水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「迷解剣客商売・51」

2011-06-20 20:50:14 | Weblog



おはるや三冬の他にも、素直な女が幾人も登場する。
小さな道場を持っている女武芸者のお秀。
根岸流の手裏剣の名手で、その技には小兵衛も一目置く。
小兵衛ファミリーの一人といっていいだろう。

親しくしている仲間達は、食と住を軽く共有する。
独身のお秀も「今夜は秋山小兵衛先生のお宅に泊めていただく」
弥七なども、簡単に泊まっていったりする。
双方で飯も酒も泊まりも、実に遠慮なく自然なのだ。

ファミリーの女達は、それぞれの個性がありながら可愛い。
だが、男を騙す悪女、体で虜にする妖婦、残虐な毒婦も登場する。
人は単純でもあり、複雑怪奇でもある。
優女でも毒婦でも、強い男を簡単に弱くする魔力をもったオナゴ達だ。
男と女は、違う能力の生きモノ。
そういう、オトナの話も随所に描かれている。

それにしても、素直な人達は、出来事を愉しく生きようとする。
故御師匠様の「素直になれよ」の言葉。
ワシが気づいた意味よりも、もっともっと深いようだ。
素直な仲間達が多いと、人生は何倍も愉しめるようだ。
自分が素直になれば、人生はもっと愉しくなる。
いろいろなモノを解放し、開放すれば素直になれそうだ。

        
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
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「迷解剣客商売・50」

2011-06-19 19:26:13 | Weblog



この小説はいろいろな要素が含まれている。
人間を語る池波氏は、食と性も大切にしている。
大切というのは、生きる愉しみに通じるモノでもある。
食の愉しみは、いたるところで表現されている。
質素な料理だが、一工夫で、とても美味しそうなのだ。
愉しみ方が幾つもあり、とても素敵なのだ。
食だけで、一冊の本が出来ているのだ。
(別冊「剣客商売・包丁ごよみ」)

池波氏は男だから、女の不思議さを上手く、優しく表現する。
「この歳になっても、女のことはちっともわからぬ」
だから、こはるや、三冬の可愛らしさが引き立つ。
そして、女の嘘は女の本音だから、と優しく認める。
大人の表現で、サラリと男と女の交情を描く。
食と同じように、交情を愉しもう、という気にさせる。

そして、不思議な話も幾つか描かれている。
白狐の霊が、恩返しをする話だ。
小兵衛は、何とはわからぬが、気配を感じる。
名人は、常人には感じられる気配や、勘に目覚める。
だが「そういった感覚に頼りすぎてもいけない」
平常心を崩さぬ姿勢が大切だと説く。
人の意識の脆さを知っているから名人なのだ。


        
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「迷解剣客商売・49」

2011-06-18 19:31:01 | Weblog


今日の独善ひとこと・・・

東京へ治療。
8時に出て、5時に帰ってきた。
新幹線で一時間ちょっとだ。
希望者がいたら、数時間は出来たなぁ・・・


「迷解剣客商売・49」

武士が民を統括していた時代だ。
政治行政司法を武士という心の小さい男達が司っていた。
もちろん人は様々だ。
武士といえど、広い(やわらかい)心の持ち主だっていた。
だが、基本的に武士というのは体面を気にするように育っている。
民よりエライと勘違いしている武士が圧倒的に多かった。

旗本大身(何千石)同士の見栄の張り合いがあった。
武士道を外れた小兵衛は「徳川の世も末だ」と平気で言う。
近江屋「お、恐ろしいことをおっしゃいます。
お声が、高こうございますよ」
小兵衛「鮒は、安いな」
江戸時代、町民はこういう駄洒落を結構言ってたらしい。

嘗ての弟子が巻き込まれた抗争に、秋山親子が乗り出す。
体面第一の武士の性格を逆手に取った。
乞食同然の姿で、両家の殿様や家老や剣士達を棍棒でなぎ倒す。
そんな恥ずかしい話を、誰も公にできずにウヤムヤにする。
小兵衛の弟子は師匠を見破り、久しぶりに対戦して敗れる。
乱入の意味を悟り、感謝と満足の、うっとりした顔で気絶していた。

明治政府から現在に続く政治行政も武士出身が基礎を成した。
だから未だに体面を気にする、心の狭い男達が多くいる。
民よりエライと勘違いして威張る政治家、役人が多い。
日本の政治行政は、400年以上昔から大して進歩してないのだ。
(指摘され、けしからんと言うより、為すべき事があるだろ)

当然、マトモな選挙など指導してない。
世界でも珍しい、名前を大声で叫ぶだけの選挙カー。
各地区の義理で縛った後援会への体裁名簿。
必勝鉢巻、タスキ、習慣にない握手ぜめ。
そんな事で当選しても、民の為の代理人にはならんだろ。

        
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「迷解剣客商売・48」

2011-06-17 20:13:03 | Weblog



小兵衛から家を任された嘗ての弟子、植村友之助。
病身だったが、徐々に回復してきた。
無料で近所の子供たちに、読み書きなどを教えている。
そういう弟子の生き様が嬉しく、様子をみに行った。
すると、子供並みの知能の下男の為七も読み書きを習っている。
来る子供の世話をやきながら、自分もたどたどしく筆を動かす。
その一緒懸命さに、小兵衛の両目も閏うのだった。

為七の作った昼食をみて、小兵衛は目をみはる。
大層工夫して、上手く作っているのだ。
為七は食事作りは、とてもよく覚えるのだそうだ。
「ならば、どしどし台所仕事をさせるがよい。
そこから当人の知恵も育つであろうよ」

人間は、己が知らぬ知恵が幾つも隠されているという。
その知恵の働きが引き出されるキッカケがないかぎり、
「知恵は埋もれたままになってしまうものなのさ」
引き出されてないだけで、全ての人間は幾つもの能力がある。
ワシにだって、いいかげん、の能力があるのだ。
(氣功能力に関しては、説明がメンドウ・・・)

固定概念で学校の勉強、会社の仕事、家の仕事などで能力を計る。
そんなものだけで、人としての評価までしてしまう。
実は、能力は幾つもあるのに・・・
ただ、そのキッカケに出合ってないだけなのに・・・
アホな政治家や役人や経営者だって落ち込む事はないのだ。
きっと、別の仕事なら能力があるのだ。
その前に、性格は治した方がいいなぁ・・・
(おっと、自分もか・・・)

        
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「迷解剣客商売・47」

2011-06-16 18:16:43 | Weblog



ワシは長い間、弥七と同じ意見だった。
どんな人も間違え、勘違いする。
だが、人の世が勘違いで成り立っているとは思えなかった。
多くの人が集まれば、勘違いは修復されていくと思っていた。
勘違いで成り立つというのは、言い過ぎだろうと。

だが、今は小兵衛の言う事がうなずける。
多分、そうだと思っている。
受け入れ難い事実だったが、確信に近い。
人の世は勘違いで成り立っている。
それに気づくと、人の世はもっとマシになる。
マシになるコツは、至らなさの自覚だ。

人の世が勘違いで成り立つと指摘する人は少ない。
社会的に知識者といわれる人は、ほとんど口にしない。
心の仕組みに気づけば、当たり前なのだが。
我々の世の中は、お互いの勘違いの上で成り立っている。
その事を自覚すると、少なくても殺し合いや戦争は無くなる。

自分の正しさは、勘違いかもしれない。
正しさを主張すると危ういかもしれない。
この慎みの部分があるだけで、交流が出来る。
相手を理解しようとする。
理解できぬながらも、認めるから対立しなくなる。


        
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「迷解剣客商売・46」

2011-06-15 19:17:31 | Weblog



以前「虚心」のテーマで小兵衛の言葉を書いた。
ワシが感銘した部分だったからだ。
そこを、もう一度ここに記す。
人を見抜く能力があっても勘違いした話だ。

小兵衛「人間は誰でも勘違いするものだ。」
人の世は勘違いで成り立っている」
弥七「まさか?」
勘違いはあっても、勘違いで成り立っているとは思えないのだ。
すると秋山小兵衛が諭す。
「お前ほどの御用聞きが、その事に気づかぬのはいけないよ。
それほどに、人が人の心を読むのは難しいのじゃ」
ここが中途半端な人生相談のセンセーとの違いだ。
解らない事を認めているから名人なのだ。

そして続ける。
「ましてや天地の摂理などみきわめられぬ」
ここも、中途半端な精神世界を語るセンセーとの違いだ。
簡単に○○の法則などと言うのは、何とも未熟としか思えぬ。
天が、神が、などと語るのは、とても恥ずかしいぞ。

更に、その後に続く言葉も素敵だ。
「できぬながらも、人はそうしたものじゃと、
いつも我が心をつつしんでいるだけでも、世の中はマシになる」
世の中をマシにするのに、難しい事はないと思う。
政治、行政、学者、その他モロモロのセンセー達。
指導する立場で、少し、耳が痛くないかぁ?
この意味さえ解らないなら、人前に出るのはひかえようぜ。
(「徳どん、にげろ」より)

        
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「迷解剣客商売・45」

2011-06-14 21:40:31 | Weblog



剣客と商売に関して、小兵衛が語った事がある。
刀装屋の嶋屋孫助に本音を洩らしたのだ。
道場を拡張し名門にすれば、商売として成功だ。
その為には諸家の庇護、援助が必要となる。
世辞も汚濁の振る舞いも商売には必要となる。
それらが悪い事とは思わぬし、やれぬ事とも思わぬ。

だが、一流の技の道は常に全力で精進せねば落ちる。
好きだから、全力で精進したい。
名利(成功)を求めれば、技の質が下がるのだ。
名利が欲しければ、別の道を歩くほうがいい。
剣術が好きだったから、立身出世はあきらめたのだ。

ワシも治療の道を歩いてしまった。
(治療院)経営の道まで兼ねては歩けない。
ワシは、不器用なのだ。
治療や(健康)指導が好きだし・・・
好きなモノや好きな人と歩いていきたいからだ。
金が無いのは、実際窮屈でもあるが自業自得というヤツだ。

そうして小兵衛は、更にその先に進んでしまった。
剣の道からも己を解放して、名人となった。
大治郎には「お前の剣は、いつになったら商売になるのじゃ?」
などと言ったりするが、実は、その言葉の反応をみてたりする。
まぁ、名人になると、結構ヒマなのかもしれない。


        
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「迷解剣客商売・44」

2011-06-13 20:37:17 | Weblog



嘗ての弟子、植村友之助は病を患った。
その体で、愚鈍だが人の善い為七を助ける。
5千石旗本の長男の凶刃を一本の畳針で防いだ。
根岸流の手裏剣の名手でもあったからだ。
小兵衛は病身の弟子に見舞いする。
そして、その後の旗本一派から守った。

今回の事件で亡くなった御用聞きの富五郎。
彼も元気な頃の植村に助けられた一人だった。
そうして事情を充分知った小兵衛だ。
故金貸し幸右衛門からの遺言で預かった家と金。
その家を植村に任せ、50両を富五郎の妻に見舞金として出した。

剣で人助けをした植村に、も一つ褒美を渡す。
そこには、古びた畳針が一つ。
「昔、わしが紙を綴じるのに使っていたものよ、見覚えあろう」
「せ、先生・・・」ありがたく、押いただいた植村。
他の人には変哲もない古びた針だが、弟子には宝物だ。
「ゆっくりと、お前が辿った道を書きしたためてみるがよい。
その一枚一枚を綴じる畳針じゃ」
「かたじけのうございます」植村の両目が潤んだ。

剣の師匠として、剣で人を助ける弟子に育った事。
教えの真髄を理解してくれた事。
小兵衛も嬉しかったのだ。
「真の師弟というのは、よいものじゃのう」
ワシもいつか、師匠にこう言ってもらえるようになろう・・・
(「いのちの畳針」より)

        
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「迷解剣客商売・43」

2011-06-12 19:53:45 | Weblog



剣一筋だった新婚の二人だ。
一つ臥所(布団)に身を横たえる。
真剣で強敵に対しても呼吸一つ乱さぬ三冬が乱れる。
大治郎の呼吸も荒い・・・未熟者だなぁ・・・
剣術のほかに、このような、すばらしいもの、があろうとは。
結婚前の三冬と大治郎には、予期せぬ喜びだった・・・

あまりに素直な三冬に、小兵衛も改めて感心し目を潤す。
「大治郎は幸せなやつだ」
「父上、まことに、さように思われますか?」
「真も嘘もない。三冬どのが他の女性より優れていると申したのではない。
大治郎にとって、かほどに似合いの妻を得たことが幸せなのだ。」

相性の良さが、深い付き合いには最適になる。
その他の条件など、それに比べたら微々たるものだ。
才能、能力、財力、その他モロモロ・・・
個と社会では、それらが優先する条件だろう。
だが、個と個は、相性が最優先であり、圧倒的な比率をもつ。
相性は個と個が出会わなくては、わからない。
良き相性と出合ったなら、それは人生に大きなラッキーとなる。

        
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「迷解剣客商売・42」

2011-06-11 19:09:39 | Weblog



抜荷事件に巻き込まれて拉致された三冬。
大治郎が鬼の形相で敵地に乗り込み救出する。
父親の田沼意次は通常の言い伝えと違い、傑物だ。
地位や家柄など気にせず、大治郎に頭を下げた。
「どうか三冬を妻に迎えていただけぬか?」
朴念仁で赤くなって、口もきけぬ二人に代わり小兵衛が了承する。
そして、実に簡素な、心こもった婚礼がおこなわれた。
意次は涙を隠そうともせずに、娘の姿を喜んだのだ。

町人と変わらぬ暮らしの大治郎だ。
そんな暮らしの妻の仕事を何も知らぬ三冬。
脂汗をかきながら、懸命に飯を炊く。
「米が飯に変じましたかな?」
「今夜は、だ、大丈夫・・・かと思います」

近くの百姓の女房に教えてもらってるが、思うようにできない。
炊事洗濯生活一般は下男下女がやってくれた三冬だ。
本人は男と同じ剣客として生きてきたのが急に妻になったのだ。
男装から女装に変わり、歩き方の足さばき一つがぎこちない。
三冬(どうも、剣術のようにはまいらぬ)

大治郎は男料理だが普通にこなせる。
ちゃ、ちゃ、と御飯の上に作ったおかずを乗せて三冬に渡す。
「さ、おあがりなさい」と大治郎。
「かたじけない。む、これは、うまい」と三冬。
奇妙で、可愛らしく、超強い新婚が出来上がった。
大治郎の優しさ、三冬の素直さ、理想の形と思えるがなぁ・・・

        
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