今日小さな鳩笛を会場へ運んで、会場の方とお話していたところ、初日にお越しくださったお客様が、「いつもならお盆の上にひねり鳩や泥めんがあるのに今回はない」と
がっかりされていた、というお話でした
こちらのブログをご覧いただいている方すべてではないので、ここで記していたとおり初日には間に合わないものは、会期中に出来上がり次第、会場へ運びたいと考えていることはすべてのお客様に伝わる術もありません。
ただいまひねり鳩を塗っています。本来は生土を丸めて竹ひごを差し込んで、焼かずに彩色して仕上げられたものなので、バランスをとりやすく、焼かない分時間もかからないのですが、それだけ脆くはかないものでした。古いものが残ることが少ない原因でもあります。昔ながらに焼かないほうが作りやすいと思いますが、耐久性も現代では必要だと考え、先に生土に差した竹ひごを乾燥前に外して、素焼きしてから収縮した分小さくなった孔に合わせて竹ひごを差し、胡粉で地塗りをする。面倒だし、バランスが取りにくいです。たくさん作れません。
そんな訳で二枚の割型の人形よりシンプルに見えて工程的には時間と手前がかかるのが実際です。柄によっては彩色の上に砂子を蒔きます。
もともとは焼かない生土製の人形ですから、今戸焼の人形というより浅草の観音さま境内で鬻がれていたもので、材料としては今戸人形同様浅草周辺の土、一説には今戸のとなり町などで窯を持たない人々の生業であったように記されていますが、その点一文人形にも共通する点もあるかと考えています。
それにしても、観音さまのの境内で鬻がれていた頃の効能として謳われていたのが「子供の食膳に置いておけば、食事のつかえをついばんでくれる」というのが面白いと思いますが、医療の発達していなかった時代にはまじめなお呪いだったのでしょう。
追記 本日14:00頃会場へ運びました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます