどが要因とみられる。
米サプライマネジメント協会(ISM)が同日発表した1月の製造業景況指数(PMI)は、昨年5月以来の低水準だった。また、自動車大手フォード・モーター、ゼネラル・モーターズ、トヨタ自動車の先月の販売台数がアナリストの予想以上に落ち込んだことが分かった。
ダウ平均は先月、企業収益の不振や新興国市場の混乱を背景に5%を超える下落率を記録。3日の終値は昨年末に記録した最高値に比べ、7%余りの下げ幅を示した。



ほとんど丸っと引用したが、ポイントは「企業収益の不振や新興国市場の混乱」ですね。解りやすいです。



さてそれを受けて2月四日の東京株式市場の動向ですが、NHKの記事を見ましょう。



市場関係者は「前日のニューヨーク市場で株価が大きく値下がりし、比較的堅調とされていたアメリカ経済の先行きに慎重な見方が出たのが株価下落の最大の要因だ。アジア各国の市場でも株価が軒並み下落するなど新興国経済の先行きに警戒感も残るなか、投資家の間にリスクの大きい手持ちの株を売って、比較的安全な資産とされる国債などに資金を移す動きが広がった」




同じ事を言っているようで、ちょっとニュアンスが違います。アメリカでは一日で2%株が下落しました。日本は一ヶ月で14%下落しました。さてさてこの数字だけを見れば、日本が悲惨なように見えますが、金額が違います。


一日で32600円と一ヶ月で2282円です。ニューヨーク市場がいかに活発だったかがよくわかると思います。何か統計処理が違うのでしょうか。


もう一度NHKの記事の後半に戻ります。


去年の終値から3日までの欧米各国の主な市場の株価指数の終値は、▽ニューヨーク市場のダウ平均株価で7.2%、▽ロンドン市場の株価指数で4.2%、▽ドイツ・フランクフルト市場で3.8%となっています。
また新興市場では、▽ブラジル・サンパウロ市場の株価指数で10.4%、▽インド・ムンバイ市場で4.5%などとなっています。



ここをすべて金額ベースに戻すときっと面白いと思います。まあこの数字はちょっとおかしいかも?と指摘します。ニューヨーク市場がかなり高値で推移していたのは間違いがありません。そしてアメリカ人がアメリカに投資していた可能性が大きいです。アップルなんて異常な株の価格でしたし。日本はその中で、オヤツだったかもしれません。


結局の所、アメリカの金諭緩和策を縮小する、その後遺症が現れているのが現実です。そしてそれぞれの市場がある国内での基本的な経済が反映されているだけのように感じます。インドの下落率が低いのは、まだインドに期待できる向きがあるからだと思います。



さてアメリカの景気がこれから上向くと思われていたのは、雇用統計が改善していたからです。ただ内容があまり良くないと言うのが最近解って来ています。まず景気が良くなって家や株などの資産が上昇し、働かなくともよいリタイヤ組が増えたと言うのがあります。彼らは働かないと言っているので当然雇用統計の分母から外れます。これが改善を促したフシがあります。それでは本当の雇用はどうなのかと言えば、ニューズウイークの記事では低賃金が増えたと指摘しています。



厳しい状況が続いていたアメリカの労働市場にとって、昨年は一見、明るい1年だったように思える。1月に8%近かった失業率は、12月には6.7%に低下。通年で220万人分の雇用が新たに創出された。


米投資銀行ウェストウッド・キャピタルが1月に発表したリポートによれば、昨年、賃金が低い業界における雇用の伸びは賃金が高い業界の2倍以上に達し、新規雇用の54%を占めた。しかも、賃金が高い業界では実質賃金が0.26%増加したが、賃金が低い業界の実質賃金は0.22%減少したという。




ということで、そんなには改善していない訳です。ここにも2極化が見えてきます。そこに金諭緩和縮小ですから、株式が下がるのは当たり前です。
とはいえトヨタが過去最高益をたたき出しているのに、なぜでしょうね。多分今時点で反騰しているのでしょうか。


たちが悪いのは、アメリカの金諭緩和縮小で発展途上国から資金がアメリカに戻ってゆくことです。借金がいくらでも出来る状態だったらハイリスク・ハイリターンを求めます。途上国への投資です。特に資源系が強かったですね。そう言った資金が手じまいをしてゆく課程にあります。そうすると当然発展途上国の開発は滞って需要は減る訳で、先進国の企業業績が悪くなる。



更にバブル状態に近かった国では、まあその投資の有効活用に疑問が出ていたりします。当然金は逃げるな。そう言った状態です。


さてお金は安全を求めます。逃げた先が無いと安定しません。そこで為替に逃げました。そこでドルと円に逃げる訳です。ドルも円も高くなります。そうすると当然輸出企業の業績は今後難しくなりますね?そうなると当然その株式は下がる訳です。


フィナンシャルタイムスの記事も面白いです。



「新興国市場から記録的な量の資金が流出しているが、長期的には、内需拡大ストーリーから離れたくないという感覚がある」



面白いですね。人の心理ってこんなもんです。安定している先進国からもうけるのは難しくなっていますから。なお新興国は昔と違ってかなり外貨を持っています。過去の悲惨な事を繰り返さないと言われていますが、微妙ですね。




さて最後に、アメリカの景気動向だけで日本の株が下がると言う、「風が吹けば桶屋が儲かる」というニュースですが、実際は余りにも複雑です。そして動いている金額が違いすぎます。そして年々大きくなって行くように感じます。ちょっと裾が触れただけで、吹っ飛ぶ世界になっています。



今回の件で一番解りやすい記事が、現代ビジネスにあります。かなり参考になると思います。


2/7補筆しました。なお予想以上に東京株式市場が反撥しました。



326.05ドル下落したと言うのを、暴落と言わない世の中が怖いです。