昨年の今頃を思い出せば、何倍も大変だったことを思い出します。被官様の件の巫女さまから言われていた数をぎりぎり揃えて急いで納め、これから干支や羽子板市向けの人形に取り組まなければ、、というところで巫女さんから9月に聞いていない数を急に言われて途方に暮れ、そうため干支向けに素焼き貯めしておいた「洋犬のぴいぴい」をほとんど際に間に合わせることができなくなった憶えがあります。
今年は被官さまはくびになったのでその分これから先の準備には余裕があることを期待していたし、じっくり取り組めると思っていたところ、そうでなくなって再び焦っています。数としては被官さまの比ではありませんが、高崎市内の「和田稲荷」さまから秋口になって期限付きのご依頼があったからです。11月下旬の理想の作業進行としては、干支と羽子板市に専念して万全を期したいところ。昨年は「和田稲荷」さまへのお納めは1月10日頃と言われていたので、羽子板市が済んで、王子の狐の行列向けの準備と並行して準備できたのですが、今回は羽子板市前の期限ということで、お受けしたからには、しっかりお納めしなければとゆうべやっと完成はさせました。ここの鉄砲狐は今戸の狐から型どりしたものが摩耗して顔の尖りのなくなった形状で神社さまのご希望で昔の調子で、ということで作っています。ワイルドさを意識していますがどうでしょうか。
赤の部分は古式を残す鉛丹のようなオレンジ色。鉛丹自体は使用できないので、洋画用のピグメントの「カドミウムレッドライト」と水干絵の具の「橙黄」とを混ぜ合わせた色で塗りました。これらを急いで発送して干支や猫類など間に合うよう頑張りたいです。
土を探してとってくるところから始めて、水簸とか、粘土作り、成型、焼成、絵付けと、全部一人でおやりになって、ぎりぎり仕上げていらっしゃるご様子…。
被官様の巫女さんの件は詳しくは存じ上げませんが、そういうことを知らない方が、気楽にたくさんの数を注文なさった様子で、聞いてて腹が立ちます(^^;)。。 昔のお代官様か何かが上から目線でこれこれをいついつまでに納入せよ!と言っているみたいで…。一人で仕上げている伝統工芸品ということを理解せず、作る苦労も知らないのでしょう。他の制作にも差支えが出るのに…。
今戸の土人形の成り立ちからすると、かつては子供が小遣いで買えるものだったのでしょうが、今は大人が買うもので、伝統工芸品になるものです。まあ、あまり値段が上がると何となく品が損なわれる気もしますが(同じものなのに不思議なことに)。少し値段を検討されて、無理をなさらずに制作に取り組んでほしいと、遠いところで考えている者です。
ありがとうございます。値つけが低すぎる、ということですね。これって自分なりにしんどさや思い入れがあって、内心これじゃあ厳しいと感じながら痩せ我慢しながらつけているのは事実。お金はそれはそれは欲しいです。例えばパートの時給のように換算してみれば小さな人形ひとつでも土から塗りあがりまでの就業時間として考えればこんな対価で生活できる金額ではありません。ただ過去に消費者としての感覚で、例えばこけし。仮に同じミズキの木から作り出されたこけしでもある工人さんのサイン入りで数万につけられ欲しい人が群がっている。同じ木片から作られたこけしが数百円で売られている、工程としてはほぼ同じ手間なのに、、、。ある工人さんは一日2本くらい作って数万円で売れば生活できる、、という話を聞くと変だと思います。土人形でいえば、伝統的な土人形の製作を継いだ作者とアーティストを兼ねたような人でバブルの頃干支の鶏の人形一羽で一万数千円つけていたり、土雛にサインを入れて買ってきた桐の箱に落款をつけてうん万!信じられない、と思いました。そういう現実を見てしまうと、自分ではそういう山師的なことはしたくないと思いますし、それでも最近感じているのは、自分の体力と実際動くことのできる時間の限界です。出来から安すぎると見えるのであればうれしいです。ひねり鳩一羽にしても拙作の25倍もの値をつけて木箱に入れて売られているのをみたとき、自分もう少しつけさせてもらってもいいのかな???と思ったのも事実です。巫女の高橋さんの件は言語道断。自分って野良犬以下だったのか、としみじみ思いました。
値段が少し高くなれば、いきなり100個とかの注文はなくなるのではないかと素人考えです。他の人からそういう話はないですか?私など、ずいぶん遠い立場の人間ですが。
いまどきさんが上で書かれておられる通り、これからの体力その他を考えても、値段を少し上げて、仕事を選んで、作りたいものを長く作ってほしいと、土人形で心を癒されている一人のファンとして(あまり買っていませんが(笑))思います。