歳を取ると、明らかに高音域の聴取能力が落ちている(誰でもそうだが)にもかかわらず、いまだに「いい音」が出そうな機器にはつい食指が動く。
もうバトルに参加する資格がほぼ無くなっているのに、気持ちだけはまだ若いつもりなのでそのアンバランスが始末に負えない。オーディオ以外にもいろいろあるが・・(笑)。
毎日、パソコンに向かうと最後の締めはオークションを覗き、キーワードを数語打ち込んで「何か掘り出し物は無いかな~?」のクセがすっかり身に付いているが、最近とても気になった出品物を挙げてみよう。
✰ グッドマン「AXIETTE」(アキシエッテ)8インチ
タンノイなんか軽く凌駕する実力を持っているのにさほど有名ではないイギリスのスピーカーの名門「グッドマン」(goodmans)。
一言でいえばいかにもイギリス紳士らしい、渋くて翳りがあって噛めば噛むほど味のある音を出してくれるのだが、その中でも赤帯マグネット付きのSPユニットとくれば黙って見逃す手はない。
しかも「8インチ」とくれば口径20センチだからとても使いやすく、フルレンジあるいは低音用と高音用のユニットを付け足して2ウェイや3ウェイに発展させてもいい。
フルレンジで使う場合のボーカルなんぞはメチャお金をかけた大袈裟なシステムよりもきっと「いい音」がするはずだ。
さっそく「ウォッチリスト」に登録して追跡することにした。
とはいえ、欲しいことは欲しいが、我が家では現在ワーフェデールの「10インチ(25センチ)」(これも赤帯マグネット)が八面六臂の大活躍中である。
オーディオ仲間から「コーン型なのに紙臭い音がしませんね。まるでホーン付きのユニットみたいに音が飛んで来ます!」と絶賛を浴びており、マグネットもこの「AXIETTE」よりも一回り大きくてまったく非の打ち所がない。
したがって、いかに「AXIETTE」といえども購入したとしても控え的な存在にならざるを得ず、「あとはお値段次第だな、4万円以下なら「買い」かなと秘かに踏んでいた。
ところが・・。見る見るお値段が高騰して最終落札価格は「8万9千円」なり。
想像したよりも2倍以上のお値段で、どうやら「赤帯マグネット」の価値と広報が浸透したのかもしれないが、実力は間違いなくお値段以上だ。落札者はいい買い物をされたと思いますよ~(笑)。
✰ 真空管WE300A 初期型
音がいいとされる三極型出力管のうちでも最高峰とされるWE300B系の出力管。あらゆる真空管マニアが気になる球であることは間違いない。
関西の有名どころからの出品で、品質に信頼が置けるという意味では最高の出品者だろう。解説を覗いてみよう。
「WE ウエスタンエレクトリックの直熱3極出力管WE300A。WEの代表的銘球WE300Bの前身となった真空管です。
出品していますのは、そのWE300Aでも発売当初の前期タイプのもので、後期のWE300Aとの外観上の違いで分かりやすいのは、WE300B刻印以降でも見られる支持用の3枚の長方形マイカ板の替わりにマイカ板全体でプレートを支持するスタイルになっている点です。
また、外観上は一般的なWE300B刻印(オールド以降も同様)よりも数mm程度高いST管形状になっています(5枚目画像参照 右側がWE300A)。 なお、サイズ比較用のWE300Bはオークションには含みません。
ガラス頂部とベースに”00”のプリントが入っています。 ゲッタ金具にはカップ形状のものが1つ使われています。
1930年代前半の製品。 極めて希少。ゲッタの減少もあまり見られず、特性はTV7/Uにより確認済みの美品です。 測定値は基準値58に対し74となっています。」
以上のとおりだが、画像を見たときにこれは確実に50万円は超えるなあ・・、と予測がついた。
さぞや陰影感に富み、品が良くて香り高い音が出るんだろうが、とても自分ごときに手が出る品物ではないので、興味はいったいいくらで落札されるんだろうに絞られる。
そして、最終的な落札価格は「652、000円」だった。
我が家の「WE300B」アンプの製作に一切合切(いっさいがっさい)かかった経費と、どっこいどっこいのお値段である。たったの1本だけで~(笑)。
いったいどういう人が購入されたんだろうか。
この希少な名管を有効に活用してもらうために、せめてアジアの金満国の「投機筋」ではないことを祈りたいものだがはたして・・(笑)。