「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「WE300Bアンプ」の挽回作戦

2022年06月04日 | オーディオ談義

2週間ほど前の「真空管アンプの競演(テスト)」以来、ずっと気になっているのが「WE300B」アンプの処遇。


他のアンプにあえなく敗北を喫したわけだが「こんなはずではなかったのに」と、何だか喉に小骨が引っかかっているような感じでどうもすっきりしない。

持ち主の心理としては一番お金がかかったアンプなのでそれなりにしっかりしてもらわないと困る、野球でいえば高額年棒の「4番打者」が振るわないとチーム全体の士気が落ちるようなもの、かな(笑)。

で、例によってあれやこれやカンフル注射を打ってみた。

雪辱を期し、これまでの知見を(大したことはないが~笑~)フル動員して「挽回作戦」にトライするのもなかなか楽しいものですよ。

まず、前回の敗戦の原因は「聴き疲れ」にあり、元気が良すぎて音がややキャンキャン気味の傾向にあったので、むしろ「元気を削ぐ」方向への対策を二つ講じてみた。

 整流管の交換

真空管アンプは整流管(交流を直流に変える役目)のブランドや型番次第でコロッと、それはもう怖いくらいに音が変わる。

良きにつけ悪しきにつけ球の素性次第で音が変わる、これが真空管アンプの魅力の一つだが、このアンプはいろんな整流管を差し替えて楽しめるように2種類のソケットが用意されている。

で、これまで使っていたのは「300B」には定番とされる「274B」だったが、思い切って「83V」(4本ピン:刻印)に差し替えてみた。

このアンプは「強い整流管」は規格が合わないが「83V」は「274B」と同等クラスの「弱い整流管」なので使えるはず。

「北国の真空管博士」によると、「83Vは開発されたのがちょうど300Bと同年代(1930年代)なので相性がいいはずですよ」とのお墨付き。



左がこれまで使っていた「274B」で「NAVY」とあるからアメリカ海軍用の球だが右側の「83V」(刻印)と比べて柄も大きく能力的に一枚上なのだろうが、性能よりも相性が一番なのでためらいはない。

次に、

 前段管の交換

元気を削ぐ対策の2番目は前段管の交換。



左がこれまで使っていた「071」(ARCTURAS)、右が「471B」(DEFOREST)で、両者とも「71A系」の球だが後者の方の電流量が1/2ほど落ちる。いわば音が控えめになるはずだと素人なりに見当をつけた。

そして、これらの目論見はものの見事に奏功した。

「キャンキャン気味」のまるで「跳ねっ返りの小娘」のような音がまるで上流階級の貴婦人のように品が良くなったのだから、これはたまらない!(笑)

ちなみに、このほど手に入れたプリアンプ用の真空管「13D3」(BRIMAR)の効果も大いに寄与しているのは間違いない。



我が家で一番音がいい音楽ソフトは目下のところ、パソコン(モーツァルト専用チャンネル)とDACによる「384KHz」のハイレゾ再生である。

    

どこといって非の打ち所がない音に、やっぱり「WE300Bアンプは我が家で一番のアンプだな~」

とはいえ、あの「PP5/400」アンプのいかにもイギリス紳士風の渋さと奥ゆかしさも捨てがたい。5000ヘルツ以下の再生ならこちらの方が上かもねえ。

というわけで「両雄並び立たず」だが、今後はあえて「2頭立て体制」でいくとしよう。(もちろん高音域のツィーター再生に限っては「71A」アンプの独壇場だ。)

これでやっと日常の「心の平穏」を取り戻せたのは非常にありがたい(笑)。



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「ノーベル賞」確実の「ワクチン開発者」

2022年06月02日 | 読書コーナー

およそ2年半にわたって猛威を振るってきた「コロナ禍」もどうやら終焉を迎えつつあるようで、このところ全国的に罹患数、重病者、死者数が減ってきている。

現在開会中の「国会審議」でも「マスク着用の是非」が討論されるほどだから、ひと頃とは隔世の感がある。

で、あの100年前の「スペイン風邪」も2年半で終焉を迎えたそうなのでやはり最低でもそのくらいの期間が必要なのだろうが、
当時とは違って現代は飛行機などによる国際的な人の往来も桁外れであり、むしろよくぞ2年半ぐらいで終わったと喜ぶべきことかもしれない。

そして、この功績の立役者となると誰が何といおうとやはり「ワクチン開発者」でしょうよ。



世界的な英知の持ち主「7名」が寄稿した「コロナ後の未来」を読んでいたら、このワクチン開発者が登場していた。

ちょっと長くなるが引用させてもらおう。(38頁)

「つい数年前まで、ごく限られた研究者にしか知られていなかったカタリン・カリコ氏(67歳女性:ハンガリー出身)だが、新型コロナウィルス感染症用ワクチンの開発者として世界中で知られるようになった。

ファイザー/ビオンテックとモデルナがワクチンとして初めて活用したのがメッセンジャーRNA(以下、mRNA)である。

1978年にハンガリーのセゲド生物学研究所で研究者としてもキャリアをスタートさせたカリコ氏は、その時からRNAを研究テーマとしていた。

カリコ氏は40年以上にわたってRNAについて研究し、ついにワクチンとして実用化させたのだ。

いまやノーベル賞候補として取りざたされるカリコ博士だがその人生は波乱万丈であり、研究の意義を周囲から認めてもらえない不遇な時期が長かった。

しかし、そんな苦境に屈せず、異国の地で研究にまい進してきた。今回はRNA研究をワクチンとして結実させるまでの道のりと、オミクロン株のような新たな変異株に対してRNAワクチンが有利に働く可能性について語ってもらった」

で、ご本人も「人生には浮き沈みがつきものといいますが、新型コロナウィルスのワクチンを開発するまで私の人生はずっと沈んでばかりでした。」と、仰っている。

なにしろワクチン開発の下地として40年以上の地道な研究に裏付けされていたなんて、やはり人生は「根気と熱意」なんですよね~(笑)。

従来と違って該当するウィルスに対する開発スピードがメチャ速い、しかも副作用が少ないワクチンで沢山の人々の健康に寄与できるなんて最高の価値ある研究だが、結局「RNAって何?」という課題に突き当たる。(46頁)

「mRNAを使ったワクチンが画期的であるのはこれがコロナウィルスだけではなく、他のウィルスはもちろんのこと、がんや心臓病、脳神経疾患などにも幅広い応用が可能になるからです。なぜそんなことができるのか、それを説明するためにはまず「RNAとは何か」から話さないといけません。

みなさん、DNAについてはよくご存じでしょう。ここにすべての遺伝情報が入っています。RNAは言ってみればDNAをお手伝いする仲間です。」

以下、細かい科学的な話になってくるので省略。実は難解で脳が付いていかなかった(笑)。

興味のある方は本書をお読みになってくださいね~。

それにしても、自国が開発したワクチンに固執するあまり、都市封鎖で四苦八苦している現在の中国を見ていると、イデオロギーにがんじがらめに縛られた共産主義国家の限界が見えてくるようだ。

ある意味では、今回のワクチン開発と投与は西欧の科学文明と民主主義の勝利といっていいかもしれないですね。

その裏付けとして、本書で「ポール・ナース」氏(2001年、ノーベル賞医学・生理学部門受賞)は次のように述べている(81頁)。

「すぐれた科学や正しい知識は何が真実なのかを自由に考え、さかんに議論をかわせるオープンなコミュニティや社会でこそ獲得できるものです。独裁主義的システムで科学はうまく機能しません」

ちなみに、この「ワース」氏でさえもコロナウィルスの有効な対策としては「ワクチン接種しかない」と断言している。

本書では、ほかにもコロナ後の「テレワーク」や「リモート会議」などのあり方や将来性について都市経済学者などから貴重な提言がなされているので、興味のある方は一読する価値ありです。これからの時代が先取りできますよ。

最後に「カタリン・カリコ」女史が2~3年後のノーベル賞受賞者として世界の脚光を浴びることを予言して結びとしておこう。

ただし、一介の「市井の徒」の予言が的中しても、しなくても毒にも薬にもなりませんがね(笑)。



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