年末に借りてきた本を、返却期限がオーバーして督促が来ないうちに早めに返しに行こうと8日(火)~9日にわたって4か所の図書館を巡ってきた。
まず、いつも近刊本が手に入りやすい穴場的存在の鄙びたH図書館で借りてきたのが次の5冊。
☆ 「太平洋のレアアース泥が日本を救う」(2012・8・1 PHP新書刊)
これでも人並みの愛国者なので、近年「南鳥島」の近くで巨大鉱床(レアアース泥)が発見されたというニュースには本当にうれしくなった。本書によると日本再生の切り札となる「夢の泥」だそうだ。
ハイテク産業に欠かせないレアアースだが周知のとおり中国が独占的に所有しており、何か気にくわないことが起こるとすぐに、輸出制限をしてくるので、その都度イマイマシイ思いをしてきたのだがこれでようやく解放される気分になった。
ただし、最近のニュースによると各国ともレアアースの代替品も含めて購入の多角化が進展し、中国のレアアースの禁輸措置も実効性が失われてきており、そのため産業自体が斜陽化しているとのことで「ザマアミロ」。
これから本書をじっくり読んでみることにしよう。
☆ 「火車」(かしゃ)(宮部みゆき著)
年末に帰省した娘が持っていた「東西ミステリーベスト100」で歴代の5位(国内編)にランクされていたので、一つ読んでみるかと「火車」を借りてみた。近作の「ソロモンの偽証」も随分評判がいいようだが、上中下巻と3冊もあるので、読み尽くすとなるとよほどの覚悟が必要になる。
彼女の著作は「蒲生邸事件」、「模倣犯」を読んだが、後者は前半に比べて後半がちょっと雑だった。一般的にミステリーを読んでいつも思うのだが、前半は作者の意気込みが伝わってきて勢いがいいが、肝心の後半部分になってくると空回りして息切れしてくる作品が実に多い。
はたして「火車」はどうだろうか。
☆ 「知っておきたい電力の疑問100」(2012.8.15 )
オーディオマニアがいつもお世話になっているのが電力である。何と言っても電力無くしてオーディオは語れないが、機器それぞれの電源の取り方によって音質が大きく左右されるのも事実なので電源対策はユメユメおろそかにできないところ。
さて、深夜に音楽を聴いて「どうしてこんなに音がいいんだろう」と、心から感動し、”夢よ再び”と翌日の朝に同じ音楽を聴いてみると、サッパリ音の透明感が失われて前夜の感動が少しも蘇ってこないという経験をお持ちの方が結構あるのではあるまいか。
自分は何度もそういう経験をしてきた一人だが、その原因として「どうも深夜の電力は昼間の電力とは違うのではないか」という思いを捨てきれない一人。たとえば電力需要が多い昼間は98V程度の供給にとどまり、夜間になって正規の100V供給になって機器が本来の能力を発揮するとか。もちろん、深夜は室外も含めて周囲の環境のSN比も違うということもあるのだろうが。
本書を読んで、その辺が解明されるといいのだが、はたして。
☆ 「氷の秒針」(2012・6・24 大門剛明著)
ミステリー作家の「大門剛明」の著作は、これまでひととおり読んできた。2009年「雪冤」で横溝正史ミステリー大賞&テレビ東京賞をダブル受賞した新進気鋭の作家である。
1974年生まれだからまだ40歳に達していないのにこれだけの筆力だから今後が楽しみ~。
それはそうと、略歴を見ると「龍谷大学文学部卒」とあるが、総じてミステリー作家は有名大学を出ていないところに興味を引かれる。
ほかにも2011年の江戸川乱歩賞受賞作「よろずのことに気をつけよ」で圧倒的な筆力を見せつけた「川瀬七緒」は文化服装学院服装科卒業である。
その原因の一つとして、たとえば有名大学は概ね入試科目が多岐にわたっており総合点が良くないと合格が難しいが、国語だけとかの文筆の才能だけに限って言えば、有名大学の合格者よりもそれ以外の大学出身者の方が才能に恵まれた人材が比較的多いことが伺える。
これはミステリー作家だけに限らず、文学全般にわたっての作家にも通用しそうだ。
人間の隠された能力は大学のブランドだけでは到底推し量れないことをいつも痛感する。
☆ 「おやすみラフマニノフ」(2010・10・26)
たまには音楽の本でも読んでみるかと書架から手に取ってみた。ラフマニノフはあの有名な「パガニーニの主題による狂詩曲」の妙なるメロディーが耳に焼き付いていて、まあ、好みの作曲家ではある。
ところが、この本は何とミステリーだった!
「秋の演奏会を控え、第一ヴァイオリンの首席奏者である音大生の晶は初音とともに、プロへの切符をつかむために練習に励んでいた。しかし、完全密室で保管されていた、時価2億円のチェロ、ストラディヴァリウスが盗まれる。脅迫状も届き、晶は心身ともに追い詰められていく。
さらに彼らの身に不可解な事件が次々と起こり・・・・・。メンバーたちは果たして無事に演奏会を迎えることが出来るのか。ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」がコンサート・ホールに響くとき、驚愕の真実が明かされる。」
さて、額面通りに本当に面白ければいいのだが・・・・。
以上、この調子で外にも3つの図書館から借りてきた本を順次紹介するつもりだったが幸い、この辺で紙面が尽きたようで(笑)。