パク大統領の「うわさ」に思う
2014年10月12日
韓国のパククネ大統領のうわさを書いた産経新聞のコラムが大統領を激高させ、検察庁が執筆した記者を出国禁止にして事情聴取し、ついに自宅起訴した問題は、日本のメディアが一斉に取り上げています。多数の一般記事、解説、社説、コラムが書かれています。不思議なことに、どのメディア、識者も言論、報道の自由の侵害を批判することばかり強調し、残る半分の言論の責任を厳しく問うことはしていないのです。
言論、報道にとっては、「自由と責任」が一体となっており、今回の事件では、日本側は自由ばかりを主張し、報道機関の責任には申し訳程度しか触れていないのです。目にした新聞記事は全部といっていいくらい韓国批判が軸になっており、記事の中で「言論、報道の責任」に何行か触れているだけなのです。「言論、報道機関の責任、あるいは節度」を中心に書いた記事が一本も見あたらないのです。一本もですよ。困ったことです。第三者であるべきメディアまで、緊張する日韓関係を政府と同じ目線でしか見ていないからでしょう。これは危険なことです。
朝日新聞は、「報道への圧迫、許されぬ」、「公権力で報道の自由を侵害してはならない」、読売新聞は「韓国ならではの政治的起訴」、「報道の自由は民主主義社会を形成する上で、不可欠な原則だ」と、格調高く韓国を批判しています。日経新聞は「報道の自由侵害と日韓関係の悪化を憂う」、「報道を対象に刑事責任を追及するやり方は、自由な取材と言論の自由の権利を侵害する」としています。
当事者の産経は「言論の自由の原点を忘れるな」、「ひとことで言えば、異様である」と指摘します。慰安婦問題で犬猿の中の朝日と産経が同一歩調をとることは異例です。日本新聞協会も韓国非難の声明を出しましたし、産経は社長声明で「多くの報道機関、団体が強い懸念を表明している」と、こうした動きを歓迎しています。
わたしも、報道、言論の自由を損なうような今回の措置は、幼く、過剰反応であり、韓国の大統領府、検察はここまで激高しなくても、と思います。日韓関係は細かなことから感情的にこじれ、二国間関係を揺るがす事態に発展させてしまった基本的な責任は韓国側にあります。
この騒ぎを海外からみると、どういうことになるのでしょうか。じつに小さなことで日韓は争っていると、あきれているのではないでしょうか。事件の発端は、女性大統領が旅客船セウオル号の沈没事故の発生当日、7時間、行方が分らなくなり、男性と密会していたのではないかという「うわさ」を産経がウェッブサイトにコラムで書いたことです。「うわさ」を書かれたことで検察まで乗り出す韓国、怪しげな「うわさ」を書く日本の新聞、それが深刻な関係悪化を招く日韓関係の複雑さなどを見て、不思議に思っているのではないですか。
日本の新聞の記事では、新聞社側の問題点に触れることは触れています。「言論の自由と責任は表裏である」、「大統領の男女関係をにおわせた文章には共感を覚えない」、「根拠もなく風聞の基づく記事を軽々に掲載した報道姿勢に問題がないとはいい難い」など、指摘しています。問題はそこから先です。どこも一様に「だが、刑事訴追をするのは行き過ぎである」、「とはいえ、検察の対応は度を越している」と、韓国批判を中心にした論旨に戻ってしまっています。
わたしは、「言論の自由」とか「報道の自由」を主張する題材にするのには、今回の事件は不相応な話で、低俗的すぎると思います。低い次元の話です。言論の自由を争うなら、本当に重要なテーマで争ってくれよと、叫びたくなります。こんな話で「言論自由の原点を忘れるな」(産経)ですかねえ。しかもどの新聞、どの学者、どの識者も異口同音の韓国批判の合唱なのですからねえ。
わたしは「こんなうわさは記事にすべきではない」、「うわさがあることは事実だからいいや、はいかにも安易である」、「真偽不明のうわさと、断っても報道機関を免責にすることにはならない」、「読者がいかにも関心をもちそうな大統領の男女関係に触れるのは、報道機関のレベルを落とす」と、考えます。「いったん問題が大きくなると、首相だの、外相だの、官房長官だのが、無視するわけにはいかなくなり、何か発言すると、それが外交関係をさらに悪化させるという悪循環にはまる」と思います。だからこそ、報道には節度が必要なのです。
公権力はメディア側に隙があると、そこにつけ込んで取り締まり、自由を規制してくるという習性があります。「公権力に踏み込まれないように、公正な報道、正確な取材に徹する」が報道機関の務めではないでしょうか。今回の事件で多様な議論がみられないのはどうしたことでしょうか。
政府と一体になることからメディは卒業しなければなりません。この問題はブログですでに書きました。一向にメディア側の責任を厳しく論じる声が聞かれないので、もう一度、書く気になりました。
その責任をした事例を見たことがありません
長年にわたって従軍慰安婦のガセネタを
堂々と報道して来た朝日が
あのガセネタを認めた後も
自らを責め立てることもなく、
かつ、新聞の影響自主停止をすることもなくのうのうと活動してるのを見ると
もはや日本の記者って結局は無責任なんですねって言いたくなります
朝日新聞が世界中の新聞・CMに全ては誤報でしたすみません。って毎日流して誤解を解く責任があると思います。社長が頭下げて終わりになる話ではありません。朝日の存在意義は誤報を消す事です。