「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

春眠暁を覚えず~クラリネットの誘惑

2025年03月15日 | 音楽談義

「春眠暁を覚えず」ってホントですね!

今朝(15日)は珍しく起きたのが5時半と寝坊しました・・、いつもは4時起きなのに~。昨夜はいつもの8時に寝たので睡眠時間はなんと9時間半です。まだこんなに寝れるんだと、ついうれしくなりましたよ(笑)。

したがって、いつもと違って2時間遅れでこのブログをお届けします。昨日自宅で聴いた「クラリネット」をせわしなく主題にしましたが、一発勝負なので、出来栄えはイマイチかなあ~(笑)。

それでは以下の通り~。

その昔、「ジャック・ランスロ」というクラリネット奏者がいました。

新聞の三面記事の下の方にちょっとした死亡欄があって次のような記事を切り抜いて保存しています。

ジャック・ランスロさん(仏のクラリネット奏者)
7日、心不全で死去、88歳。

フルート奏者の故ジャン・ピエール・ランパル氏と並び、フランスの管楽器界を代表する存在だった。浜中浩一、横川晴児両氏をはじめ、日本でも多くの後進を育成。楽器の改良にも貢献した。


享年88歳とはなかなかの長寿を全うしたことになる。世界に誇る日本人男性の平均寿命でさえ81歳なんですから。

「管楽器奏者は肺活量がモノをいうので若い頃からその辺を鍛えていたのが長生きの原因ではないか」というのが筆者の推論です。


名著「西方の音」(五味康祐著)には、フランス人に管楽器の名手が多いのはフランス語の発音(唇や舌の使い方)が管楽器の演奏にマッチしていて幼児の頃から訓練されているからなんて記載があったのをふと思い出しました。

そういえばポピュラー音楽のジャンルに入りますが、トランペット奏者の達人「ジャン・クロード・ボレリー」もフランス人です。

さて、ランスロといえばモーツァルトの「クラリネット協奏曲」(K622)が有名で、これは同じフランス出身のフルート奏者ランパルの「フルートとハープのための協奏曲」(K299)とカップリングになっているCD盤があります。

                        
             
ただし演奏曲目としては「フルートと・・・」の方が有名で、これは昔から極め付きの名曲と名演(ランパル~ハープのラスキーヌ~パイヤール指揮)とされていて、モーツァルト・ファンでこのCDを持っていない人はモグリであると断言しても差し支えないほどです。

作品の方は旅先での母親の死という悲運に見舞われたパリ時代(二度目)の22歳のときのもので、ある貴族とその娘さんが共演するための曲目として作曲を依頼されたもので典雅で叙情的な旋律、とりわけ第二楽章は筆舌に尽くしがたいほどの美しい調べ~。

さて、肝心のランスロによるクラリネット協奏曲の方だがこれもいい演奏だとは思いますが、ひと昔前はレオポルト・ウラッハ(ウィーン)の演奏したものが極上とされていましたた。しかし、惜しいことに録音年次が古くてこれはモノラル録音。

両方の演奏ともにずっと以前に購入して既に聴いてそれなりの感想を持ってはいるのですが、その頃とは随分とオーディオ装置も変わったことだしと久しぶりに聴き比べてみました。

クラリネットは柔らかく甘美な響きを持ち、聴き手をほのぼのとした気分に誘い込みながら自然と森の情景の詩人にしてしまう不思議な楽器です。

                        

            

左が「クラリネット協奏曲、右が「クラリネット五重奏曲」。天才「モーツァルト」はクラリネット関連曲でも珠玉の絶品を残しています!

そして、当時聴いたときと同じ印象で音質(録音)は劣るものの晩年のモーツァルトの内面的な渋さ、あのオペラ「魔笛」にも共通した「うら淋しさ」と「透明感」を求めるとなるとウラッハに一日の長があるように思う。

特に第二楽章のアダージョの深く精神的な味わいは「モーツァルトが死の近いことを予感しつつ作曲した辞世の歌」とされていますが、いたずらに感傷に流されることなくふくよかでゆったりとしたクラリネットの音色が自然に拡がっていくのはウラッハならではの枯淡の境地。

ウラッハ以後のクラリネット奏者では、ランスロも含めてプリンツ、ライスター、シュミードルなどの名手がいますが個人的にはちょっと物足りない気がします。


むしろ、近年では「You Tube」でよく聴かせてもらっている「アッカー ビルク」(英国)が、ポピュラー音楽の範疇に属するけどとても素敵です。クラリネットの粋を聴かせてくれます。あまり頼りにならないけど筆者が保証します!(笑)



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