先日のブログ「一つのエンクロージャーで3つのSPユニット(口径30センチ)を愉しむ」シリーズを連載したことを覚えておられるだろうか。
グッドマンの「棺桶型エンクロージャー」を改造し、3つのユニットをそれぞれ簡単に入れ替えが利くようにしたもので、その再掲画像がこれ。
左から「JBLのD123」、「グッドマンのAXIOM150マークⅡ」、そして「ワーフェデールの赤帯マグネット付き」だが、出てくる音質にそれぞれ捨てがたい味があって日替わりメニューのように入れ替えて楽しんでいたが、いよいよ新たな決定版の登場でそれにも終止符を打つ時がやってきたようだ。
長年探し求めていた幻の「TRI AXIOM 」(以下「トライ・アクショム」)(グッドマン)がオークションに出品されたのだ!
解説文を見てみよう。
「Goodmans Tri Axiom Model T88 12インチ( 30センチ同軸 3way ) 16オーム アルニコマグネットです。
TRI AXIOM としては初期のもののようでおそらく1960年代後半頃と思われますが定かではありません。
これ以降のものはたまに見るんですがこれと同じものをほとんど見たことがなく十数年前に入手し使っていました。
エッジに補修跡があります、動作には特に問題ありませんが、あまりに細かいところはご容赦ください。しばらく使ってなかったのでツィーター用のアッテネーターはガリありですが回していれば取れてくると思います。」
以上のとおりだが、通常の口径30センチのユニットではせいぜいダブルコーン方式(2ウェイ)までだが、「トライアクショム」は同軸3ウェイとしてツィーターまで付いているのがミソである。
あの中高音域の艶やかさに定評のあるグッドマンだからさぞや素晴らしい音質だろうとはおよそ想像がつく。また、実際に所有しているオーディオ仲間からも「べた褒め」で、耳にタコができるほどその凄さを聞かされてきた。
やはり執念というものは恐ろしい、とうとう「トライアクショム」を見つけ出したのだから~(笑)。
こういう希少な逸品ともなると、お値段を問う気にもならず「即決」(もちろん常識の範囲内だが)で落札した。さっそく自宅に届いたユニットを並べてパチリ。
輸送中の事故も無く致命的なダメージもないようだ。マグネットの形状が明らかに「アルニコ」タイプなのでひと安心。これが「フェライト」タイプになると平べったい形状になる。
そもそも「アルニコ」と「フェライト」とで音質にどのような違いがあるかは有識者の間でも論争があるところだが、我が経験ではこれまで「フェライト」タイプで気に入った音が出た試しがない。
早くバッフルに取り付けて音出しをしたいのでさっそく工作に取り掛かった。こういうこともあろうかと余分なバッフルを2ペアほど準備していたが、本体に取り付けるためのネジ穴合わせ、直径30センチの穴のくりぬき、そして塗装などたいへんだった。
午前9時から作業に取り掛かって、ようやく音出しができるようになったのが昼食をはさんで午後2時頃のことだった。猛暑の中の玄関先での作業だし、やはり老骨には少しこたえた(笑)。
先日お見えになったオーディオ仲間が一連の「SPユニットの工作」を見て「とてもそこまでは”やる気〝が起こらん。」と仰っていたが、やはり相当な熱意の後押しがないと無理のようですぞ。
ご覧のように、グッドマンにはおあつらえ向きの純正の「ARU」(背圧調整器)がエンクロージャーの下部に付いているので「おかしな音」の出ようはずがないが、こればかりは実際に聴いてみないと分からない。
それくらい、周辺機器とのマッチング次第でスピーカーの音は変わるが、取り分けグッドマンのユニットは繊細なのでアンプを選ぶことでも有名である。
さあ、いよいよ待望の音出しだ!
以下、続く。