オーディオに興味のある方ならご存知と思うが、新製品の購入に当たってオーディオ評論家の意見をどのように参考にするかは、無駄な出費を防ぐ意味でも極めて大きなものがある。
若い頃の経験で言えば、全ての製品を試聴できるわけでもないので、特定メーカーへの信頼性や日ごろから自分と肌合いの合いそうな評論家の試聴記事を参考にして、エイヤッと購入し、しばらくしてこんなはずではなかったと涙を呑むことになる。
次の製品を購入するときにはもう中古になってしまうので、下取りで3割程度しかとってくれない。こうした無駄とも思える出費を、まるで夢遊病者のように2年~3年おきに繰り返し、その都度、家庭内冷戦が勃発した。
つまるところは全て自分の判断ミスが最大の原因とは思うが、やはり誘因になったのは評論家による新製品の絶賛記事だろう。
今になると、ゆとりを持って苦笑できるが、評論家も人の子でメーカーとの付き合いもあるだろうから、製品をあからさまにけなすわけにもいかず、試聴記事のやっと最後の部分で本音をチラリと見せることが多いと聞いた事もある。
振り返ってみて、自分の反省をこめて言うのだが、ほとんどのオーディオ製品は、部屋にポンと置いただけではいい音はしない。現場の状況に応じて少なからずいろんな工夫が要る。そして、メーカーも利潤追求が基本だから、コスト面から妥協して製品の一部に手を抜いている部分が必ずある。
したがって、中途半端な新製品を購入する前に(どうせ若い頃の懐はしれている)自分が購入した製品を簡単にあきらめないで、まずシステム全体での弱点の部分、次に個別の製品の弱点部分を把握して、その辺の改良を時間をかけて気長に取り組むのが一番いい方法だと思う。
とにかく、あまりあせらないことが肝心。その意味では、ネットワークの改良などは比較的簡単な仕組みで、お金もあまりかからず効果も大きいので楽しめると思う。ただし、ネットワークは随分と奥が深いので専門的知識を持った人のアドバイスが必要だが・・・。
そして、もし中高年になってオーディオ熱がずっと続いていれば、それは本物なので50才台以降で本格的な大勝負をかけるとよい。それまでは、せっせとノウハウや知識を蓄えいろんな人の音を聴いて自分の耳をきたえておくほうが賢いやり方だと思う。
ただし、以上の話は自分のように財力に限界がある人間向けの内容なので念のため。