ときどき、オーディオマニアが”音をいじりたくなるとき”というのはどういうケースがあるんだろうと考えることがある。
1 音楽を聴いていて耳障りな音が聞える時があったりして鑑賞に集中できない。音質に対してはっきりと不満があるとき。
これは、当たり前のこととして次のケースはどうだろう。
2 音質に対して特段の不満はないが、どこかを”いじる”ことでもっと「好みの音」になるかもしれないと思うとき。
つまり、音質に対して欲張りというか貪欲というべきか。実を言うと、自分は圧倒的に2のケースである。
周知のとおり音楽は耳で聴くというよりも脳で情報処理をしつつ鑑賞しているわけだが、脳は単純性やマンネリズムを嫌う性質があり、いつも同じ音ばかりを聴いていると飽きてくるのも事実である。
とはいえ、次のような考え方もある。
作家の村上春樹さんは作家になる前はジャズ喫茶を経営するほどのジャズ好きで、中古レコード屋を巡るのが今でも大好きで、当然のごとくオーディオにも無関心ではいられないはずだが、この点に関して以前のステレオサウンド誌のインタビュー記事で次のような趣旨の回答をされていた。
「ずっと長い間、同じシステムの音で聴いてきましたのでその音が我が家の試聴時のメルクマール(指標)になっています。そりゃあ、いろんな機会に我が家よりももっと”いい音”を聴いたりすることがありますが、それで(我が家の)システムを替えようとまでは思いません。」
ちなみに、村上さんのシステムは古いJBLの3ウェイシステムで、アンプはアキュフェーズだったと記憶している。下世話的な発想だが、あれだけのベストセラー作家だから印税で懐はたっぷりのはずで、広い部屋を準備し豪華なシステムを購入するくらい造作もないことだろう。
とにかく、これも一つの見識だと思うし、むしろ、これが正常なのかもしれない。まあ、執筆作業に忙しくて暇がないし面倒くさいというのもあるかもしれないが。
「音楽とオーディオ」の両方を天秤にかけたとすると、人によって傾き方がそれぞれ違うわけだが、村上さんの場合はきっと音楽の方に圧倒的なウェイトがかかっているに違いあるまい。ところが、我が家の場合、両者の比重はせいぜい五分五分か、むしろ近年ではオーディオの方にかなりのウェイトがかかっていることを潔く認めなくてはならない。
随分、前置きが長くなってしまった。日頃からあまりにシステムの構成をクルクル変えていると、「お前はしょっちゅう音をいじっているなあ」と、言われるのがつらくて、ついこういう言い訳が必要になってくる(笑)。
前回のブログに記載したとおり新しいプリアンプの導入でオーディオ・マインドに久しぶりに火がついてしまった。現状の音質に取り立てて不満はないしむしろいい方向に推移しているのだが、”もっと”という欲はなかなか収まらない。
な~に、時間はたっぷりあることだし、悪けりゃ元に戻せばいいだけの話なんだから。
16日(水)は運動ジムの定休日なので朝一に近所の周回程度のウォーキングに留めてから、ずっと実験にかかりっきり。
今回は、これまで椅子代わりに使っていたスーパーウーファー(以下、「スーパー」)をおよそ2年ぶりくらいに導入してみた。
愛用している「AXIOM80」に新プリアンプを接続 したことにより、音が心持ち豊かになったので、ウーファー3発のうち、上の2発だけを鳴らすことにして、その代わりに低音部の充実を図るため、「スーパー」を導入したもの。
写真でご覧のとおりだが、右側の「スーパー」の上に別のSP(リチャードアレンのフルレンジ)を載せるなんてと、顰蹙を買いそうだが、両者を同時に鳴らすことはないので念のため。
また、なぜ3発から2発にしたか、もう一つの理由は、これまで、ウーファー3発を「ケンウッドの0「1-A」(トランジスター・アンプ改)で鳴らしていたのだが、SPユニットのインピーダンスが理論上「2.7Ω(8Ω÷3)」となり、これではアンプの負担が大き過ぎるので以前から「4Ω(8÷2)」にしたかったというのもある。
いろんなソースを試聴しながら、「スーパー」の「ハイカット」の周波数とボリュームの位置を調整するのに半日ほどかかったが、ようやくそこそこ満足のいける音になった。「スーパーは出来るだけ控えめに」が使いこなしのコツのような気がする。
ウーファーが2発になったことによりボックスの共振が抑えられて、神経質な「AXIOM80」もご機嫌が一段と良くなった気がするが、はたして。
体調のいい日、悪い日を含めてしばらくこれで聴いてみることにしよう~。