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五輪汚職の拡大で札幌冬季大会は早期の断念が賢明

2022年09月18日 | 社会

 

IOCの却下も不可避か

2022年9月18日

 東京五輪を舞台にした贈収賄汚職は底知れぬ広がり見せ、竹田恒和・前JOC(日本オリンピック委員会)会長、森喜朗・元首相(組織委会長)を参考人として東京地検特捜部が事情聴取しました。

 

 このトップの二人は、逮捕された中心人物の高橋治之・組織委理事(元電通専務)の職務、就任の経緯などを聞くためとされています。それにしても、竹田氏は東京大会の招致を巡る不正疑惑でフランス司法当局の捜査対象になりました。森氏はAOKIが200万円の見舞金を贈るなど、灰色であることは間違いありません。

 

 30年の冬季五輪の開催地は、来年秋にインドで開催されるIOC総会で決まります。札幌市は開催を希望しており、招致活動を始めています。開催地は札幌市であっても、JOCや政府が絡んで招致活動、大会運営に深く関与する構図になっています。

 

 結論から申し上げると、「東京五輪汚職事件が拡大しているため、IOCに良識があるならば、札幌を却下するだろうと思われる」、「IOCの決定を待たずに、日本は五輪汚職を反省し、札幌開催を断念することを表明すべきである」ということです。

 

 札幌でなくても、米ソルトレークシティーなど有力な候補地の名があがっています。IOCからすると、札幌でなくても困ることはない。

 

 オリンピック精神とは「スポーツを通じて心身を向上させ、フェアプレーの精神をもって、平和でよりよい世界の実現に貢献する」ことです。特捜部の捜査はまだ進行中であり、裁判でどこまでが有罪となるか不確定です。そうであっても五輪史上に残る不祥事であることは否定できません。

 

 日本が札幌冬季五輪を招致するならば、「東京五輪にまつわる疑惑の解明、検証が前提となる」、「疑惑を否定できないのであれば、札幌大会の組織運営も練り直しに迫られる」、「次々に疑惑を生み出す舞台となった電通(OBによる退職後の事業)の解体的改革が不可避である」などが条件となります。

 

 順にいうと、捜査は進行中で、どこまで広がりを見せるか分からず、いつ幕引きになるのが分からない。逮捕者の多くは事実関係を否認、もしくは「コンサルタント料であり、賄賂との認識はない」などと供述しているそうです。数なくとも捜査が終了しないと、検証のしようがない。

 

 札幌市は「クリーンな大会に向けた宣言」を表明しています。東京五輪への検証、それをもとにした組織委員会の改革が前提になるのに、「クリーンな大会」を連呼しても空文に過ぎず、信用されない。

 

 橋本聖子・東京五輪担当相はお詫びを口にしてはいても、東京大会のどこに問題があり、事件を呼び込んだのかについて何らの見解も表明していません。橋本氏は札幌大会の誘致推進の重要人物です。

 

 さらに電通の抜本的改革は、まったく論じられていない段階です。「組織委事務局に電通社員が多数、派遣されている」、「主役で電通OBの橋本容疑者と派遣されていた社員、さらには電通本社との関係の調査がされていない」、「五輪と電通は利益相反の関係になっている」などの問題がある。

 

 五輪事業は電通のスポーツ、イベント・ビジネスの典型的な姿でしょう。今後、若干の手直しで済むことはない。巨額の利益を生んできたこれらのビジネスの改革は、電通そのものの改革に直結する。

 

 五輪ビジネスでIOCと電通は長期契約を結んでいる。電通が五輪精神の背いたとして、IOCが契約の打ち切りに踏み込むこともありうる。

 

 札幌五輪の大会運営費は2000億ー2200億円とされ、協賛金(スポンサー料)、チケット収入などすべて民間資金で賄うとしています。その中心は電通でしょう。電通が機能停止に追い込まれたら、「すべて民間資金で」は不可能となる。イメージがダウンした五輪に協賛する企業は、消費者の批判を浴びることになり、協賛は裏目にでかねない。

 

 くずぐずしているうちに、無駄な費用ばかりが積み重なり、挙句の果てに札幌大会は却下になったら、損失は大きい。岸田政権は優柔不断による遅い決断が重なり、政権支持率を落としています。素早い決断がされるよう期待します。

 

 

 

 

 

 

 

 


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