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(怒り)星野監督、「勇気」はおかしい

2013年11月09日 | 社会

 おじさんは怒っている)

  日本一の仙一さん、正しい言葉を  2013年11月10日

 プロ野球の日本シリーズで、楽天が巨人を下し、日本一になりました。星野仙一監督にとって巨人は宿敵であり、はちきれるばかりの喜びようは、この胴上げ写真からはっきり分ります。星野監督のファンでもない私ですら、感動するいい写真です。

 

 史上まれにみる豪速球投手、田中将大の怪腕に巨人がおびえたのにせよ、チームを一丸となって戦う集団にまとめあげ、選手に闘う気力を植え付けつけた星野監督の手腕は、少なくとも今回は高く評価しなければなりません。

 

 田中投手が米球界入りするかどうかのニュースがしきりと報道されるにつれ、どうにも気になってしょうがなかった言葉の問題が思い出され、皆さんのお考えを聞きたくなりました。

 

 優勝が決まると、星野監督は「東北の子供たち、全国の子供たち、被災者の皆さんに勇気を与えてくれた選手たちをほめてやってください」といいました。新聞の社説でも、この言葉が引用されていました。本人の言葉ですからいいようなものの、社会面のトップ記事の前文では、「東日本大震災の被災地のファンは勇気づけられ、復興への決意を新たにした」と、今度は記者の言葉で「勇気」が登場しています。

 

 「勇気」とは、恐怖、不安などを恐れず、それに向かっていく強い勇ましい心を指すのでしょう。勇気のある冒険家、勇気のある戦場の闘将、強打者を恐れず立ち向かっていく勇気ある投手などの場合は「勇気」でいいのでしょうね。

 

 今回のケースでは、楽天の優勝は東北の子供たち、被災地のファンを「元気づけた」とか「逆境に負けないよう励ました」というところでしょう。同じころ、米大リーグのワールドシリーズでレッドソックスが優勝し、巨人出身の上原投手がリリーフとして大活躍しました。優勝の瞬間、最終回に登板した上原投手が飛び上がって「やったぞ」という表情を浮かべた写真も野球の感動を伝えるのに十分すぎるほどでした。このシーンに日本人は元気づけられたにせよ、勇気づけられたのとは違うように感じました。

 

 星野監督の真意はよく分ります。東北を本拠地とする楽天の優勝は劇的でした。それだけに「勇気」という日本語の使い方に違和感を覚えたのは残念でした。

 

 「おじさんは怒っている」シリーズをはじめて、2回目となりました。「今回は怒っているというより、どこか変だぞ」という程度の意味です。どうぞ誤解がありませんように。 

 

 

 

 



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