ドイツの哲学者ヴィルヘルム・シュミット(Wilhelm Schmid)の新刊の老年論を読みました。
『老年を愉(たの)しむ10の発見』(三笠書房)
ドイツ流「穏やかに生き抜く」哲学。
「アート・オブ・エイジング(年をとる術)を身に付けることが大切。老化を拒否することなくまるごとすべて受け入れる・・。
9つ目の「そのとき」を迎える心構え、に注目しました。
価値あるものとは限りあるもの。「自殺」という選択肢もある。それは安楽死という形をとることで・・。
「死について語っても結論はない」とは、巻末解説の養老孟司氏の評。
文中で著者がドイツ・ミュンスター出身のバンド「アルファヴィル」の1984年リリースの『フォーエバー・ヤング』を紹介しています。いつまでも昔のままの自分。その人生が終わりに近づいている事実に個人が徐々に慣れていく・・なんとも哲学的ですね。
『フォーエバー・ヤング』のYouTubeの視聴回数は、2億8百万回。驚くべき数字です。アルファヴィルには、他にも『Big in Japan』というヒット曲があります。日本をテーマにした曲だった割には、なぜか日本国内ではそれほど話題にはならなかったように思います。
「仲の悪い人」「病気」「苦痛」「影」、これらのイヤな存在が刺激になって人生を形作る面は皮肉にも認められますね。
死を語っても結論はない・・究極の結論自体が判りかねるということでしょうか・・。9章以外はゆったりした自然体のトーンの著でした。
【木工さんの写真】矢嶋秀一作 フォト 田口大輔
老年を愉しむ10の発見: ドイツ流「穏やかに生き抜く」哲学 (単行本) | |
ヴィルヘルム・シュミット(ドイツ人哲学者) | |
三笠書房 |
アルファヴィル(Alphaville) 【Forever Young】