今日は強烈な西高東低の気圧配置で、ついに雪が降った。さすがに気温が高いので積もることはなかったが、結構降った。
午前中から仕事をして、時々家に帰ってアメリカ大統領選の様子を伺っていた。例の11時の頃にはこりゃやばいという感じだった。特にフロリダの様子が悪い。どうなることかと仕事をしつつ1時半に家に戻って見てみると、クリントンがフロリダを落としてしまった。カルフォルニアは取ったようだが、暗雲立ち込めるどころではなくなっていた。Brexitの時の、あの感じだ。ありとあらゆる予測が外れて、希望的観測しか残っていなかった、あの時の気分だ。
為替はドルの一方的安になっていた。そして日経平均は下がった。この状況ではもはやという感じだ。
少しネットから離れないといけない。仕事に戻って、泳ぎにゆくことにする。
腱鞘炎のせいかなかなか上手く泳げないが、後半500メートルはなんとか形になった。つくづく水泳は実は指のスポーツだと思った。
で、泳ぎ終わったら、トランプ大統領が誕生していた。アメリカ議会上院下院共共和党になった。
まさかここまではという事態になった。
号外も出て、ニューウーズウイークのネット版は怒涛の選挙記事で埋め尽くされた。CNNは当然だ。先週からニュージーランドの移民申請の問い合わせが急増し、カナダ移民局のサーバーがダウンした。実際に移民する人は少ないだろうが、少なくともアメリカは分裂するだろう。
号外では日本関連についてだけの不安を煽っていたが、実際はもっとすごい意味がある。アメリカがデフォルトするクラスの問題がある。
世界中が保護貿易主義に走るというものだ。現実の世界は保護主義に走る寸前まできていると思う。その前にやっぱり世界での貧富の差の増大だ。しかも街で見かけることのある名主様ではなくて、見えない国際資本というのがどうも我慢できない。でもその国際資本からの投資を受けたくて仕方がない国が多かったし、多い。だがそこにはアメリカが監視の目を光らせながら、通商上のルールを策定していた。そこにはアメリカこそが世界で一番進んだ国家であり、だから資本が集まるのだという理屈があった。だからアメリカ流のルールが正しい、だから自由貿易は正しい、そう言い続けていた。
ただ自由貿易には、金融の自由というのもある。取引のための為替の自由かというのもある。そういった総合的なものでもある。金融国家でもあるアメリカに取ってはこれは命題だったはずだ。
だが金融国家のイギリスがBrexitを決定した時には誰もが驚いた。Brexitにはまだ時間がある。まだイギリスは金融自由化の恩恵を受けることができる。だがもしアメリカが自国経済優先で(今までもこれからもそうだとは思うが)、建前である自由貿易を否定したらどうなるのか。
イギリスは移民問題が大きかった。そしてアメリカもそうだ。そこには人権の問題や、理想的な国家感があった。だがそれを否定した。
何を言いたいのかといえば、アメリカが引っ張ってきたからこそみんな頑張ってきたのに、もうそれが崩れてしまったということなのだ。アメリカは自国に引き上げてしまった。それでいいとアメリカ人が言ってしまったのだ。
中国の台頭があってアジア情勢はよく言われるが、フィリピンのドゥテルテ(一発でキーを叩けるようになったというのはすごい)大統領のようにムチャクチャな人物が多方外交を始めたが、フィリピンだけではない。北朝鮮以外のアジアのほとんどの国が多方面外交を模索している。
経済問題は貿易とも関係しているのだが、問題はアメリカに製造業が戻ってくる可能性が全くないということだ。ないわけではない。だがそれは、アメリカ人がバングラディッシュ人より従順かという問題だ。いやメキシコ人や不法労働者と比べてもだ。正確にいえば第三国の方が教育できるが、アメリカ人は教育がかなり難しい。今の日本人もそうだと言われそうだが、なぜか困難と言われている。
だから製造業が戻らないし、戻ったとしても高等教育を受けた人物以外は入れなくなっている。簡単な事業は簡単に外に行ってしまって、アメリカはそこを荒廃させた結果なのだ。人種については言いたくないが、驕った方が負けたという当たり前の話なのだ。
日本人は北朝鮮と中国の台頭ばかりをいうが、EUに目を向ければウクライナ問題がある。バルト海に面したポーランドとリトアニアの間に挟まれた土地なのだが、そこにロシアのミサイルが配置された。核弾頭搭載可能なものだ。
確かにロシアは窮地に陥っていると言われているが、国内経済は問題ない。むしろ贅沢な「西側」の物品がなくなって国内の産品が急速に向上したとも言われている。
そしてシリア・イラクだ。いやサウジアラビアとの関係もあるしイラクとの国交解決もある。この複雑な世界を取引だけで操作できるとは思えない。いや、可能性はあるのだが、それは金だ。部族間調停には必要な金をアメリカは出せるのか。
真面目に中東は宗教を超えてしまって訳のわからない戦争をしている。でもそれでも、イエメンからコーヒーが出てくる。その罪深さは。
言葉がなくなってから8年経った。言葉のない社会は急速に島宇宙化してゆく。そしてその島宇宙も分断化されてしまい、富めるものは自分の才覚だと自惚れ、貧しいものは騙されたと疑い、それぞれのそれぞれに都合のいい情報ばかり集めてしまい、ますます意固地になる。
たしかにWe Canの言葉はすごかった。そしてオバマ大統領はやったのだが、なぜかアメリカ国内の評価が低すぎた。その結果だと思うのだが、まあなんでトランプなのかな。確かに切り札かもしれんが、世界への最後通牒かと。俺は閉じる、後は勝手にやってくれ。
あとは?
どうも悪い予感しかないのだ。少なくとも人より金になりつつあるのが世界だ。アメリカが閉じた瞬間、世界では何かが起こる。圧倒的に金の流れが変わる。オバマが弱気だったのはそれでしかない。
世界に関与しないというアメリカ国民の声は、Brexitと合わせて、二つの世界の縮小だ。
大きいから喧嘩しないというのはある。小さくなると喧嘩しやすい。北朝鮮がそうだ。
まあその前に、世界が知性を放棄している。ならアメリカだってそうなんだけど、アメリカすら知性のない世界になるのだから、啓蒙主義が全く破綻した瞬間なんだね。
世界最強国家がどうなるのか。とりあえず人権については言わなくなるかもしれない。