「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「家はインフラ」~ウマさん便り~

2025年01月23日 | ウマさん便り

前回、アラントンハウスには鏡が多いと言う話をしましたね。
下の航空写真を見ていただくと、邸内に、陽のあたらない箇所が数多くあることが、容易にわかると思う。



二万四千坪…甲子園球場のほぼ二倍ある敷地は、林あり森ありで、様々な動物が住んでいる。
野ウサギ、キジ、リス、おこじょ(イタチの一種)、無数の野鳥、鷹や鷲、巨大なフクロウにモグラ、そして鹿など…
鹿は家の裏の森に住処があり、毎年、春になると親子で散歩している姿をみる。
しばらくすると娘たちバンビだけで散歩に出る。だけど、母さんから言われていると思う…
「変なおっちゃんがおるから相手しちゃダメよ」
しかし、ウブなバンビちゃんたち、興味津々で僕の部屋を覗く…
「…おっちゃん、何してんの?」

このアラントンハウスは、東京にある公益法人「五井平和財団」の全面的サポートを得て、ヨーロッパに於けるNGO活動の拠点として運営されている。

公益法人の資格は政府により厳正に審査されるので取得はかなり難しい。アラントンもそれに準じたスコットランドの資格を得ている。「チャリティ・ナンバー」と呼ばれるのがそれで、認可を受けるのは簡単ではない。NGO組織アラントンが、チャリティ・ボランティア団体として、政府からこの認可を得た時、その値打ちを知らなかった僕は、アラントンのスタッフが歓声をあげているのを不思議に思った。


この「チャリティ・ナンバー」を取得すると社会的信用度が断然違ってくる。取得してすぐに、地元ダンフリースの市長や警察署長からの挨拶があった。つまりアラントンは半ば公的存在だと認められたんですね。


アラントンハウスは、築二百年は優に越えるヴィクトリア時代の建築です(推定240年)。当時は豪勢な貴族が住んでいて、敷地は今の十倍はあったと言う。

ここで、彼我(ひが)の違い…英国の住宅事情を説明しておきましょう。
例えば、日本では…「家を建てるんです」「家を建てましてね」…こんな会話は珍しくないよね。

しかし、英国で、このようなコメントは、まず聞かない。なぜか?…

家は「既にあるものを買う」のが普通なんです。つまり、家はインフラ、社会資本だということです。木の家と石の家の違いも、これに影響している。

日本では年月を経た家の価値はどんどん下がるのが普通だけど、英国では、通常、古くなっても価値があまり下がらないんです。

特にヴィクトリア時代の家など、かなり人気があり、決して安くはなく、高価な物件も少なくない。

ついでに言うけど、日本人の間違い英語の筆頭が「ホテルのフロント」と共に「マンション」です。これは何度も述べてきたよね。昭和30年代に、無責任な不動産業者が勝手に名付けた。

「アパートよりかっこええ名前がないやろか?…そうや!マンションがええ」…で、日本じゅうのアパートがマンションになってしまった感がある。マンションは一戸建ての大邸宅のこと。2DKや3LDKのマンションなどあり得ない。アラントンハウスのような大邸宅がマンションなんです。

数年前だったかな?うちに初めて来た若いポストマンが、僕に郵便物を手渡しながら言った…「素晴らしいマンションですね」

日本のマンションを英語でいうとアパートメントです。

「ホテルのフロント」は、正しくは「レセプション」で、英語で言う「ホテルのフロント」は、ホテルの玄関、つまり建物の外です。ホテルのフロントで待ち合わせした外人さんは玄関の外で待ってるよ。

大阪の阿倍野にあった「ホテルエコー」…一階のロビーに入るとエスカレーターがあり、案内板に「フロントは二階にあります」とあった。ところが英語でも書いてあり「 Front of the hotel is upstair」…「ホテルの外は二階にあります」…なんじゃこれ?


僕の地元ダンフリースの街には、創業四百年以上のパブが何軒かあり、当時の建物を今でも維持している。そして、そこら中に、築二百年〜二百五十年の家があるよ。10年ほど前かなあ、街に住む一人住まいの婆さんを訪ねた時…「婆さん、この家も古いね」…ところが婆さん…「いや、ウマ、まだ新しいわよ。百年ぐらいじゃない?」もちろん、住宅開発業者による新築の分譲住宅もあるけど、古い住宅の「使い回し」がごく普通だということですね。家はインフラ…わかってもらえた?

アラントンハウスのようなビクトリア時代の大きな邸宅に住んでいるのは、例外なくお金持ちです。古い分、その維持管理にかなりのお金がかかるからです。我々は決して金持ちじゃないので維持管理は自分たちでやる。外壁の高い場所での修復作業など、クレーン車を借りてきて自分たちでする。
つまり、僕、ウマ自身は、NGO活動のお手伝いをするかたわら、家の維持管理、家の内外の修理修復、ガーデンでの野菜類の栽培・収穫、それに主夫として、毎日、結構忙しくしています。

一日の仕事を終えた夕べ…お香を焚き、レコードに針を落とすひとときが、至福の時間なのでございます…(急にお上品になっちゃったりして…)

「宵のひととき…脇に、ちべた〜いシャルドネをはべらせ、椅子に深く腰掛ける…漂い流れ来る音楽…その心地よい響きに、我、一人ため息をつく…」
わーい、ウマさんて、詩人かい?

ところで、あんた…「大きな家に住めていいじゃない…」と思ってない? …ところがね…
家の中でケータイが要るのでござるよ…「どこにおるー?」「ゴハンやでー!」

塔があるから城だと言った方がいる。塔のてっぺんからの景色は360度絶景です。

猫のマルコは森にあるモグラの巣で寝込んでしまったのか、朝帰りしたことがあるよ。
門限は9時〜5時だけど、守らないねえ、この娘…



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