伊方原発3号機の運転差し止めを決定した広島高裁(野々上友之裁判長)の勇気ある判決に敬意を表します。高裁レベルでは初めてのことだといいますね。
これまで地裁段階で「原発」に対してNOが出ても高裁で抑えられてきました。地裁では、原発に厳しい判決を下した裁判長たちはその後、左遷、異動などで冷遇されていると聞きます。
災害リスクを甘く見るな
愛媛県伊方町にあるこの原発の130キロ先には阿蘇山がある。可能性は低いからと噴火リスクを軽視すれば、子々孫々の代で大きな被害に見舞われることが十分考えられます。おそらく広島高裁の判決は不服として四国電力は最高裁まで持ち込むこどでしょう。そしてそこで示される決定の行方は大方想像ができます。
福島の原発震災後、個々に線量計で外部線量を測って議論しているところまでは、それなりに私も集中力がありました。しかし空間線量の数値が落ち着き、次は内部被曝の測定へというところで「放射線」に向かって行く気力が失せました。
内部被曝の測定は無理
食品の被曝量を検出することのむずかしさもありますが、仮に自宅で測定して汚染度が高いとに判ったからといって、その食べ物を棄てられますか。それは経済的にも、もったいない精神からもできません。また、外食での口に入れるすべての食品をどうやって個々に測定することができましょう。もう私達は放射能を受け入れる他に手立てはないところまで来ているのです。とても悲しいことですが・・
ニンゲンは欲の深い愚かな生き物です。「種としての人類が生き延びることに価値があるのかどうかは、私には分かりません」(小出裕章『原発のウソ』)
それでも絶望しないポポロ(人びと)がいます。あらたな知恵を出し合って流れを正していく道を進んでいるポポロたち。今回でいえば住民原告団のような。それらを忘れないで踏ん張ることだ、と自分に強く言い聞かせています。
原発と戦争を推し進める愚かな国、日本 | |
小出裕章(元京都大助教) | |
毎日新聞出版 |
3.11福島原発震災より数年前の講義 原発なしでも電力足りてる 小出裕章