製造メーカーから早期退職で介護職に転じた友人がいます。介護を志す人は概して心優しい。友人も例外でなくあたたかいハートの持ち主で、今度の職場の方がむしろ向いているかもしれないと期待をふくらましていた。しかし希望をもって就職したものの施設の厳しい労働状態に早くもびっくりしたと、今悩んでいます。
毎日新聞オピニオン欄(2015/2/2)にまったく良く似た東京都杉並区に住む菊川さんという介護職員の人の意見が載っている。「人手不足の施設の惨状にあぜん・・残業はほとんどないと言われたが実際には時間通りに帰れることはない。・・利用者の記録作成や風呂の掃除がある。夜勤の職員が、そのまま残って日勤をしていたり昼食休憩時に、カップ麺をかっ込みながら見守りをしていたりと・・人手不足→過重労働→職員が辞めていく→人手不足という負のスパイラルなのだと悟った・・」とあります。
サービス残業はたっぷり、それでいて肝心の給料が格安ではとてもやっていられない。全産業に比べ介護職は平均5万円以上低い。離職率は他産業より高い。こんなことでは「介護現場はブラック企業」といわれても言い返せないのではないかな。
わずかな国の補助金は施設で止まってしまい、現場で働く人たちに回ってこない。ピケティ先生の指摘する「格差拡大問題」は、低賃金で苦しむ職層所得の構造からもその要因になっているように思えてなりません。