政策的にも手詰まり
2015年7月28日
自民党政治に対する風向きが急変し、突風が吹き荒れています。内閣支持率が急落して、不支持率が上回るという危機的な状況です。政策的にも手詰まりで、政権にとって今後、悪材料が多く、安倍政権が危機を抜け出すのは容易ではないでしょう。
野党は対案を立てる責任と能力に欠けるため、政策論争を避け、とにかく安倍政権に土俵を割らせることにだけ全力投入しています。安倍政権が窮地に追い込まれると、「特に安全保障政策が強引だった。それみたことか」と溜飲を下げるひとは多いでしょう。溜飲を下げても、この先、日本の政治はどうなるのか、どうするのか。そうした展望がないまま、また決められない政治に陥るのでしょうか。
政治の風車が逆回転
安倍政権は不思議な存在でした。世論調査では、「集団的自衛権の行使は反対」、「原発再稼動は反対」、「景気回復に実感がない」という声が過半数なのに、支持率は50%を超え、選挙をすれば大勝です。政治の風車は不思議で、一度、狂いだすと、逆回転をしがちになります。
安全保障関連法案は、いずれにせよ、必死で成立をはかるでしょう。撤回は安倍政権の崩壊、退陣を意味しますから、とにかく成立に全力を挙げます。国会で成立したら、世論の支持率はまた下がります。原発再稼動が進むほど、これまた支持率をさげます。つまり政権の政策が計画段階から実施段階に移行しつつあるのが、現在です。実行されればされるほど、支持率低下が顕在化するのです。
株高ボーナスは2度はこない
高い株価が政権の支持率を支える要因でもありました。2、3年で2倍になるというブームは過去のものとなりました。若干、あがっても、これまでに比べると、「若干」程度でしょうね。金融政策面からの「異次元緩和」の追加は、黒田日銀総裁がいくら口先で叫んだところで、目先を変える程度のことしかもうできません。またサプライズを狙おうものなら、副作用のほう大きくなります。むしろ出口論(異次元緩和からの転換、撤退)が必要な時期にきているのです。
財政はどうでしょうか。財政のヒモは緩む方向に向かっています。財政赤字の直接的な削減でなく、財政刺激による経済成長で税収をあげようというのです。同じような財政政策、おなじような論法を繰り返しては、失敗し、財政赤字が結局は増え、現在の1000兆円になっているのです。2017年4月の消費税引き上げ(10%)だって、断念することはありえます。財政再建の断念に相当します。さらに、二度も公約を破ることになれば、退陣の資格は十分です。
女性は「戦争と平和」論が嫌い
来年夏には参院選があります。もうこれまでのような圧勝、大勝はないでしょう。今回の世論調査(読売)で重大だったのは、女性の不支持率が53%(支持率38%)、無党派層では68%(同21%)で、女性主導型で安倍政権を窮地に陥れているのです。あれだけ女性議員を次々に閣僚に引き上げ、社会的ポストでの女性登用を優遇してきたのに、これはショックでしょうね。戦争と平和の問題となると、女性は「一国平和主義」とかなんとかいわれようと、動かないのですね。
新しい国際環境に対応した安全保障政策は必要です。それが安倍首相の手にかかると、「どこまで手を広げるか分らない」という不安感を国民に与えてしまうのでしょう。首相の国家主義的、国権主義的思想が不安を与えているのです。これを改めることです。日本の戦後へのお詫び、謝罪をきちんとすることです。なぜ避けているのでしょうか。それ抜きにいくら「丁寧に説明」すると、いっても説明は空転するだけでしょう。戦後へのけじめと新しい安保法制は不可分ではないのですか。
ブレーキ役がいない怖さ
安倍首相の周辺には、例の暴言の百田尚樹氏をはじめ、アクセル役があふれているのに、ブレーキ役がいないことがはっきりしてきました。だから政権の独走を許すと危ないと、多くの人が思っているようですね。こともあろうに礒崎首相補佐官が「安保関連法では、法的安定性は関係ない(憲法無視でよい)」と発言しました。周辺からの様々な失言は実は本音で、失言ではないのでしょう。首相もそれが分っているのではないのですか。
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