かねてより宮城県内のお稲荷様より頼まれていた狐のお姿、やっと塗り終わり、数を確認してから神社へお送りする運びです。先方からは、具体的にどういう姿や色というご希望がなかったので宮城県大崎市内という土地から推して、仙台の堤人形と岩手の花巻人形の販路だったと考え、これらの産地の古作の狐に倣って作ることが無理のないローカル感もあって相応しいだろうと堤の奉納用の古い狐の形を踏襲して試作をしました。社名を陽刻として両側面に入れました。
試作を先方へお送りしたのち、あちらのご希望で「目を鯨眼にしないで一筆目にしてほしい」「黒鼻を入れてほしい」というご希望の他は堤式でやって欲しいとのことなので、今戸人形ではないし、先方のご希望に沿って作ることが本分なので、このようになりました。古作の堤の「鯨眼」ではなくなり、それなら原作のように地塗りの胡粉の上に「きら」(雲母粉)でパールの地を作るだけの必然性もないので胡粉地のままにしました。塗りながら感じたのですが、半分堤式のこれらの狐の彩色、まがい金泥(真鍮粉)で光らせる部分がやたら多いですね。耳の縁や台座の縞、尻尾の先や付け根、、。個人的には金色を乱用するのはあまり好きではないんですが、先方は金がよいみたいです。
自分にとっては一筆眼のほうが鯨眼より楽です。金を多用するだけ、今戸の鉄砲狐よりも手数が多く、案外しんどいと感じました。
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