昨年の7月から視聴しているクラシック専門放送「クラシカジャパン」(CSデジタル)。
月の初めに送付されてきた1か月分のプログラムのうち、気に入りそうな番組をチェックして予約録画している。今年も元旦から「とりあえず予約 → 録画 → 実際に視聴 → 気に入った演奏だけ保存」の繰り返し。
しかし、唯一の不満が画質はまあまあのところ、音質がもう一つ。
中高域部分に不足はないがどうも200ヘルツ以下の帯域が弱い。肝心の力強さと分厚さが感じられない。このファンダメンタルな響きが充実していなければ、たとえばワーグナーの音楽を聴いて、あの「背筋がゾクゾクする感じ」が味わえない。これは非常に味気ないことこの上なし。
はるか宇宙から送られてくる電波を小さなパラボラアンテナで拾ってありきたりのチューナーで音にするのだから仕方がないと半ばあきらめていた。
ところが、ある対策によってこの不満が完全とは言わないまでも見事に払拭されたのである。
以下、経緯を記してみよう。煎じ詰めれば前回のブログにも記したようにオーディオにはすべて「決まりごと」があることに由来する話。
今さらの話だが、オーディオとは「物理学の法則」と「人間の感性」とのコラボレーションで成り立っている。これまで我が家はどちらかといえば、メーカーの指示なんかほとんど無視して、もう分かっているといわんばかりに、「感性優先」でやってきたわけだが、今回のMさんのメールは初心に戻って「物理学=基本=決まり事」はきちんと押さえたうえで感性を発揮して応用しようという謙虚な気持ちにさせてくれた。
まず、真っ先に思い浮かんだのが愛用しているDAコンバーター(ワディア27ixVer3.0、以下「27」)のボリュームの使い方。
この「27」にはデジタルボリュームがついており、プリアンプなしでも使用できるようになっている。目盛が「0~100」となっていて、1dbが2目盛になっている。現用のシステムには「27」の出力を4分配し、低域用としてそのうちの1系統をアッテネーターを経由してアンプと接続している。
取扱い説明書には、「27」にアッテネーターやプリアンプを接続するときはボリュームを最大限の100まで上げることとあったが、そのうち、すっかり忘れてしまい、聴取位置から音量の調整をリモコンで遠隔操作出来る便利性を優先して、「27」のボリューム目盛を60程度にし、アッテネーターの固定目盛を5時の位置にしてこれまで聴いてきた。
たとえば、ソースにも録音レベルの高いものから低い物まで千差万別でジャズの「サキコロ」などを聴くときには、遠隔操作で「27」のボリュームを90目盛程度に上げていたというわけ。
そこで、今回「決まりごとには忠実に」をモットーに、まず「27」のボリュームを最大の「100」にして、アッテネーターのボリュームを絞り込んで3時の位置にして聴いてみたところ、低域の目方がグ~ンと見違えるほど増えた。いやあ、これには驚いた!
CDを聴いてみても悩みの種だったJBLの3ウェイシステムの「D130ウーファー」と「375ドライバー」の繋がりに不自然なところがまったく感じられなくなった。原因はここにあったのか!あ~、良かった。
音の入り口部分で十分な電圧を確保しておくことの重要性を今さらながら認識。これまで「27」を10年以上使ってきたのに、今ごろこんな初歩的なミスに気付くなんて、まったく、バカに付ける薬なし~(笑)。