大衆迎合主義は誤解を生む訳語
2017年1月17日
日本のメディアに「ポピュリズム」が登場しない日はまずないでしょう。ポピュリズムは歴史的にも、地域的にも大きな広がりを持ち、政策目的も多岐にわたり、民主主義との関係もプラス面、マイナス面があり多面的です。にもかかわらず、日本では、メディアがひとくちで「大衆迎合主義」と訳して報道することが多いので、気がかりです。メディア論として . . . 本文を読む
読者に迎合するジャーナリズム
2016年12月18日
米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイが沖縄県の沖合で起こした不時着事故の新聞を読んで、どこまで正確な報道、的確な論評なのだろうかと、考え込みました。読者がいかにも怒りそうな書き方をする習性が気になってしょうがありません。何かにつけポピュリズム(大衆迎合)政治の批判をする新聞自ら、ポピュリズムの罠にはまっているのではないでしょう . . . 本文を読む
予想困難な非連続の時代
2016年11月10日
米大統領選に勝ったトランプ氏に敗北したのはヒラリー氏ばかりでなく、ヒラリーを支持した米大手新聞であり、結果を完璧に見誤った世論調査です。当初は泡沫候補扱いされたトランプ氏が勝ち、米国政治の王道を歩いてきたヒラリー氏が負けるとは、多くの日本人も考えなかったでしょう。
EU(欧州連合)からの離脱か残留かをめぐる英国の国民投票 . . . 本文を読む
これでは手玉に取られる
2016年10月30日
北方領土をめぐる日ロの交渉では、進展しそうな期待が高まると、解決がすーっと遠のいていくという経験を何度したことでしょうか。したたかなプーチン大統領は北方領土というカードをちらつかせると、日本に揺さぶりをかけられると確信しているようですね。返還交渉というと、期待過剰に陥り、楽観的な見通しに立ってしまうメディアが多いですね。
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メディアは「退位」で統一しては
2016年10月25日
天皇陛下の「生前退位」に関する有識者会議が始まり、メディアを賑わしています。NHKが7月に「天皇が生前退位の意向で」と特報して以来、「生前退位」という表現に違和感を持つ人は多くはいなかったはずです。これに対し、皇后陛下が誕生日のお言葉で「新聞一面で生前退位という大きな活字を見たときの衝撃は大きかった」(10月20日)と述べられまし . . . 本文を読む
世論の本音を知らない
2016年7月11日
安倍政権はまたも参院選で圧勝しましたね。自公で改選過半数、改憲勢力で3分の2を獲得しましたから、悲願の憲法改正が視野に入ってきました。安倍政権に真っ向から対抗しようとしてきたのが朝日新聞です。朝日の論調、報道紙面は世論を動かす力をすっかり失ってしまいました。
つい最近まで元気があった弟分のテレビ朝日は、交代したキャスターが現 . . . 本文を読む
買収した日経紙も気をもむ
2016年7月8日
EU(欧州連合)と英国の離脱交渉は2年はかかり、不透明感が続きます。企業にも多大な影響をもたらし、時間がかかればかかるほど、英国から離脱する金融機関などの本国離脱、外国企業の大陸への移転は増えるでしょう。特に英国が旗を振るマネー資本主義やグローバリゼーションの守護神を務めてきたフィナンシャル・タイムズ紙(FT)への影響は必至です。 . . . 本文を読む
同じ論題ばかりに食傷する
2016年5月4日
書店に行きましたら、産経新聞社の「正論」、その親戚みたいな「Will」と並んで、花田紀凱責任編集による新創刊「月刊Hanada」が置いてありました。私は普段、「正論」も「Will」も買いません。新聞広告をみるか、店頭で手にとれば、何を言いたいのかが、想像できるからです。さらに「Hanada」をみると、この3誌の筆者 . . . 本文を読む
国益をグローバルな視点で考察
2016年3月25日
朝日新聞の船橋洋一氏は、編集方針を左右できるはずの主筆を務めました。朝日新聞の一国平和主義路線とは違う国際感覚を持ちながらも、在任中はそれを生かせなかったようですね。どちらかといえば不遇で、数年前、突然のように退任したので、何かあったのだろうと想像してました。
最近、「21世紀 地政学入門」(文春新書)を出版しまし . . . 本文を読む
情報戦の現代社会は詐称で回る
2016年3月20日
テレビ朝日の報道ステーションに定期的に出演していたコメンテーターが学歴、経歴詐称でつまづきました。わたしも番組をしばしば拝見していまして、テレビ映りは確かにいいハーフのタレント風だなと、思っていました。この人が集中砲火を浴びるのを見ると、どこか哀れなのです。さらに詐称といえば、もっと大きな詐称問題があるではないかと、考えてしまいます。 . . . 本文を読む
世論の合意形成にマイナス
2016年3月8日
今朝の新聞を開きましたら、「またやりましたね」でした。安倍首相の動静(7日)を伝えるコーナーに「(産経新聞社の)正論大賞贈呈式に出席」とありました。新聞社のこの種の授賞式に首相がでることはまずありません。特に朝日の大仏次郎賞・論壇賞の式はでたことはないでしょう。
正論大賞は超保守、右翼寄りの学者、文筆家で、産経路線に乗っ . . . 本文を読む
放送局に圧力をかけたい人
2016年2月14日
高市総務相の電波停止の重大発言は、だれかにそそのかされてやったのでしょうか。あるいは生半可な理解で、そう口走ってみたかったのでしょうか。右寄りでタカ派的なことをいうと評価される政権の体質を示す事例がまた増えました。
放送法4条は、放送事業者に「番組が政治的に公平である」ことを課しています。高市氏は「繰り返し違反し、改 . . . 本文を読む
ネット情報時代の落とし穴
2016年1月17日
スキーバスの転落事故で14人の学生さんが命を落としました。笑顔の希望に満ちた顔写真、人物紹介の一覧表を見つめていて、どこで待ち構えているか分らない死の崖ぷちに暗転する人生の怖さを知らされました。「なんでこんな目に」という怒りの中で、印象に残った一言があります。
事故死した学生さんの父親が遺体を自宅で迎えた様子を、テレビ . . . 本文を読む
文学青年型の朝日と施政方針演説型の読売
2016年1月2日
活字の新聞が苦闘しています。少しでも活路を開こうと力を入れるのが元日の社説です。代表として朝日、読売を読んで比べてみました。社説は新聞社の表札みたいものです。
その前にエピソードをひとつ。昨年、スマートフォンを買い換える際、駅前のドコモショップに行きました。若い店員さんの手ほどきを受けた後、 . . . 本文を読む
伝統メディアは政権との距離感を
2015年12月27日
細々と続けていた私のブログが、言論プラットフォーム・アゴラに12月から転載されるようになって、とにかく驚きました。訪問者が多いときはなんとそれまでの10倍、少ない時でも2、3倍に急増したからです。ネットのすごさを体感しながら、メディアの傾向を考えてみました。
2年半ほど前から本拠に使っているブロ . . . 本文を読む