ウツ病状態からようやく回復基調です。そこで県立美術館に行って気晴らしです。
館内に入った瞬間、猛烈な結露。この時の外気温はー1.6度なのですが西風がきつく、かなり冷えてしまっていたようです。
ということで、曇ったまま会場に向かいます。
岩手県立美術館・東島毅vs本田健「冬のみず、山あるき」ですがそれぞれの作者の作品タイトルです。なにか自然系の癒しっぽいタイトルですが、中身は全然違います。写真は東島毅作「冬のみず」ですが、色彩豊かな抽象作品です。しかも巨大。圧迫されるような大きさと裏腹に、高度に計算された色の配置と精密で重層的な技法が軽やかに広がっています。例えれば美しいサッカーの試合のような、試合の流れの中で、常に完璧な位置に選手がいて、無駄の無いパスが続いているような、そんな作品です。
かたや本田健は、鉛筆で精密に遠野の自然を描いてゆく、モノクロ具象です。これまたデカいのです。一見自然を美しく描いているのですが、なにかオドロオドロしたもの、土神が書き込まれているような作品です。
そんな具合でガチンコバトルになっています。これはかなり見応えがあります。解りやすい本田作品は、黒の闇に引きずり込まれる恐怖があります。東島作品は難解な抽象ですが、スタンドで観戦していたつもりが、突然ピッチに立っている錯覚を覚えます。
二人の作品を行き来してゆくうちに、別な宇宙が立ち現れてゆくのをきっと感じると思います。その中にポツンと立っている自分がいます。巨大な力と力の狭間です。
これは期待以上に良い展覧会です。オススメです。多分こんなムチャな企画はそうそうないと思います。残念ながら2/16日まで。
本田健は岩手在住なので、その作品にふれる事は多いので若干見飽きている所があります。なので公平なジャッジは出来ないのですが、東島毅の作品があんまりにも高度で、おまけに会場に入りきれなかったかのように、会場外にはみ出しています。キャンパスの裏まで見えていたり、外に出てたり、2階踊り場のオイシイ所に作品がドーンとあったりします。置いている場所とタイトルに関係があったりまあ頭のいい事!こうなると本田健の作品は弱く見えます。
今回は常設展も充実しています。五味清吉の特集が充実しています。美人画を中心とした展示で、彼の油彩屏風などの展示は少ないものの、裸婦像がまとまってみれます。ちょっと埋もれている作家なので、再評価が進む事を期待しています。テクニックの確実さと、その表現力が凄い作家なのですが。
萬鉄五郎のコーナーでは水彩画が増えたように感じます。萬の作品の多様性に焦点を当てた展示になっています。しかし萬の水彩はうまいです。で、後期の南画の下手な事下手な事。
モノクロの図版しか無かった時代に、よくキュビズムに走ったな~と欲望の赴くままに画を描いていったんだな~と改めて感じます。
そして舟越保武のコーナーでは、ナゾの作品が展示されていました。「吉田茂」像です。頭部のみですがもうびっくり。舟越保武のあの静謐な祈りと、世俗欲望たっぷりの吉田茂の接点はなんなのか?多分依頼で作ったのだと思いますが、著名作家とはいえ舟越に依頼したのはなぜか?舟越はなぜ受けたのか?なぜ頭部のみで全身像やトルソではないのか?けっこう謎です。
そんなこんなで、今期の県立美術館はオススメです。見所充実です。
ちょっと行くのが遅れたのが残念です。
この日は髪を切って、買い物をして盛岡大学の音楽コースの学生の発表会を撮影に行きました。これがですね、大当たり。盛岡大学の音楽コースの子たちは確かに元々出来る子なのですが、音楽大学とか完璧な音楽コースの子たちではありません。ちょっとレベルが低いのですがそれが四年間でメキメキと力をつけて、高度な表現を見せてくれるのですが、今回はそれがかなり凄かったです。今までの中で最高でした。
充実した一日でした。
オマケ
クラシックなどのカメラ音が気になる撮影の時のテクニックです。消音用のカバーやケースは世の中にあるのですが、使いにくかったり高価だったりします。そこで上着を使っちゃえ!と言う方法。これでもかなり音が弱くなります。操作性はやはり悪いですが、ちょっとの工夫がいくらでも出来るのでオススメです。ズームレンズの操作も出来ます。
特にマリオスの盛岡市民小ホールはカメラの高音側の音が響きやすいので、こうでもしないと音がうるさい事うるさい事。緊急時にも使えますよ。